繰り返し期待値の法則(1) | 不動産鑑定、統計学、文系人間のための数学など

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上野山清久のブログ
 「不動産鑑定と統計学」(同名のホームページも公開中です。)、数学その他に関する日々の学習成果等について「学ぶ側の視点」で綴っていこうかと思います。

 計量経済学の勉強成果(その1)です。

 

 末吉直也(2015)「計量経済学」(日本評論社)の最初の方に出てきた次の式が???だったので勉強してみました。

 

 E[Y]=E[E[Y|X]]

 

 この式を見て、何とか理解してやろうなどとは思わないのが、文系人間の正しい作法だと思いますが、あきらめずに勉強しているとそれなりに御利益はあるものです。

 

 今回、私がこの式に苦戦した要因の一つは、XとYの同時確率分布周辺確率分布に関する理解があやふやだったことにあると思います。

 

 難しいことを理解できないのは、それ以前の基本的なところの理解不足に原因があることも多いものです。でも、式を見た瞬間、「あっ、ムズい、無理。」で終わってしまうと、そのことに気づくこともできないので、とにかく粘り強く取り組むことが大事だと思います。

 

(1)E[Y|X]

 確率変数Xの実現値(例えばX=equation)が得られたときの確率変数Yの条件付き期待値、すなわちX=equationが得られたときのYの周辺確率分布の期待値

 

(2)E[E[Y|X]]

 確率変数Xのとりうる各値(X=equation)がそれぞれ実現値として得られたときの確率変数Yの条件付き期待値の期待値、すなわち

{(X=equationが得られたときのYの周辺確率分布の期待値)+(X=equationが得られたときのYの周辺確率分布の期待値)+・・・+(X=equationが得られたときのYの周辺確率分布の期待値)}÷(Xの値の数)

 

 Xを固定してYの周辺確率分布の期待値をとるという作業をXの全値について行って、XとYの同時確率分布の期待値をとると、結局E[Y]になるというのは、当たり前のことを言っているに過ぎないじゃないかと気づくまでに約1か月・・・。

 期待値の期待値ということは、前の期待値を足すだけでなく、Xの値の数で割る必要があるということを公開直前まで気づきませんでした。

 

 以上の内容が理解できれば十分なような気もしますが、せっかく勉強したので、証明も書いておきます。

 

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(2023.12.7)

 「繰り返し期待値の法則(2)」 もアップしましたので、よろしかったらこちらも読んでみてください。よろしくお願いします。