「茅山道人」がパクったベースにした作品があると知り、観てみることにしました。これもまたベースにした作品があるそうです。それはまた今度。
1980年の香港映画です。
皇后が豪華な食事を前にしても暗い顔つきです。金を2000000両盗まれたからです。護衛の責任者 曹達華さんが調査結果を報告します。皇后は10日以内に解決するように命じます。責任者はそれができる男として陳觀泰さんを推します。
ある住居に3人の銀行泥棒が人質を取って籠もっています。そこに陳觀泰さんが駆けつけ、2人をあっという間に倒します。1人は馬に乗って逃げます。彼を追い、殺します。部下の白井學さんは何も持っていなかったのに殺したのはやり過ぎだと陳觀泰さんを非難します。陳觀泰さんは有能ですが、ちょっと容赦ないと思われているようです。
陳觀泰さんは宮廷に呼ばれ、金と5人の泥棒を10日以内にどうにかせいと命を受けます。
不在時の代わりを頼まれた白井學さんは陳觀泰さんを正義の味方というよりは単なる人殺しだと強く意見します。陳觀泰さんと白井學さんの間には考え方の違いがあります。
「京都總捕房」第3部隊から優秀な3人(江島さん、狄威さん、艾飛さん)を伴い、出発します。ずっと彼の元で働いてきた隊長の金彪さんも行きたいと訴え、彼もいっしょに行くことにします。
婚約したばかりの召使いの金世玉さんに相当なお金を渡し、旅には連れて行かない予定でした。しかし、10年以上彼に仕えてきた金世玉さんには旅についていかないという考えは全くありません。しかし、お金を受け取るようにと押し切ります。
金世玉さんは先回りし、情報屋を追いかけ回して、陳觀泰さんが探している泥棒の情報を聞き出します。金世玉さんも加わって、疑わしい人物の元へ向かいます。
貧しい粉屋の主人は陳觀泰さんたちに問い詰められ、実行犯の名前を白状します。金を妻の夏萍さんに残したいという主人を陳觀泰さんは水責めにします暮らしに困り、犯罪に手を染めた主人が少し気の毒になりました。抵抗する夏萍さんを殴り飛ばし、主人の首を斬り落として、金を回収して去ります。艾飛さんが自分のお金をわずかながら渡して去ります。3人の幼い子どもたちがいるのに。夏萍さんはこれからどうなるのでしょう。
荒廃した街の古い寺で1泊することにします。心優しい艾飛さんがやはり傷ついていました。誰もが生きる権利があるのに自分たちが勝手に他人の人生を決めていいものか。今日のあの対処は正しかったのか。この人、さっきの場面で犯人の赤ちゃんを抱いてました。
金彪さんは付き合いが長いので、陳觀泰さんは冷たい人ではないとみんなに言います。立場上、冷酷な判断を下すしかないが、本当は心優しい人だと。
艾飛さんは街の貧しい人たちに食べ物を届けに行くことにします。(止めろっ!行くなっ!)權永文さんがそれを受け取りますが、目がギラギラ・・・。あぁ
いつになっても帰ってこない艾飛さんを探しに行っている間に陳觀泰さんは權永文さんたちに襲われています。まきびしみたいなのを床に撒かれて、ブーツなしで歩くのはツラそう・・・。
彼らを追い払った後、艾飛さんを探すと結構エグいやられ方をしていました。人を簡単に殺してはいけないと言っていた人が「自分を殺してくれ!」と懇願するなんて。残酷な演出だなと思いました。さすがの陳觀泰さんもためらいます。ようやく彼を苦痛から解放してあげます。涙が出てしまいました。
陳觀泰さんは他の泥棒を倒す際も容赦なく首を斬り落とします。權永文さんも捕まります。が、処刑される直前で部下たちがやってきて、逃走します。そして、陳觀泰さんはぐるっと草原に火を点けられ動けなくなります。この戦いで江島さん、狄威さんが命を落とします。江島さんが珍しくいい役でした。權永文さんは頭も手首もガードを着けており、なかなか手強い相手でしたが、脚にガードを着けてなかったので脚を攻撃して倒しました。
2人の大切な部下を失くし、凹みます。悪人を倒す=同時に善人も亡くなるというこの訳のわからない状況。金彪さんは疲れから持病が出てきたようで激しく咳き込みます。寝ている側に妻から持たされたかわいいブーツが。陳觀泰さんは自分のマントをかけてあげ、ブーツをもっと近くに置いてあげます
荒天の中、古ぼけた茶樓を見つけ、中に入ると白彪さんがいました。彼は悪名高い男でした。貧しさが今回のような犯罪を生むと言われ、公的立場の陳觀泰さんは「うむむ」となります。彼がこの事件に関わっているという証拠がないため、彼に金を渡し、そして、見逃します。
白彪さんは「地獄門」というところで泥棒の1人から金を取り上げ、蠍の矢で殺します。金を集めているところを陳觀泰さんは目撃し、返すように言います。白彪さんは渡すふりをして、蠍の矢を投げ、それが金彪さんに刺さってしまいます。
解毒剤を手に入れるべく、必死に白彪さんと戦い、倒します。しかし、解毒剤が入っていると思われたケースは空。「お前は助けられない。」と白彪さんはディスりながら亡くなります。そして、金彪さんは「連れてきてくれてありがとうございます。」とお礼を言って亡くなります
野宿している場所に戻ると陳觀泰さんが金彪さんに貸したマントがきれいに畳まれていました。奥さんが作ってくれたかわいいブーツはもったいなくて履けず、陳觀泰さんにあげたいと言っていたと金世玉さんから聞き、もういろいろと胸が痛くなります。足手まといだろうなと自覚しつつも、必死にがんばった金彪さんのことを思うとここでも涙が出てしまいました。
金玉世さんはけがをしている陳觀泰さんを見て、帰ることを進言しますが、陳觀泰さんは怒ります。絶対にこの任務を遂行したいと思っています。
さて、場面は変わりまして・・・。目が不自由な若い娘 尤翠玲さんがいます。傘を作って生計を立てているようです。父親は谷峰さんです。とても仲の良い親子ですが、谷峰さんは盗賊でした。娘はそれを知りません。ただ、父には隠された一面があると感じています。
陳觀泰さんは人々が傷つき、死んでいる場所に出くわします。息のある人に水をあげようとしたら、谷峰。胸を刺されます。やられたふりをして、通りがかった人たちからものを盗もうとしていたようです。そこに白井學さんが駆けつけます。どうにか陳觀泰さんを馬に乗せ、逃がします。金世玉さんはここで亡くなります。
陳觀泰さんが乗せられた馬は谷峰さんの馬でした。馬は尤翠玲さんの家へ彼を運びます。娘は陳觀泰さんを父の友達と信じ、手当てをします。谷峰さんもけがを負い、へろへろになりながら、娘のところへ戻ります。娘の無邪気な会話からお互い、状況を理解します。
盲目の娘の前で刀を見せ合う2人。殺気バリバリ娘にバレないように棒読み状態であいさつを交わし、外へ行きます。
けが+豪雨の中、2人は戦います。決着がつかないまま谷峰さんは逃げます。追いかける陳觀泰さん。陳觀泰さんは再び白井學さんの援護を得ますが、悪党たちに襲われます。
執念深く谷峰さんを追いかけます。白井學さんは「首都は私なしでも大丈夫だけど、首都はあなたが必要だ。」と言って、彼を先に行かせ、自分は悪党たちを抑えて、亡くなります。
小屋に隠れていた谷峰さんをついに発見。追い詰めます。しかし、ラスボスは彼ではありませんでした。谷峰さんが持っていた金の量はわずか1000両。これまで捕まえてきた泥棒みんな持っている金の量が少ないのです。
実は陳觀泰さんの上司 曹達華さんが首謀者でした。そんなはずはないとキレる陳觀泰さん。だけど、腑に落ちる点が多々思い出されます。
谷峰さんたちが2000両奪った後、曹達華さんは200000両奪いました。谷峰さんたちは彼の隠れ蓑だったというわけです。曹達華さんは陳觀泰さんも谷峰さんも殺して、全てを終わらせようとしています。
火が点いた矢が放たれ、小屋は燃え始めます。もう助からないと察知した谷峰さんは娘のことを頼んで彼を隠し部屋へ入れます。谷峰さんは満州人が自分に盗賊になることを強いたと話していました。殆どの人が暮らしに困って手を出したということですかね~。
そして、曹達華さんは他にこの件に関わる者を殺して、大金をゲット。元華さんが護衛役でした。
「犯人はみんな死にました。陳觀泰さんも残念ながら亡くなりました。金の行方はわかりません。」で済ませて、いい気分の曹達華さん。そこに物売りの変装をしていた陳觀泰さんがいきなり襲いかかります。
あと少しで彼を殺せるのに有能な護衛である元華さんが邪魔をして、それをさせません。もどかしい!!やっと元華さんを倒し、曹達華さんも倒しますが、椅子にあった仕掛けを作動するボタンを押しており、天井から降ってきた矢で陳觀泰さんも亡くなります。
雨の中、傘を差して1人佇む尤翠玲さん・・・終わりです。
何とも切ないお話でした。「茅山道人」は相当パクってるという噂でしたが、後半の展開はかなり違っていたので別物として楽しめました。
陳觀泰さんがとてもよかったです。どんな役を演じていても彼からは高貴なオーラが感じられます。気軽に近づけない遠いところにいるような雰囲気が魅力だなと改めて感じました。
「茅山道人」も「萬人斬」も両方名作です。