「どうしようかな。いろんな人がいて迷っちゃうなあ」

ガクはメモを見返しながら、だいぶ悩んでいる様子だ。

「AIで診断もできるよ」

コウタが言う。

「え?」

「会社のパソコンに条件を入力すれば、データから判断して最適な飼い主を探してくれるんだ」

 

ガクは会社に戻ると、早速コウタに教わりながらデータを打ち込んでみた。すぐに解析モードに入る。

結果が表示された。順位が発表されている。飼い主として望ましい条件がそろっている家族が上にくるようだった。1位はキッドソン家族。幼い姉妹を連れて来た家だ。2位は老女のいるミクリヤ家。3位は若い夫婦のイケガミ家。

イケガミ家が3位になったのは意外だった。一番経済力がありそうだったからだ。クリックすると、多角形のグラフが表示される。

 

経済力・年齢・家族構成・住環境・生活習慣・飼育歴の6項目から判断されるらしい。イケガミ家は経済力や年齢は申し分なかったが、住環境や生活習慣、飼育歴で評価を下げてしまった。マンションの高層階に住み、共働きで人工変異種の飼育経験なしなのだから仕方ないかもしれない。

 

「これ、1位の人にしなきゃダメなの?」

ガクが聞く。

「そんなことないよ。AIの診断はあくまで参考程度。結局最後は、飼育担当者の直感だよね。機械にはわからないことだってたくさんあるんだもの」

コウタの返答を聞き、ガクはうーんと唸りながらパソコンの画面を見つめる。

 

「決めた」

「え、誰に?」

「ミクリヤさんのところにする」

「そうなんだ。…キッドソンさんのお宅は気に入らない?」

「そうじゃないよ。そっちに行ったって、きっと可愛がってもらえる。でも、あっちは先にカブトムシを飼っているし、そんなに寂しいわけじゃないよね」

「ああ、そういうことか」

コウタは椅子にもたれかかって虚空を見上げる。

 

「そのうち別の子にめぐりあえるでしょ。ゆっくり探せばいいと思う。でも、ミクリヤさんの方は、そうも言ってられないよね」

「ああ、足が悪そうだったものね」

「そんなにあちこちの譲渡会に行く余裕はないと思うんだ。あの足だと遠くに行けないしね。だったら、できるだけ早く決めて、少しでも長く一緒にいさせてあげたい」

「うんうん。いいと思うよ。クワキチが可愛がってもらえるのは間違いないんだから」

コウタは嬉しそうな表情でうなずいた。

 

 

 

〈おまけ〉

どうでもいいですが、最近家族でカラオケに行きました。

だいたいAIの採点入れさせられるんですよね、あれ落ち着かないのに。

昔から採点はありましたが、昔の方が甘かった気がします。普通に歌って90点台出ていたはず。

今や、何度歌っても86点から87点あたりをうろうろって感じです。

『ライラック』とか難しいですものね、最近の歌は。さりとて、昔の歌を入れようとしても覚えていないので歌えないのですよ。

 

AIよ、もう少し人間に優しくしておくれ、って思います。

メロディうろ覚えなの指摘されて、「なんとなくで歌っていませんか?」と図星のこと言われて「うおう!」と言いたくなります。

あの多角形のグラフ、レーダーチャートっていうらしいです。

なんとエクセルで作れるとのこと。ならばと思い試してみました。

 

 

確かに、それっぽいのできましたね。しかも案外簡単に。

これなら子どもでもできそうです。

そのうち、「お母さんの人格レベル」みたいなタイトルのレーダーチャートを学校の授業で作る日が来るかも…。

先生、ごめんなさい!「最近読んだ本のおすすめポイント」とかにしてください。

 

 

 

 

「インセクト・パラダイス」は完全フィクションの小説です。

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