2022年になり今年は寅年🐯ということで、ふとかつて北見に存在したスーパー、「タイガー」のことについて思い出しました。



私も身近なスーパーの歴史なんかを調べるなかでタイガーからこれを運営していた美幌町の「うらべ」(1922-2005)という会社に行き着きました。


うらべは大正11年4月創業ということで、西暦にすると1922年。今年で丁度創業から100年という節目の年になります。うらべはもう存在しませんが、今回は今まで調べてきたこと、Twitterなどを通じて、教えていただいてきたことをちょっとまとめてみようと思います。


うらべの繁栄 


(写真 うらべ本店跡 現在は居抜きで居酒屋とカラオケ店となっている)

うらべは1922(大正11)年4月、当時の美幌村(現在の美幌町)にて浦部三郎氏により「○ヨ浦部商店」として創業しました。

その後美幌町内では、本店(美幌店とも)、ボナンザ店。町外では北見、紋別、網走、遠軽、斜里、津別に一店舗ずつ、そしてオホーツク管内を飛び出し旭川、釧路などに店舗を展開。稚内市には㈱タイガーが設立され、稚内店と南稚内店がありました。

私の地元北見では親の世代の頃に「タイガー」の名で親しまれていたと聞いたことがあります。

そして稚内でもタイガーは馴染み深い存在であったそうです。下の写真にありますが、とても可愛らしいトラのロゴだったようです😊

(写真 フクハラタイガー店付近に残るタイガーのロゴ)

私が美幌町図書館に行った際、蔵書のなかで発見できたものは1994年の美幌商工名鑑で、その当時では規模が小さくなっており美幌、ボナンザ、紋別、タイガー(北見) 、斜里タイガー、タイガー南稚内店の6店舗となっていました。

当時でもオホーツクのスーパーマーケットでは、道東市民生協(現 コープさっぽろ)に次ぐ2番目に売上が高い時期があり年商80億円を達成するなど、有数の規模を誇っていました。

他にオホーツクで商圏を争ったであろう企業として道東市民生協(現 コープさっぽろ)、イチワ 

(現 道東アークス)、北見バス興産 (後の北見東急ストア)などがありました。

うらべの解体 フクハラの出現


1990年代頃にかけ隆盛を誇ったうらべでしたが、美幌町内では1993年9月に㈱北雄ラッキーと㈱シティびほろ(旧びほろデパート)との合併の上でシティびほろが新たに開店するなど競争が激化。この頃は道内各地で企業の再編などが相次ぎ、北海道内の流通業界にとっても激動の時代だったのではないでしょうか。


(写真 フクハラタイガー店 名称とともにネオンサインも残る)


経営不振となっていたうらべは、十勝・釧路地方にスーパーマーケットを展開する㈱福原(帯広市)に資本参加を申し出る選択をし、北見地区進出に意欲を持っていた福原との息が合って1995(平成7)年2月20日に不動産管理の㈱浦部産業とともに福原の子会社となりました。この時、福原が引き継いだのはタイガー店のみ。名称を残しフクハラタイガー店が開店しました。


(写真左端 こどもの頃辛うじて撮影していたフレンド本店跡)


言わば本丸である美幌を中心とした本店、紋別店は福原のフランチャイズとして旧うらべ従業員らで㈱フレンドを設立。後に美幌町内に元町店、そして津別町に再進出を果たし津別店を開店しましたが2003年に紋別店、そして2004年に全店が閉店しました。


稚内の㈱タイガーはそれまで当時のうらべと同じ浦部博氏が代表取締役でしたが、翌1996(平成8)年に資本関係のあった丸ヱ寺江食品㈱から寺江光太郎氏が代表取締役に就任し営業を続けていた様子ですが、後に閉店しています。


福原 北見地区への挑戦


うらべを子会社とし、実質的にうらべを引き継いだ福原は1995(平成7)年に北見市にタイガー店を開店させたあとは、徐々に福原としても店舗を増やしていきました。


・フクハラとん田西町店

(写真 フクハラとん田西町店)

翌年の1996(平成8)年3月に北見市とん田西町にとん田西町店を開店。途中までは福原のベーカリー部門「ふっくら工房」の店舗を併設させるなど本場十勝と遜色ない店舗づくりをしました。

丁度開店から16年となった2012(平成24)年3月に閉店し、現在はツルハドラッグ北見とん田西町店が営業しています。

・フクハラ三輪店
(写真 フクハラ三輪店)

とん田西町店に続き、1997(平成9)年には北見市三輪(現在は東三輪)に三輪店を開店しました。おそらくフクハラのなかでも中規模な店舗。開店後しばらくはフクハラにはよくみられるゲームコーナー「こどものくに」を備えていました。(現在は美容室アレンジ)

・フクハラるべしべ店
(写真 フクハラるべしべ店予定地であった留辺蘂ショッピングセンター)

そして続いて4号店となるはずだったのが「るべしべ店」でした。場所は当時の常呂郡留辺蘂町。(現在は合併し北見市)
福原北見地区として、初の郡部への出店として計画され、1998(平成10)年8月にホームセンターを併設させた複合店舗を開店させる計画を発表しましたが、福原とともに出店するホームセンターが決まらないこと、1キロほど離れた中心商店街の協同組合留辺蘂大通り商店街振興会との折り合いが付かなかったことから当初の1999(平成11)年8月の開店予定から計画が進まないまま、福原は2002(平成14)年に㈱ラルズと経営統合。元より留辺蘂の商店街側に立地していたラルズマート留辺蘂店を移転させる形で決着。2003(平成15)年12月にようやくラルズマートとホームセンターツルヤ(現 ホーマックニコット)の2店で留辺蘂ショッピングセンターとして出店しました。


・ぴあざフクハラ桜町店
(写真右端 ぴあざフクハラ桜町店)

前述のるべしべ店の計画が進まぬなか、4号店として2000(平成12)年10月に開店したのが「ぴあざフクハラ桜町店」でした。福原北見地区最後にして最大規模の店舗で唯一の「ぴあざ」業態での出店となりました。歯科医院、衣料品店、ベーカリー、フードコート(一口茶屋)などテナントが多く入るフクハラのなかでも大規模な店舗の一つでしたが、2010(平成22)年にフクハラ店舗として初めてスーパーアークスに業態転換しています。

福原北見地区 旧イチワと合流へ


(写真 道東ラルズ時代のチラシの店舗一覧)

うらべから福原に変わって以降、4店舗を有した福原北見地区でしたが前述の通り、2002(平成14)年11月に福原が㈱ラルズと経営統合。現在のアークスグループが誕生します。当然、北見にある ㈱道東ラルズ(旧イチワ)ともグループ企業となりました。その後店舗配置の再編がアークスグループのなかで行われ、2004(平成16)年に福原運営のフクハラ北見地区4店舗と道東ラルズ運営のビッグハウス釧路店が両者間で交換するように配置が変わり、フクハラ北見地区は道東ラルズ運営となりました。


見方によれば、かつての美幌の地場スーパーであったうらべと北見の地場スーパーであったイチワが同じ企業になったこととなります。


そんななか、不動産管理会社として残っていた㈱うらべは2005(平成17)年3月1日に福原へ消滅会社として吸収され、会社としては約83年の歴史に幕を下ろしました。


うらべの今


(写真 2021年11月の道東アークス11店合同版)


北見市内のアークスグループが全て道東ラルズとなったあと、2010(平成22)年10月にぴあざフクハラ桜町店はスーパーアークスへ業態転換。2012(平成24)年3月にフクハラとん田西町店が閉店し、北見地区のフクハラは4店舗から2店舗になりました。チラシでもかつてはでかでかとフクハラのロゴがみられましたが道東ラルズ全店合同のチラシが出るようになると、フクハラのロゴも文字だけのロゴとなり寂しいような形になってしまいました。


2016(平成28)年には網走市に本社を置くアークスグループの㈱篠原商店を吸収合併。道東ラルズを存続会社として現在の㈱道東アークスとなり現在に至っています。



(写真 フクハラタイガー店)

うらべがフクハラへと変わりそしてまた店舗が減り行くなか、現在もあるのはタイガー店と三輪店。なかでもタイガー店は1976(昭和51)年10月22日にスーパーうらべタイガー店として開店してから今年(2022年)で46年となります。

これは道東アークスのなかでも2番目に築年数が古く、建物の老朽化も否めませんが、車通りの多いとん田通りと山下通りの交差する角地に立地し、他の比較的若い店舗と負けず劣らず利用客の多い店舗です。私が初めてアークスRARAカードを作ったのもこの店舗でした。

私はぴあざフクハラ桜町店(2000年)と同い年なので私の世代で「うらべ」と呼ぶ人はいませんが、これからもタイガーやうらべと馴染みやすい呼び方で親しみを持ちたいと思っています。



うらべ創業から100年。干支となったタイガーは今もタイガー店すぐ横の案内板でひっそり微笑んでいます。

うらべよりもフクハラとなってからの説明が長くなってしまいましたが、最後までお読みくださりありがとうございました。

うらべ創業100周年に寄せて末筆ながら今後の繁栄をひっそりお祈りしております。





参照リンク



福原 Wikipedia 


福原 HP 




丸ヱ寺江食品株式会社 HP 


参考文献
・北海道新聞朝刊道北(1998年9月2日)

・北海道新聞朝刊地方
(1998年10月13日/15日/11月14日/2000年3月14日/2003年11月7日)

・北海道新聞朝刊全道(2003年7月16日)

・美幌新聞(1995年2月16日朝刊)

・美幌商工名鑑 1994 創立40周年記念 '94年版
(1994年 美幌商工会議所・美幌商工名鑑編さん委員会 刊)

・遠軽町百年史
(1998年 遠軽町 刊)

・イチワ創業八十周年記念誌
(1993年 イチワ・月刊あるふぁ社 刊)

・半期報告書 株式会社アークス
(2005年)






この他にもたくさんの情報提供をくださった皆様、誠にありがとうございました🙇‍♂️

ではまた✨




2022.2.21 投稿
2022.2.27 修正投稿