枯れない心 | ~心のやすらぎ~

~心のやすらぎ~

高野山真言宗の僧侶による法話ブログです。
毎月1話掲載してまいります。

 お盆が終わり、少しずつ秋の涼しさが感じられるようになってきたのではないでしょうか。

 

 私の住む町では夏になると、3ヶ所の向日葵畑が時期をずらしながら、順番に満開を迎えます。

今年も満開になった向日葵の花が、沢山の人たちの心に安らぎを、そして向日葵の持つイメージである元気を与えてくれました。

 

身は花とともに落つれども、心は香とともに飛ぶ

 

 お大師さまのお言葉で御座いますが、満開になった花は、いつかは枯れ落ちるが、その香りはすっと遠くまで延びていく、それは私たち人間の身体もいつかはとまってしまう、しかし、生きた証というものは遠くまで広がり、ずっと残っていくのではないか、そんな意味であります。

 

 沢山の人たちに、テレビの楽しさを伝えてくださった志村けんさんが亡くなって、2年半が過ぎました。

亡くなった後には、沢山の追悼番組、そして今でも定期的に過去の番組を放送し、いま生きている方々は、志村けんさんの生き様を敬いながら、私たちにどんな人であったのかを伝え続けてくださっています。

 

 志村けんさんは常に、大衆が笑顔になるように私たちに芸を見せてくださっておりました。それは多くの人たちを元気づけたことでしょう。

向日葵という花が、太陽に向かって成長し、私たちに元気を与えてくれるかのように。

 

 人生百年時代と言われる今日、長いようで短い年月、自分の歩んだ人生がどれだけ一生懸命で、どれだけ楽しんだか、それを良い香りとして残していくような生き方を、同時代に生きている皆様と一緒に、歩んでいけますことを願っております。

 

 南無大師遍照金剛

 

大空町 弘明寺 月原 真人 僧正