2020年2月5日、神奈川県逗子市で土砂崩れが発生し、高校生が亡くなるという痛ましい事故が起こりました。
擁壁は建築基準法や宅地造成等規制法などによって定められていますが、昔つくられた擁壁というのは現行の基準に合致していないことが多く、つまり一定程度の地震など発生した場合、安全性や耐震性が十分に得られません。
例えば擁壁の水抜き穴について、擁壁の裏面の排水をよくするために水抜き穴を設け、周辺には砂利等を詰めるよう昭和34年に法改正がありました。
水抜き穴が全くない擁壁というのは見なくなりましたが、水抜きパイプが土砂で詰まっていたり、何らかの理由でコンクリートで埋められてしまっているケースは見たことがあります。
また、札幌の宅地造成地にとても多いのが、「増積み擁壁」と「二段擁壁」です。
▼増積み擁壁
▼二段擁壁
こちらについては国交省で出している「我が家の擁壁チェックシート(案)」内でも「宅地の擁壁として適さないものです」「現在、変状がない場合でも構造上の問題について専門家に相談することをお勧めします」と明記されています。
(上記挿図も出典同じ)
増積みに関しては擁壁ではありませんが、大阪北部地震で小学校のブロック塀が倒壊した事件が記憶に新しいかと思います。
とにかく、構造計算などきちんと行っている場合を除き(その可能性も限りなく低いと思いますが…)、擁壁や基礎の上にさらに擁壁や塀をつくること自体が危険です。
札幌ではよくある光景すぎて問題視されずにいますが、今回のような土砂崩れや崩落事故など起こった際は、少しのケガでは済まない事態となるでしょう。
北海道の場合
今年は暖冬で雪が少ない状態ではありますが、これから春先に向けて雪解け水などにより、さらに地盤が緩くなります。
また、降雪時には増し積みされた部分に雪の圧力もかかります。
逗子市のような悲しい事故が起きぬよう、自宅の擁壁の点検や、危険な歩道などは通らないようにするなど今一度まわりを気を付けて見てみましょう。
逗子市の事件では石塀や土砂崩れのあったのり面がマンションの管理組合の所有の土地だったという事も話題となっており、一戸建てだけの話ではありません。
上段でご紹介しましたが、国交省でセルフチェックができるシートも出ていますので、活用してみてください。