「今の歴史というのは、正しく調べることになってしまった。いけないことです。そうではないのです。歴史は上手に「思い出す」ことなのです。歴史を知るというのは、古えの手ぶり口ぶりが、見えたり聞えたりするような、想像の経験をいうのです。」『学生との対話』小林秀雄 より
ついつい歴史的事実ばかりを追いかけてしまいがちですが、小林秀雄氏のこんな言葉を聞いてはっとする。何年に何があった、ということを追いかけつつも、そこに流れていた時間やそこにいた人の考えなどを想像していくと、俄然、リアリティが生まれて面白くなってくる。
特に中世鎌倉時代は残っている史料も少なく、古都保存法ができる前までは、宅地開発等のためと称して貴重な史跡であっても無惨に破壊されまくっていました。なので、ひたすら想像するしかない時代でもあるのです。
「歴史は決して出来事の連続ではありません。出来事を調べるのは科学です。けれども、歴史家は人間が出来事をどういう風に経験したか、その出来事にどなような意味あいを認めてきたかという、人間の精神なり、思想なりを扱うのです。歴史過程はいつでも精神の過程です。だから、言葉とつながっているのです。言葉のないところに歴史はないのです。」同『学生との対話』小林秀雄 より
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