え…これ…『シン・ゴジラ』でしたか?
目をゴシゴシしてしまった。
もしかして、シン・ゴジラは本作があったから作れたのですか……?
そうだったのかああああ!!!(突然の咆哮ごめんなさい)
社会派ゴジラが再降臨
前作『メカゴジラの逆襲』から9年。
ゴジラ誕生30周年記念映画として戻って来た、怪獣の雄叫びだ。
あらすじは、国家である。
大黒島が噴火した。
3か月後、近海をクルーズ中の新聞記者が漂流する漁船を発見。
船員は皆、異様な状態で亡くなっていた。
たった一人の生き残りが目撃していたもの、それこそがゴジラだった。
混乱を恐れ、事態を隠そうとする日本政府。
ゴジラの行動予測の根拠がとても分かりやすい。
登場人物は大人ばかり。
有能な科学者と制服組。
ゴジラ対策に知恵を絞る政治家たち。
上級国民が一般国民を守ろうとする姿だ。
そこからの流れにハッとした。
ソ連とアメリカ、日本が三つ巴である。
なにしろ、非核三原則がありますから簡単ではない。
皆が必死。
かなり地味。
いいです。
本当にシン・ゴジラがダブる。
恋愛パートと謎の武田鉄矢タイムがなければ、見紛うほどだ。
キャストとスタッフ
ゴジラは三白眼タイプ。かなり撫で肩。中の人・薩摩剣八郎の上手さか、感情が垣間見られる。↑銀座で電車…『ゴジラ-1.0』みたいいい!!(咆哮)
田中健が勇ましい。
宅麻伸がカッコ良すぎてクラクラした。
沢口靖子が初々しさ演技…と思っていたら突然、輝いたので驚いた。大器の予感みなぎる。本作で第9回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞し、挿入歌「さよならの恋人」も歌うという猛プッシュ。さすが初代東宝シンデレラ女優。
小林桂樹演じる総理の言葉に涙せずにいられない。
教授役の夏木陽介の説得力。
小泉博、佐藤慶、小沢栄太郎、鈴木瑞穂、織本順吉、金子信雄、加藤武の顔ぶれに唸る。実録映画ではないのに、この面々。子ども観客は置き去りだ。
武田鉄矢の出番は終始ポカーンなのだが、好き。
石坂浩二がいた。
橋本幸治監督は歴代ゴジラの助監督をされていた方であった。本作は大人に向けられている。この1作があったから今に繋がったのかもしれないと思うと、大変な功労者。音楽をあまり使わない緊迫感も良い。
中野昭慶特技監督なので間違いがない。シン・ゴジラが踏襲したのかと思えるシチュエーションも多く、素晴らしきミニチュア特撮に見入ってしまった。
特撮演出のせつなさが素晴らしい
画面に踊る白文字も、シン・ゴジラに似て…
と、シンゴジシンゴジ言っておりますが。
実際、本作は初代『ゴジラ』と区別するために『新ゴジ』と呼ばれていたのですね。
私事ながら、近年になって特撮怪獣にハマりましたので知らないことが多く、いちいち感激できてお得です。
登場する大怪獣がゴジラだけ、というのは初代以来。
つまり、ゴジラvs日本である。
政治家と自衛隊が頑張る姿。
膨大な数のエキストラ。
ゴジラの鼓動が聞こえる静寂。
生誕イベントに、ゴジラ単体で勝負した東宝の姿勢が尊い。
「生きた核兵器」のインパクト。
作戦もよくよく考えれば無理めなのだが、いや、そんなことはない。
なぜ大人二人が一度にロープにぶら下がるのか、などというツッコミも現場にいないから言えること。
ゴジラの巨大さが実感できる。
特撮職人の気概が見える。
のちに本作を踏まえたであろう傑作が登場するとは、胸が熱い。
なお、外務大臣役の鈴木瑞穂さんが11月19日に亡くなられた。いずれの出演作においても作品の質を担保して下さる名俳優だった。心からお礼を申し上げたいです。
※『シン・ゴジラ』の感想はコチラに
1984年製作/103分/日本
配給:東宝
監督:橋本幸治/特技監督:中野昭慶/脚本:永原秀一/原案・製作:田中友幸/撮影:原一民/美術:櫻木昌/装置:鈴木和夫、加藤慶一、沼倉信吾/塗装:水野明/建具:三ツ石仙太郎/木工:諸橋克己/組付:笠原良樹/装飾:田代昭男、市丸洋、佐々木大三郎/電飾:稲垣秀夫/音楽:小六禮次郎/録音:田中信行/音響効果:三縄一郎/照明:小島真二/主題歌:沢口靖子/編集:黒岩義民/衣装:川崎健二/特技撮影:山本武、大根田俊光/特技美術監督:井上泰幸/特技照明:三上鴻平/特殊効果:渡辺忠昭、久米攻/合成:真野田嘉一/視覚効果:安西武史/操演:松本光司、宮川光男/出演:小林桂樹、田中健、沢口靖子、宅麻伸、夏木陽介、内藤武敏、武田鉄矢、小沢栄太郎、鈴木瑞穂、織本順吉、御木本伸介、森幹太、金子信雄、山本清、加藤武、田島義文、村井国夫、小泉博、佐藤慶、江本孟紀、森本毅郎、薩摩剣八郎(ゴジラ)
※読んでいただいてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。
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