みんな大好きアニメ『ONE PIECE』(ワンピース)が、みんな大好き歌姫Adoを大フューチャリングした大ヒットアニメ。
興行収入197億円、動員数1427万人のオバケコンテンツ。
スクリーンで観た際に、圧倒的な音楽とキラキラ映像を堪能。
早くもAmazonPrime(アマプラ)で配信が始まったのだけれど、なんと、とあるワンシーンが修正されたというではないですか。
どこ!? どこを直したの!?
これは確かめなければなるまい。
(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
歌姫は新時代を作りたい
あらすじは、こうだよ!
人気爆発中の歌姫UTA(ウタ)が、初めてライブを開催する日。
会場は、いわくありの音楽島エレジアだ。
麦わらのルフィ率いる海賊仲間一行も、ワクワク来場して大賑わい。
UTAが歌えば群衆は酔いしれ、UTAが踊れば世界が色づく。
そう、UTAは世界を変えたかった。
戦いを終わらせて、新時代を作りたい。
平和を乱している奴は誰だ。海賊です。
ならば、海賊を駆逐しなくちゃ!
ところがUTAは、悪い海賊シャンクスの娘だと知られてしまう。
暴露したのは、ルフィである。
暴露系海賊。
空気読めないところがある。
凍り付くライブ会場。
そこからもう、ライブそっちのけ。
平和のために戦闘。
本末転倒だが、純粋とはそういうものだろう。
シリーズのお馴染みキャラクターが山ほど登場するのは、映画ならでは。
お祭りフェスティバルの勢いで、信念を歌いあげるUTA。
これは、アニメ・ワンピース・シリーズの外伝であり野心作だ。
いつもの調子とは、ちょっと違う。
キャストとAdoとスタッフ
軽く1,000人は超えそうな登場人物(本当)の中で、最重要人物はUTAである。
歌唱を担当したのはAdo、声優は名塚佳織だ。難しい役どころ。 2人で一役だから声は違うわけだけれども、違和感を感じなかった。
(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
名塚佳織の絶叫も切なく、Adoの表現力の高さに脱帽。同じ歌が幾度か流れるのだが、シーンごとの感情で印象が変わる。素晴らしい! シンプルに歌うまっ! 音痴(当方)の憧れ!
(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
↑この独特な風貌の爺さんゴードン役が津田健次郎なので、ツダケン萌えとしては想いが暴走しなくて助かった。にしても、上手い。
(C)尾田栄一郎/2022「ワンピース」製作委員会
個人的に神谷浩史が声優界イチ推しですので、トラファルガー・ローの出番が多めで嬉しい。
単行本はインペルダウン終了と共に燃え尽きた当方、えっと、いつの間にかルフィの仲間が増えている。あの魚… ルフィの戦闘も超人。まるで悟…
山田裕貴の声がこんなに響いていたとは!
テーマ曲『新時代』をはじめとする中田ヤスタカの音楽が良い。UTAの楽曲がどれも良い! Vaundy作詞作曲の『逆光』は出色。
大人気シリーズ『コードギアス』の谷口悟朗監督は初体験だが、迫力が相当。クライマックスの暗黒はメンタル攻撃を思わせて、めくるめいた。
『累 かさね』もとても好きだった黒岩勉脚本は、大量の人員をさばきながらも、切なさの極みだ。
大人向けワンピースの新時代
1997年に漫画『ワンピース』が連載開始してから、オーバー25年。
当時の少年少女も、すでに大人だ。
だからもう子供向けコンテンツとも、ちょっと違う。
本作は特に、大人向け映画と言っていい。
可愛いUTAに会えると無邪気に劇場に駆けつけた子どもは、驚いたかもしれない。
ええぇぇうわーん!!!だったかもしれない。
UTAの全楽曲はオリジナルなので、歌詞はストーリーそのもの。
夢や希望だったり、絶望や怒りだったり。
親子の情が横軸なのだけれど、親側の決断がもどかしい。
おいおいおい、と。
違う違うそうじゃない、と。
『ストリート・オブ・ファイヤー』と同じ印象である。
男が考える女の幸せは大概、的外れ。
子育ての難しさも思わせるので、親世代に遡及するテーマかもしれない。
大人への断罪にも見える。
子どもへのメッセージがあるとしたら、麻薬はダメ絶対ということだろうか。(本当)
これをワンピースでやってしまうのだから!
原作者・尾田栄一郎先生たっての希望でAdoが起用された、というよりもです、Adoにインスパイアされたのだろう。
Adoの歌声には焦燥感がある。
長く続くシリーズで、全く違うストーリーを持ってくる。
枯渇しない想像力には、ただただ脱帽だ。
アマプラでの修正(ネタバレ)
↓ここからは、ネタバレしております
↓ネタバレしております
↓ネタバレご注意です!
アマプラ版では、一か所に手が加えられた。
ゴードン爺さんとの食事シーンで、UTAの右目にハイライトが入った。
瞳の中に、小さな白い〇が描かれたのだ。
そのため、瞳が輝いて見える。
ゴードンに引き取られてからの時間、ずっと死んだような目をしていたUTAの表情が、その時だけは一瞬輝く。
この修正をどう感じるかは人それぞれ。
UTAにも喜びがあった、ゴードンとの心の交流がしっかりとあったと捉えるのか、だから一層に哀しくなると思うのか。
当方は、後者であった。
後味が、猛烈に悲しい。
正直、ひどいひどいと殴りかかりたくなる。
残酷ではある。
賛否両論も無理もない。
何もこれをワンピースでやらなくてもいいのかもしれない。
けれどUTAという無垢なキャラクターを好きになった当方は、この映画が好きでした。
2022年製作/115分/G/日本
配給:東映
監督・絵コンテ:谷口悟朗/原作・総合プロデューサー:尾田栄一郎/脚本:黒岩勉/キャラクターデザイン:佐藤雅将/美術設定・美術監督:加藤浩/美術監督:坂上裕文/色彩設計:横山さよ子/撮影監督:江間常高/音楽:中田ヤスタカ/主題歌・劇中歌:Ado/出演:田中真弓、中井和哉、岡村明美、山口勝平、平田広明、大谷育江、山口由里子、矢尾一樹、チョー、宝亀克寿、名塚佳織、神谷浩史、高戸靖広、水島裕、森久保祥太郎、土屋美加、永野広一、小山茉美、杉田智和、立木文彦、置鮎龍太郎、関智一、梶裕貴、桑島法子、山田裕貴、粗品、せいや、新津ちせ、竹中直人、津田健次郎、池田秀一
※読んでいただいてありがとうございます。情報に誤りがありましたらご一報いただけたら幸いです。敬称略です。
スクリーン/Amazon prime
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