あらすじ
マフィアに金を返すため、犯罪の片棒を担がされる青年。その名もベイビー。
彼の特技は車の運転で。どんな場所からでも、強盗犯を逃がす天才ドライバー。
もう少しで借りが終わるという時に限って、持ち込まれた厄介な仕事。
音楽と車が一体化。脳天が踊り出す高速モーターアクション映画。
大興奮カーアクション
この躍動をどうお伝えしたらいいのか分からないのですけれども、鑑賞中、ずっと踊り出したくなって大困惑。
面白い映画は２分で分かる。
1曲めが流れるまでに、察した。
あ、これはヨダレ止まらない系だと。
音楽が鳴り響くと同時に、心も一足飛びにフルスロットル。
となると、中弛みするのが一般的な映画の常。
しかし、そんな心配はご無用。
どこまでもアクセルをベタ踏み状態。
ガソリンが切れそうになるが、それでも全開。
ああ！ これだこれです。
カーチェイスの醍醐味！
『バニシングin60"』、『フレンチ・コネクション 』、『ブルース・ブラザース』も思い出す。
CGじゃないよ、カースタントマンが公道を本当に運転しまくってるよ、ガリガリ行ってるよタイプのリアル・カーアクション。
ギアが入る。
アクセルを踏む。
タイヤが軋む。
車に疎いババア（当方）、こんな描写しかできず恐縮です。
とにかく、車だ車。
そこに被るのが、あらゆる類の音楽である。
止めどもない！
幸運にも、大阪の梅田ブルク７はDolbyCinema（ドルビーサラウンドシネマ）シアターで上映されており。
より一層に、全身が音響に包まれた。
音楽の坩堝である。
まるでクラブに放り込まれたよう！
と、クラブに行ったことのないババアが申しまして恐縮です。
そうなると終始、嬉しい放心状態。
ストーリーが面白いときているのだから無敵。
しかも、車はスバルからトヨタに乗り換えるのだから、失禁である。
スタッフ、キャスト
エドガー・ライト監督・脚本
面白くてカッコよい映画を作る英国人。常にセンス爆発。グレートブリテンありがとうの気持ちに。『ショーン・オブ・ザ・デッド』はゾンビ映画を変えた。『ホット・ファズ』も観なければ。
アンセル・エルゴード
ジェイミー・フォックス
強盗犯役。当て書きでしょうか。サイコ野郎を嬉々として演じている。好き。
ジョン・ハム
強盗犯役。渋い！カッコよい！
リリー・ジェイムズ
恋するウエイトレス役。どえらい美人なのだが、『イエスタデイ』の地味子と同一人物って本当ですか…！？ 女優の可能性は無限。
CJ・ジョーンズ
爺ちゃん役。セリフが無かったと思えないくらい、饒舌。実際に聴覚障害者の俳優さんで、今作が長編デビューとのこと。驚きだ。助演男優賞を差し上げたい。
ケヴィン・スペイシー
ボス役。本当に惜しい俳優を失ったものだ。って、まだ亡くなってはいないが。同性若手俳優へのセクハラにより、今では俳優生命が絶たれている。ベイビーの身も心配になってしまった。こんなに上手いのに。
スティーブン・プライス音楽
選曲の素晴らしさ。タイミング。強弱。『ゼロ・グラビティ』の方だったとは、才能に絶句。
ベイビーフェイスが駆け抜ける
アカデミー賞ノミネートされた音響録音が、素晴らしい。
車が擦り擦られ、悲鳴をあげるような音がもう！
音が鳴り続ける映画は、冗長になりがち。
だが、そこに理由がちゃんとあったら、どうだろう。
事故の後遺症で耳鳴りが止まらないから、音楽を聴き続けているベイビー。
憎いくらいのエピソードだ。
ベイビーフェイスの青年が、重罪犯のお手伝い。
命を懸けて手を汚す。
けれど、守りたいものが彼にはあるので。
そういうものは、増えていくので。
嫌な仕事ばかり押し付けられるのは、うんざりだ。
そんな青春が爆音の中で紡がれていくから、たまらない。
深夜のダイナー。
昼間のオフィス街。
組織のアジト。
アホアホしくて、ヤバいマフィアしか出てこない。
笑いと、手汗と、可愛げと、スタイリッシュ。
目まぐるしく疾走するベイビーを追うカメラ。
たぶん、操るカメラマンも必死。
彼らも実際に走ったり飛んだり突っ込んだりしているのかと思うと、凄すぎて可笑しいやら胸が熱くなるやら。
公開当時、映画ファンが大騒ぎしていたのだが。
そりゃそうだ。
こんなにも面白いのだもの。
劇場で観られたタイミングにも感謝である。
ご自宅でご鑑賞の際は、耳鳴り寸前まで心もボリュームを上げて、どうぞ。
予告編
DolbyCinemaスクリーン字幕
※当記事は個人の感想でございます。情報に誤りがございましたらご一報いただけますと幸いです。
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