ミュージカルだと思って観に行ったら、何ですかコレは何なのコレは何なんだこのライブ感は!
ここはライブハウスですか。
ストリートですか。
武道館ですか。
いいえ、映画館です。
体が踊り出すんである。
キラーチューンが何度も繰り出されるんである。
ヒットチャートを一気見の様相だ。
スクリーンで躍動するダンス&ミュージックは、まさに、生の喜び!
ああ、なんて最高にグレイトなショーなのか!
19世紀のアメリカに、P・T・バーナムという人がいた。
サーカスという形態を作り上げた興行師である。
その半生を、ポップスとロックとタップと群舞で魅せて描き上げた。
メインのエピソードは実話である。
一人の男の半生だから、ストーリーは駆け足。
劇中歌のようにグイグイ進む。
楽曲を活かす、この潔い采配はどうだ。
まるで、ブロードウェイ・ミュージカルではないか!
ブロードウェイ、行ったことがないけれども!
P・T・バーナムを演じたヒュー・ジャックマンは、まさしくキング!
歌もダンスも顔もスタイルも性格もマナーも良く、ユーモアも兼ね備えているとか、超人か。
バーナム夫人役のミシェル・ウィリアムズ、こんなに多才だとは!
先般、婚約が発表されたが実に嬉しい。
故ヒース・レジャーとの娘も、もう12歳。幸せになってほしい。
若き劇作家役のザック・エフロンの熱視線に恋しそう。キモい。
ミュージカル作品で歌担当を外された屈辱から猛特訓しての、歌唱力! 向上心が、まばゆい。
空中ブランコ女子のゼンデイヤは、女神!
纏う衣装も美麗で、しなやかな肢体に目が潤う。
歌姫役のレベッカ・ファーガソンは、感情表現が卓越。
歌唱を吹き替えたローレン・オルレッドの歌声は、鳥肌モノ。
『This Is Me』を歌うキアラ・セトルはオアフ島出身、ブロードウェイ所属。
オーディション即合格の彼女は鳥のような、獣のような美声で映画の核を作った。
楽曲担当は『ラ・ラ・ランド』のベンジ・パセックとジャスティン・ポールだから、ザ・ポップス!
マイケル・グレイシー監督は、これがデビュー作とは!
『NARUTO -ナルト-』の実写版にも抜擢されたらしいので、期待。
今作、後味が非常にディズニー映画に似ているのだけれど、それも道理、脚本のビル・コンドンは『美女と野獣』の監督だから!
ウルヴァリン・シリーズでヒュー・ジャックマンと組んできた『LOGAN/ローガン』監督のジェームズ・マンゴールドが製作総指揮と、鉄板の布陣である。
夢を追う男であり。
夢の為には女房も泣かす、的な浪花節さえ、無い。
天然である。
生粋の山師で、詐話師。
名声の為とか、成功の為とか。
そんなものは何でもいいのである。
誰かの欲望が、誰かを救うことがあるから。
今作で描かれる、様々なハンデを持った人々は、現代でもなお、仕事の選択肢が狭い。
誰にでもライトを浴びせたい、金を稼がたいという立ち位置は学ぶところしかない。気がします。
テーマは幾重もあって、深い。
しかし口当たりが軽やかだから、また観たくなる。
当方、2回目は隣が空席なのをよいことに、実際、踊った。
2009年のアカデミー賞授賞式、ヒュー・ジャックマンが繰り広げたミュージカル・ショーは素晴らしく、そこから着想を得た今作だ。
映画自体が、ショーに特化している。
エンドロールも美しい。
バーテンダーも最高だ。
子どもたちも、愛らしい。
差別や区別といったものは、片側にしか利さない。
ショーは楽しくなければ。
全ての観客を笑顔に。
そのことに、賭けた男である。
【バーナム効果についてのおまけ】
ちなみに、バーナム効果という言葉があります。
占いなどで多く用いられる、誰もが思い当たることを告げられると、自分だけが当てはまるように感じてしまう、というものです。
たとえば、「あなたは寂しがり屋だけど、時には一人になりたくなりますね?」といった具合。これは、
1956年にアメリカ合衆国の心理学者、ポール・ミール(P.E.Meehl)が、興行師P・T・バーナムの "we've got something for everyone"(誰にでも当てはまる要点というものがある)という言葉に因んで名付けた。Wikipedia
なんですって。
スクリーン(2018年鑑賞)
The Greatest Showman
監督:マイケル・グレイシー
脚本:ジェニー・ビックス、ビル・コンドン
製作総指揮:ジェームズ・マンゴールド 他
撮影:シーマス・マッカーベイ
美術:ネイサン・クロウリー
衣装:エレン・マイロニック
楽曲:ベンジ・パセック、ジャスティン・ポール
音楽:ジョン・デブニー、ジョゼフ・トラパニーズ
出演キャスト:ヒュー・ジャックマン、ザック・エフロン、ミシェル・ウィリアムズ、レベッカ・ファーガソン、ゼンデイヤ、キアラ・セトル、ヤヒヤ・アブドゥル・マティーン2世、サム・ハンフリー、エリック・アンダーソン、ポール・スパークス、バイロン・ジェニングス、ベッティ・アイデム
※鑑賞の感想です。情報に誤りがございましたら御一報頂けましたら幸いです。