何かが変化する時には光が放たれる。
原子しかり、ウィルスしかり、STAP細胞しかり、人も、だ。
映画のシリーズも終焉に、ひときわ輝くことがある。
アメコミ映画の大人気シリーズ『X‐MEN』の一員、ウルヴァリン。
その最後の映画だ。
私事で恐縮ながら、ウルヴァリン映画を初体験。
X‐MEN本編しか観ておらず、狼男だと思っていた。ごめんなさい。
ミュータント(突然変異体)である。
毛モジャで動物的能力を持ち、年を取らない。
アンチエイジングの理想形。
が、今作では年を取っている。
この設定の意味するところが、全て。
ウルヴァリンの前に現れる少女との交感。
走り出す彼らの姿。
必死である。なんと尊いのだ。
ウルヴァリン役を17年間演じてきたヒュー・ジャックマンの、最高の花道。
アメコミ映画は各種映画賞で評価されにくいけれど、主演男優賞にゼヒ推したい。
渾身の芝居だ。俳優の力は無限大。
プロフェッサーX役のパトリック・スチュワートの表情!
一挙手一投足がもうね、ずっとそばにいたくなる。
白塗りスティーヴン・マーチャントの忘れがたさ。
ボイド・ホルブルックの悪態に胸ズキュウウンと撃ち抜かれるので、お気をつけて。
少女役のダフネ・キーンは映画初出演とは思えない!
アクロバット、バレエ、体操を習得しており、壮絶アクションもスタント無し。
両親ともに俳優で、英語・スペイン語OK、4歳で劇団を作ったって本当ですか。(失神
ジェームズ・マンゴールド監督はオールド・ウルヴァリンを描いた原作を下敷きに、独自色。
各キャラクターに対して愛のみ。
カーアクションも格闘も凄まじい。大いに発汗。
観終わってみれば、あっという間。
しかし振り返ると、彼らと共に走り続けた時間が永遠にも思える濃密さ。
どうやら、シリーズ中最多の出血量であった模様。
痛い、ということがよく分かる。
彼らの闘いが、我々の痛覚をも刺激するからだ。
まるで西部劇で、ロードムービー。
時に軽妙で、時に深刻。
マイノリティへの真摯なテーマ性。
ハリウッドエンターテイメントの長所が詰まりに詰まっている。
涙は流れたけれど、お涙ください映画とも違う。
映画界のヒーローが幕を引く。
多くの人に惜しまれながら、だ。
その神々しさに、スクリーンも震えるような雄姿。
傑作かと思う。
スクリーン(試写会をシネマパレ会の方にお誘いいただきました。ありがとうございます!)
LOGAN
2017年・アメリカ
監督・原案・脚本・製作総指揮: ジェームズ・マンゴールド
脚本: マイケル・グリーン、スコット・フランク
製作総指揮: スタン・リー
出演: ヒュー・ジャックマン、パトリック・スチュワート、リチャード・E・グラント、ボイド・フルブルック、スティーヴン・マーチャント、ダフネ・キーン、エリザベス・ロドリゲス、エリック・ラ・サール、エリゼ・ニール、クィンシー・ファウス
ジェームズ・マンゴールド監督⇒ 『ナイト&デイ』
※鑑賞の感想です。情報に誤りがございましたら御一報頂けましたら幸いです。