仕事の話ですが

 

 

 

結構なピンチを迎えていました。

 

 

社員に仕事を用意できなくなる展開に追い込まれましたが

 

 

意外にも、あっさり新しい事業先と契約を結ぶことができたので

何とか、会社を休みにするという選択をせずに済みました。

 

 

 

私はたいてい、調子に乗ると想定外の方向に物事が進んでしまうことが多いので

まだまだ気を引き締めて、警戒しつつ物事を運んでいこうと思います。

 

 
 

 

 

 

そういえば、

12歳年下の 同級生の兄弟とまた話す機会があった。

 

 

私と同じゲームをしていた 笑

 

 

意外なところで、接点があるものだなぁ。

 

 

 

 

 

 

 

さて

前回の話の続き。

 

 

 

前の話はこちらからどうぞ。

12年前の君へ #01 高校2年生

12年前の君へ #02 ファーストコンタクト

12年前の君へ #03 入部決定

12年前の君へ #04 異変

12年前の君へ #05 水曜日

12年前の君へ #06 法則性?

 

 

 

 

 

~~~~~~~~~#07 アプローチ~~~~~~~~~

 

翌日の昼休み

 

 

私は階段をゆっくり登り

1年生のフロアに向かっていた。

 

 

 

私は少し、緊張していた。

 

 

1年生の教室に行き、渡辺さんに声をかけに行くとなると…

 

『はて、どう声をかけたものか』

そんなことを悩みながら、階段を一歩一歩踏みしめていく。

 

 

 

何気に、部活動の時間以外で声をかけたことがなかったんだなとしみじみ感じていた。

 

 

 

 

そんなことを思っているうちに、1年生のフロアに着いてしまった。

 

 

 

進学クラスは、決まって右端にある。

だから、迷うことはなかった。

 

 

 

進学クラスの前まで来た。

 

 

 

普段の私なら

やっぱりやめておこうかな。と怖気づいてしまうが

”部長だから”という免罪符が、見知らぬクラスに行く恥ずかしさを和らげてくれていた。

 

 

 

クラスの前まで来て気付いた。

 

『あ、そもそも渡辺さんの席がどこか知らない…』

そう思った私は、意を決して

教室の前のドアから「失礼します」と声をかけて入った。

 

 

 

『分からなければ、見て把握すればいいじゃないか』と考えていた。

私は、変に無鉄砲で度胸があるときがたまにある。

 

 

 

 

 

幸い、見知った顔があった。

 

 

 

赤池くんだ。

 

 

教室に入った私に気付いたのか、彼が私のもとにきて声をかける。

 

 

「部長、何か用ですか?」

 

 

 

「あぁ、渡辺さんに用があって来たんだけど、席ってどこか分かる?」

 

 

 

「渡辺さんの席なら、そこです」

そう言って、指をさしてくれた。

 

 

幸い、教室の後ろのドアのすぐ近くだった。

 

 

「ありがとう」
「いーえー」
赤池くんに礼を伝えて、一度教室を出る。
 
 
 
 
 
そして、教室の後ろのドアを開けようとしたが
 
 
 
何かにつっかかって、ドアが1/3くらいしか開かなかった。
 
 
『あれ?』
と思っていると
 
 
他のクラスメイトが内側から、つっかかりを直してくれた。
 
 
今度はきちんとドアが開いた。
 
 
 
 
すぐ目の前の席には、ポニーテールの酒井さんがいた。
 
 
どうやら、彼女がつっかかりを直してくれたらしい。
 
 
 
「あ、先輩、どうしたんですか?」
そう尋ねられて
 
 
「渡辺さんって」と言ったところで
 
 
「渡辺さんの席は、そこですよ」と、指をさす。
 
 
 
 
私から見て、教室のドアのすぐ右が、彼女の席だった。
 
 
どうやら、ドアにつっかかっていたのは、彼女の荷物だったようだ。
 
 
 
渡辺さんは、席に突っ伏していた。
 
 
 
「彼女、今寝てます。」
 
 
 
「あぁ…そうなんだね。」
 
 
 
「何か用があったんです?」
 
 
 
「この間、体調崩しちゃったみたいだから、少し気になって声をかけに来たんだ」
 
 
 
「そうだったんですね。確かに彼女、調子崩しちゃうときがあるんですよ」
「今も寝てますが、休み時間はだいたい寝てます。」
 
 
 
「そっか、ありがとう。また来るよ。」
 
 
そういって、彼女の教室を後にした。
 
 
 
 
 
 
次の休み時間に来ることにした。
『できれば、昼休みの間に話したかったけど、仕方ない』
通常の休み時間は、10分程度で時間がシビアなのだ。
あまりゆっくりしていられない。
 
 
 
 
 
 
5時限目の後の休み時間
 
 
この時間を逃すと、次は放課後になる。
 
 
 
 
私は、駆け足で階段を登り、1年生の進学クラスへと向かった。
 
 
教室の後ろのドアを開ける。
 
 
 
今回は、スムーズに開いた。
 
 
 
 
渡辺さんの席に目を向けると
彼女の起きている後姿が見えた。
 
 
『すぐ後ろのドアが開いてもこちらを見ないとは。
でも、確かにここから出入りするクラスメイトもいるだろうと考えると
気にしなくても当たり前か』
なんて勝手に考えていた。
 
 
他のクラスメイトもいる中なので、
あまり目立たないように小さめの声で呼びかけた。
 
 
「渡辺さ~ん」
かなり近い距離なので、この声の大きさで気付けるだろうと思っていたが
彼女は気付かなかった。
 
 
 
「○○ちゃん」
酒井さんが、彼女の名を呼んでくれた。
 
 
 
渡辺さんが、酒井さんの声に気付いて振り返る。
 
 
「渡辺さん」
 
私の声に気づいた彼女は、
「あっ、先輩」と言いながら真後ろを向いた後
脚を椅子の正面から、左の面に移して
横を向いて私を見る姿勢に変えた。
 
 
 
「先輩、どうしたんですか?」
 
「ほら、昼休みにも来てくれたけど、寝ちゃってたから、また来てくれたんだよ」
 
 
「あっ、すみません。私、寝ちゃってて」
 
 
 
「ううん、いいんだよ。」
 
 
「昨日も体調崩してたから…ちょっと気になって…それで来たんだ…」
 
階段を駆け上がってきたせいで、呼吸が荒くなっている。
『こういう時くらいは、呼吸荒くなるなよ! 変な風に思われたらどうする!』と思いながら
なんとか、呼吸を落ち着かせようとする。
 
 
 
「あっ、ありがとうございます。でも、今は大丈夫です。
たまに、体調を崩しちゃうときがあるんです。
普段、そうならないように薬を飲んでるんですけど、そのせいで昼も眠くて」
 
 
 
『いや、今は大丈夫なのは見れば分かるよ』と内心ツッコミを入れつつ
 
 
「あぁ…そうなんだね…薬飲んでるなら…よかったよ。」
まだ私の息は落ち着かなかった。恥ずかしいわ。
 
 
 
「今日も、部活来れる?」
そろそろ会話を切って、自分の教室に戻らないといけない時間だ。
 
 
「はい。今日も行きます」
 
 
「うん。分かったよ。」
 
そういって、私は教室を出ていった。
 
 
 
『とりあえず、部長としての責務は果たせたかな。良かった。』
私は、ちょっとした充実感を感じていた。
 
 
~~~~~~~~~続く~~~~~~~~~