ケニアで不法入国や電信を利用した犯罪にかかわった疑いで裁判を受け、無罪を言い渡されたが強制退去処分になった台湾人22人を、中国当局が自国に強制連行したとして、台湾で猛反発の声が上がっている。台湾では国営の中央通訊社などが、同事件の報道を続けている。
ケニアのナイロビで2014年に火災により華人1人が死亡した。現地警察は同火災の背後に、不法入国と(電話など)電信を悪用した詐欺犯罪があったとして、台湾人28人を含む華人77人の身柄を拘束した。
ケニアの裁判所は16年4月5日に、台湾人23人を含む37人に対して、無罪を言い渡した。しかし、23人は釈放するものの居住地については制限を設け、21日ないにケニアを離れるよう命じた。
現地警察は37人全員の身柄を拘束しつづけた。その後、中国当局関係者が、台湾人も中国に行かせることになった。
台湾側は12日、同時点で台湾人22人が強制的に中国行きの航空機に搭乗させられたと表明した。何度かに分けて送られたが、収容先で抵抗したためにケニア警察が催涙ガスを使用したこともあったという。台湾側はケニアに対して厳重に抗議した。
「電信を利用した詐欺犯罪」の詳細は伝えられていないが、中国では数年前から、国外に拠点を置いた、いわゆる「振り込め詐欺」の発生が問題視されていた。
2011年にも、フィリピンを舞台に同様な事態が発生し、当時のフィリピンは「被害者が中国人である」、「中国は1つとの原則がある」との理由で、台湾人容疑者14人も中国に連行することを認めた。台湾は中国と「両岸が共同で犯罪に打撃を与えることと司法について相互協力うる合意」に基づき、4か月後に14人を台湾に戻した。
同件について、台湾の馬英九総統は、「大陸側が台湾住民を強制連行した。われわれへの事前通告もなかった。進め方の正義の反した」として、中国大陸側に強く抗議した。中国側に、連れ去られた台湾人を台湾に戻すことを強く要求しているという。
台湾では一方で、馬総統を批判する声も高まった。馬総統が9日、尖閣諸島から比較的近い彭佳嶼を視察して、日本との平和的な共同開発を主張しつつも尖閣諸島への主権は強調する談話を発表したことから、「自らの人民もほぼできないで、主権について大声で語っている」との批判が出た。
馬総統が2015年11月に中国の習近平国家主席とシンガポールで会談したことに触れ「中国とのホットラインはどうなったのだ」と皮肉る声もある。
写真は中央通訊社が伝えた、収容された部屋で中国への強制連行に抵抗する台湾人の様子を示す記事。その後、催涙ガス弾が撃ち込まれたという。(編集担当:如月隼人)
参考:・15人拒遣返陸 肯亞警強制執行影片曝光
ケニアで不法入国や電信を利用した犯罪にかかわった疑いで裁判を受け、無罪を言い渡されたが強制退去処分になった台湾人22人を、中国当局が自国に強制連行したとして、台湾で猛反発の声が上がっている。台湾では国営の中央通訊社などが、同事件の報道を続けている。 ケニアのナイロビで2014年に火災により華人1人......