如月隼人のブログ
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数字は正直でも人を騙す…中国関連記事を題材に簡単なカラクリをご紹介

こんな記事がありました。
 
 
AFPの中国関連の記事を読むと、「なんじゃ、これ!?」と思うことがよくあるのですけど、この記事もそうでした。新華社の記事をそのまま使ったみたいですから、チェック機能が働いていないのかもしれない。
 
まず、中国で高齢化が進んでいるのは事実です。しばらく前までやっていた、いわゆる「一人っ子政策」の影響も大きいのですけど、栄養状態や医療の改善が進んでいるのも事実。政府が「善政」を施すと、高齢者は必然的に増えるわけですから、100歳以上のお年寄りが増えていることは、悪いことじゃない。
 
ただ、数字によって人は騙されやすい。数字そのものが「正直」だとしても、使い方によっては「結論が大ウソ」なんてことも、よくあります。
 
まず、海南省に住む100歳以上の高齢者を2200人として計算しましょう。海南省の人口は2018年の統計で、925万1518人とされています。二つの数字をそのまま使えば、人口10万人あたりの100歳以上高齢者の人数は「23.8人」です。
 
さて、この人数は多いのか少ないのか。そこで日本の状況と比較します。使ったのは日本経済新聞の9月12日付の記事です。
 
 
日本の総人口は統計局の発表に準拠しました。
 
 
統計局による「9月1日現在の日本の人口は1億2615万人」と日経記事の「日本全国の100歳以上の高齢者は7万1238人」を使って計算しました。。
 
すると、日本では人口10万人あたりの100歳以上高齢者が56.5人。海南省の約2倍ですね。日経記事によると、日本の都道府県で人口10万人当たりの100歳以上高齢者が最も多いのは高知県の101.42人です。つまり海南省の4倍以上。
 
もちろん日本人の平均寿命は世界のトップレベルですから、海南省の100歳以上高齢者の率が日本より低いこと自体はおかしくない。ただ、AFP記事の見出しにある「世界の長寿島」は、いくら何でも“盛りすぎ”です。
 
どうして、こんなことになったのか。まず、「数字から受けるイメージ」を無批判に受け入れたためでしょうね。超高齢者が増えたと言っても、自分の周囲に100歳以上のおばあさん/おじいさんが、そう多くいるわけではない。「あそこの家のおじいちゃんは100歳をこえた」なんて話を聞くと、「へえええ」となりますよね。
 
つまり、海南省での100歳以上の高齢者の「2200人」という数字だけで「へえええ」と思ってしまった。思うのはいいんだけれど、その数字が大きいのか小さいのか、確認しなかった。だから、安直にも「世界の長寿島」などと書いてしまったわけです。
 
私は、経済などを含めて社会現象を調査した結果として得られた数字を理解するコツは「縦の比較・横の比較・割り算」と考えています。「縦の比較」とは時系列による比較、「横の比較」は他者との比較です。「割り算」は、「単位当たり」の数字を知ることで、規模感による「目くらまし」を解消する方法です。
 
考えてみれば、経済分野では「前年比」「国別の比較」「人口1人当たり」といった方法で、数字を比較して客観的に評価する方法が常識として使われていますが、社会現象になると、考えがそこまで至らない場合もあるようです。
 
なお、数字はその「スケール」が意味を持つ場合があります。私が気に入っているクイズに「重さ15kgのウラニウムの塊が二つある。両者を一緒にすると何ができるか?」というのがあります。答えは「直径数百メートルの穴ぼこ」です。SF作家のA.C.クラークの作品にあった話です。
 
これは極端な話ですが、数字のスケールそのものが意味を持つ場合には、「割り算」によって得られた結果が、判断を誤る原因になる場合があるので、注意が必要です。

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