【本】『ティンカー・ベル殺し』を読んでピーター・パンを読み返したくなる | ミステリな日常。

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 先日、仕事から帰宅した高津くんは

「帰宅途中で、いのししを見たよ」と言った。

「怖いね。気をつけてね」

 すると

「その前は、鹿を見たよ」と言った。

「怖いね。気をつけてね」

「最近、毎日、どちらかを見ている気がする」

 どんな山奥に行っているんだ。

「私、結婚前より都会に住んでいる気がしているんだけど」

「うん」

「もしかして高津くんだけ、違う世界に行ってない?」

「そんなことはないよ」

 都会に住んでいるというのは、私の幻想なのかもしれない。

 そういえば、私も以前帰宅途中で猿を見たことがある。

 最近は、都会にも動物がいるんだね(遠い目

 

 先日『ティンカー・ベル殺し』(小林泰三)を読んだ。

 本の説明には

「夢の中では間抜けな“蜥蜴のビル”になってしまう大学院生・井森建。

 彼はある日見た夢の中で、活発な少年ピーター・パンと心優しい少女ウェンディ、そして妖精ティンカー・ベルらに拾われ、ネヴァーランドと呼ばれる島へやってくる。

 だが、ピーターは持ち前の残酷さで、敵である海賊のみならず、己の仲間である幼い“迷子たち”すらカジュアル感覚で殺害する、根っからの殺人鬼であった。

 そんなピーターの魔手は、彼を慕うティンカー・ベルにまで迫り……ネヴァーランドの妖精惨殺事件を追うのは殺人鬼ピーター・パン!」

 と書かれている。

 『アリス殺し』から始まるシリーズ物だ。

 夢の世界と、現実世界との関わりを自分なりに推理するのが楽しいのだが、これがなかなか難しい。

 特に今回は、殺人鬼であるピーター・パンがなぜか探偵で刑事で裁判官で死刑執行人をこなすという理不尽な流れになるのだ。

 いや、おかしいだろうとツッコミたくなる。

 最後まで読むと、ああ、そういうことだったのか!そういう伏線か!と気持ちよく思えたのだが。

 

 さて、そんなピーターは、迷子たちに妖精を殺したか質問されてこう答える。

「今日、何匹妖精を殺したかだって?その質問には答えられない。だって、今日何回唾を飲み込んだとか、今日何回瞬きをしたとか、今日何回息をしたとか、答えられるか?それと同じで殺した妖精の数なんかいちいち覚えちゃいない」

 きっとピーターは、今まで食べた食パンの枚数も覚えていないんだろう(謎

 そんな『ティンカー・ベル殺し』。

 残酷なシーンもあるので、気をつけて!(指の隙間から読む派)