能登半島地震の記憶 | 愚僧日記3

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知外坊真教

能登半島では2017年3月25日にもマグニチュード6.9 震度6強という地震が起きました。私は10月に能登に災害ボランティアとして行ったことがあります。


発災から半年ほど経っていましたが、国道のいたるところに地割れや段差が残っていました。発災直後はもっと酷かったのでしょう。


私の友人の僧侶は、早くから被災地に入って活動してました。瓦礫の撤去や墓石の積み直しなどをしていました。その後、避難所に避難している人のために足湯隊を結成して、避難者への足湯を提供していました。私は、この足湯の提供のお手伝いに行ってきました。


すでに半年を過ぎて、避難所は仮設住宅になっていましたが、皆さん疲弊していました。疲弊する大きな要因は、避難生活が長期化していたのもありますが、避難した人たちの中で、腸管出血性大腸菌O157が発生したことが響いてました。


O157にはアルコール消毒は殆ど効果がありませんでした。慌ててクレゾール石鹸液を探してきて使っていました。私が行ったときも、手洗いはクレゾール石鹸液でした。


能登半島というのは、渥美半島に似ています。数本の道路が通行止めになると物資の補給が遮断されてしまいます。それは通信や電気も同じ事で、ライフラインが災害に弱いという地理的な弱点があります。


その後、東日本大震災の被災地にも、この足湯隊は大活躍しました。その時に、ただひたすら避難所のトイレ掃除ばかりしていた仲間がいました。


トイレは汚れがちでした。そんなトイレに行きたくなくなると、水分摂取量を減らしがちです。するとエコノミークラス症候群が起きがちです。


仲間の看護師が被災者に、適度な運動や水分摂取を呼びかけ、仲間の僧侶がトイレ掃除をするという風景でした。アルコール消毒が苦手な人もいますから、彼はベンザルコニウム塩化物液を使ってトイレを消毒していました。ベンザルコニウム塩化物液は、体育館の床の消毒にも活躍しました。


東日本大震災の被災地では、大量の瓦礫の山ができていて、風が吹くと砂埃が舞いました。


そんなこんなの経験から、私の寺には、マスクとアルコール消毒液、ベンザルコニウム塩化物液をストックするようになりました。


皮肉にも、このストックはコロナ禍に役立ちました。備えは平時にするべし!という教訓が活かされました。


このたびの能登半島地震で、あらためて震災被害の恐ろしさを呼び覚まされました。そして能登半島という渥美半島に似た地理的条件を鑑みて、平時の備えを万全にしておかなければと思いを新たにしています。