愚僧日記3

愚僧日記3

知外坊真教


数年前の日記から


ジョアン・ハリファクスさんは、著書『Compassion』で、思いやり、結びつき、美徳、強さを実践するための心の財産として、利他性、共感、誠実、敬意、関与の五つをあげている。でもこの五つの心の財産は、危うさも秘めている。


数日前、ひとつの水子供養をした。中絶だった。若い頃からつきあっていた男性がいた。しかし、満たされない気持ちを別の男性との関係をもつことで満たしていた。そんなときに妊娠。どちらの子なのか分からない。このまま産んで育てるのは辛かったのだ。


般若心経を10枚ほど写経して一緒に供養したいと持ってきた。


そして今日、、、別の人の安産の御祈祷をしたんだけれど、壇の上に件の写経と、安産の御札がある。


無性にやるせない気持ちになった。もちろん、写経した彼女は、ひとえに中絶した子どもの供養のために持ってきたのだ。それはそれは悩んで、不安な気持ちをもったまま、婦人科で中絶の処置をしたのだろう。


一方で、なに不自由なく子どもを産もうとしている人もいる。ひとつの壇の上に、安産の御祈祷の札があり、供養のための写経もある。


前述の『Compassion』には、こんなことも書いてあった。


知ったつもりにならない(Not-Knowing)

ありのままを見届ける(Bearing Witness)

慈悲に満ちた行為(Compassionate Action)


勇気ある利他性を育てる道筋だとのこと。


何の障害もなく幸福な生活を送って妊娠する人もいる。喧嘩ばかりしていた両親のもとに産まれて、人生の大半を離婚した母親と生活してきた人もいる。どちらもありのままの姿なんだよね。


やるせないと思ってしまう気持ちに気づきつつただ祈る。


今日一日、ふたりが幸せな日でありますように。