能登半島地震から渥美半島が学ぶこと | 愚僧日記3

愚僧日記3

知外坊真教

2024年の能登半島地震は、2007年以来の大規模災害になっています。基幹道路の寸断、水道電気などのライフラインの寸断によって、避難者の健康不安も差し迫っているようです。


2007年の時も、O157が避難者のなかに流行して大変でした。私が10月に能登に行ったとき、避難所でクレゾール石鹸の懐かしい匂いがしたのを覚えています。


2007年の発災は3月でしたが、今回は冬真っ盛りの1月1日で、避難所で凍えている人が寒さをしきりに訴えています。


体育館は天井が高く、暖房の効きにくいところです。大型の暖房器具がどこの避難所にもあるとは限りません。そして大きなヒーターは騒音もハンパないですから、望ましいのはエアテントや、小さなテントによる避難所ですが、これもまた運営効率が悪くなります。


そうなると、小学校など避難所の耐震化が長期的な課題となるのでしょうか。しかし、小学校も3学期が始まると、避難所の運営は難しくなります。


ライフラインの強靱化は、能登半島のような三方が海に面してるところでは難しさがあります。電気も水も、一本か二本の経路が断たれると止まってしまいます。平野部では、グリッドという送電網によって補完して停電箇所を減らせますが、半島部はそれができません。またグリッドも千葉県で2019年の台風被害によって高圧送電線の断絶によって数日間停電した弱点があります。こうした経験から最近ではマイクログリッドという、狭いエリアで自立的に発送電できるようにする新しい考え方が生まれています。


今回の能登半島地震の災害は、渥美半島でも起きうる災害です。南海トラフ地震の場合、地震動は能登半島地震よりも遥かに長く、津波被害も広範囲に及ぶことが予想されます。こうした状況に対応できる態勢が望まれます。


具体的には、貯水槽の確保。マイクログリッドの考え方に基づいた発送電網の確立。万が一の時に電源になりうる電気自動車の普及。避難所の耐震化。海上からの物資の補給ができるようにする民間ネットワークの確立。まだまだやるべきことはあります。


でも、ホントは、国に防災庁がないという根本的な問題があると思います。防災庁には、独立した実働部隊があって、いつでも被災地に行けることが求められます。地元の警察や消防は、目の前の現場に集中するので、大所高所からの救援活動は望めません。


いつものことですが、被災地のようすがマスコミや自衛隊や米軍だのみという現在の日本の態勢はお粗末に思えます。


そのマスコミのヘリコプターのせいで要救助者の声が聞き取りにくかったという阪神淡路大震災の教訓もあります。今の時代、災害時のドローンという道具も活用しない手はありません。


地震国であり火山国であり 災害の多い日本は、まだまだやるべきことがあると思います。そして渥美半島は能登半島の災害に大いに学ばなければならないと思えてなりません。