小僧物語(11)やっぱり米は最高! | 愚僧日記3

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知外坊真教

 真別処円通律寺の真冬は、高野山よりも寒くて雪深いです。今はすぐ近くまで自動車道が通りましたが、昔は積雪が多いと、プロパンガスを届けてくれる店の車が入れなくなります。

 私が食事当番の時に、そのプロパンガスが切れてしまい、峠道を越えて、高野山の町部まで取りに行くことになりました。高野山の目抜き通りにある米徳商店に預けられたプロパンのボンベを取りに行くのですが、そもそも雪道なので滑りやすく足元の悪い坂道です。

 なんとか峠まで登って、下り坂を重たいボンベを担いで下るのは恐怖でした。しかし、ついには坂道を転がして下りる始末。こんなタイミングで食事当番が回ってきた我が身の運の悪さを恨みました。

 時々カップ麺が差し入れされた事がありました。決まって「どん兵衛」です。ところが、汁に鰹節が入っているからダメと監督の先生にダメ出しされました。そのたびに昆布と椎茸で出汁をとって汁を作りました。全然インスタントでなくなりました。

 牛乳を使うことは精進料理でも許可されました。その牛乳と少量のヨーグルトで自家製ヨーグルトを作っている人もいました。コタツの中で温めながら振っていると発酵して牛乳がヨーグルトになりました。

 修行に余裕が出てくると、寺の近くにある山に山芋を取りに言って、それをつなぎにしてお好み焼きを作る器用な奴もいました。こういう奴は食事当番になると、俄然張り切るのです。

 精進カレーというのも定番でした。カレールーにだって動物性のものがありそうですが、どうもカレールウは監督の先生は使わせてくれました。ただし、肉の替わりにコンニャク。タマネギの替わりにキャベツでした。お世辞にも御馳走とは思えませんが、、、

 食の贅沢は絶対出来ませんが、なにより米は裏切らない!ってことを学びました。とにかくエネルギーは日常生活よりも消費してました。だから白飯を食べておかないと体力がもたないのです。

 特に加行のときは、3日に一度は奥の院への参拝がありましたから、往復2時間以上の徒歩は体力を消耗しました。しかしそれ以上に精神的に刺激的でした。