久遠の愛 14 | KIRAKIRA☆

KIRAKIRA☆

こちらはスキップビートの二次小説ブログです。CPは主に蓮×キョ-コです。完全な個人の妄想の産物ですので、原作・出版者等は全く関係ありません。また、文章の無断転載は固くお断り致します。

※ 10万HITリクエスト!てん様から頂きました☆

必ず読む前に注意☆ に目を通してください!



坂道を転がり落ちる様に堕ちていったのは


快楽ではなく


決して許されない想いだった



あがくことさえ無意味ならば


もうお互いを壊すだけ



ならばせめて・・・・・この想いを見ないフリぐらいはしたかった





その日、蓮は綾と一緒に綾の実家に呼ばれていた。

綾の母親は綾が幼い頃に他界しており、父親が男で一つで育て上げた為、綾が頻繁に行ける様住まいを近くにしていたのだ。


大事な話があると言われて伺った先で、義父の口から出た提案は蓮にとって意外なものだった。


「養子・・・・ですか?」

「俺の遠縁で・・ああ、綾にとってもだが、訳あって息子を育てられない状況になった奴がいてな。養子の相談を受けたんだが・・・お前たちどうだろう?」


あまりにも突飛な話に、思わず綾と顔を見合わせた。


確かに自分たちは結婚して4年経つが、今だ子供に恵まれる気配がない。

綾は欲しがっているが、正直自分はどこか諦めている気持ちもあった。


特に最近は・・・・綾を避けてしまっていたのもあって・・・・


そして、先日思わず声を上げてしまったあの日以降、どこかぎくしゃくとした空気がずっとあった。


後日正式な招待状として送られてきた最上家の夜会。

行かない理由を見つけられないまま、断る事もできずに、綾と一緒にいく事に日々気が重くなるだけで



そんな自分達に今子供を育てる事が出来るとは・・・・



「お義父さん、その事は・・・・」

「まあ、いきなりの話だ。よく考えてくれ。」


断ろうとして開いた言葉は、見越した様なタイミングで遮られてしまった。

確かに、この場で即答するのも失礼かと思い、蓮はひとまず口をつぐむ。


だが、夕飯の支度に綾が席を立った時


「蓮君。まあ、夫婦である以上色々な事がある。綾はなかなか口にしないで溜め込む所もあるしな」

「え・・・・・」


唐突な義父の言葉にひやりとした。


「二人で結婚生活を続けていくのももちろんいいが、二人で子育てをする事で生まれる絆もあると思うんだ。俺は、死んだ女房とは一瞬しかそれが叶わなかったがな」


だからさっきの件、前向きに考えてくれと改めて言われて、先ほどの綾の様子が浮かんだ。

あまり驚いた様子が無かった。

もしかしたら


「・・・・・・・綾が、何か・・・・言っていたんですか?」


唐突な義父の提案と唐突義父の言葉

自分達の現状を考えれば、偶然というには都合が良すぎる


だが、義父は首を振りながら


「いや、何も言ってはいないけどな。ただ、もっと君の役に立つにはどうすればいいかって悩んでいたからよ。その様子が・・・なんつーか、思いつめているみたいで・・・喧嘩でもしたのかって聞いたら、そうじゃねーって言うし・・・」


何かあったのか?と逆に問われて「いえ・・・・」と言葉を濁す。

どうやら、養子の件はそんな娘を見かねての義父の一存らしいが


「親バカと言われても仕方ねーが、綾は気立てもよくて自慢の娘だ。蓮君アイツを悲しませないでやってくれ」



頭を下げる義父にズキンと胸がいたんだ


既に自分は十分妻を裏切り・・・・そして、おそらく自分の変化に綾は何か気づいている。

どこまで何を気づいているのか判らないが


何も悪くない妻を追い詰めているのは自分だ




帰り道、養子の件を切りだしたのは綾の方だった。


「すみません・・・父が・・・何か・・・心配したみたいで・・・」

「いや・・・・綾はどう思う?」


正直蓮はあまり乗り気になれなかった。

それは、おそらく自分の中の感情がまだ整理出来ていなかったから


「私は・・・貴方の意見に従います」

「綾・・・・・?」


少し様子の違う妻を蓮は覗き込んだ

綾はじっと自分を見つめて


その瞳には涙が浮かんでいた



「あなた、私なんでもしますから。何か不満があったら何でも言ってください。私、ちゃんと直しますから」


必死な言葉はかつて出掛けた日にも言われた言葉

あの日にも妻が出していた救援信号に自分は気付けていただろうか

自分の罪を直視したくなくて、流してしまわなかったか?



何も不満なんてないよとあの日も言って


今も同じ言葉を言えるだろう


なのに、不安にさせているのは自分のせいだ


何をどこまで気づいているのか判らないし


綾も何も聞いてこない



ただ



責めるべき蓮ではなく、自分自身を責めている



「私、何でも・・・・・アナタが望む様にしますから・・」


だから・・・という言葉の続きは涙に消えてしまった。


これ以上は耐え切れずに綾を抱きしめた。

自分に縋り付いて涙を流す妻を感じながら、自分の不甲斐なさに腹がたった。

何をやっているのだろう自分は


する資格のない嫉妬で京子を追い詰め

自分の犯 した罪で妻を悲しませている


悪いのは全て自分だ



京子との関係も

京子の講師も



選択なんて最初から無くて、すべき事は決まっている




だが




中途半端な決意なら



すべきでは無かったのだ








最上家の夜会は貴族の中でも名門と呼ばれるだけあって、質も趣向も素晴らしかった。

仕事柄、こういったところが初めてでない蓮も思わず感嘆してしまった。


本当に・・・住む世界が違うな


あの狭い限られた時間で、限られた空間だからこそ・・・・錯覚し・・・対等にいられたのだ。

一歩外に踏み出せば、これが現実


クスリと思わず漏れる自嘲


「あなた?」

「いや、なんでもないよ・・・行こうか・・・」



あの日から、蓮は綾との時間を大事にするようにしてきた。

出来る限り傍にいて、今まで無意識に避けていたのを意識的に心を向けていって、毎夜大事に大事に壊れもモノに触れる様に抱き続けた。

その甲斐あってか、最近は綾に明るい笑顔が戻ってきた様に感じていた。


例えそれが今までの償いからでも構わなかった。

その行為にどんな意味があろうと、妻を大事にしたいという想いに嘘はなかったから


その心の奥に、沈めた箱を見ないで妻に愛していると囁き続ける


例え視線が


本能が



求めるものが違っても



「あなた、あちらに若奥様がいらっしゃるわ」


綾に指摘される前に気づいていた。

人ごみの奥に、来客に挨拶をする京子の姿に


心臓がなる


京子に会うのは、あの日無理やり乱暴に彼女を抱いた日以来だ。

怖くて・・・翌週は代理を頼んだ。


そう


今も怖い


なのに



「先生!奥様も、お越しいただきありがとうございます」


にっこりと笑う顔からは、嫌悪も恐怖も見つけることが出来ず

思わずホッと息を吐いた。


「・・・・・・・・こちらこそ。本日はお招きありがとう。演奏楽しみいしているよ」

「はい、先生に普段ご指導頂いている成果をお見せできればと思います。奥様もごゆっくりなさって行って下さいね。」

「ええ、ありがとうございます」


あの日の様に完璧な「先生」と「生徒」を装う


あくまで普通の京子に、もしかしたらあの彼女とのひと時は全て幻だったんじゃないかとまで錯覚してしまって


なら、この胸にくすぶる「何か」も


頭に鳴り続ける旋律も



幻だろうか



いや、現実だと・・・・判っている





だから先週の練習を避けたのに、今日蓮はここに来たのだ





京子との全てを終わらせる為に




終わらせられると




信じていたのだ






今回は2話アップです☆


参加しています☆ぽちっとお願いします☆

↓↓↓




スキビ☆ランキング