まずは下の銀貨を見て頂きましょう。

France, 1869, 5 Francs, 25g (Ag 0.9), KM799, Numista Rarity Index 8, AU58

表:Napoleon IIIフランス皇帝(在位1852~1870年)

 

肖像の額に認められる黒い斑点がblack spot(s)と呼ばれています。

Carbon spotと呼ぶこともあるようですが、銀貨の場合、これは誤用。

なぜなら、銀貨の黒い斑点は炭素によるものではなく硫黄によるものだからです。

銀貨で見られる渋みがある黒色調のトーン(色調変化)も硫黄との反応とされているため
black spotはトーンが局所的に強く生じたものと言えるでしょう。
 
デザインを強調するように均一に生じたトーン:コイン・コレクターはトーンがお好き
虹のように美しく様々な色が見られるレインボー・トーン:Coin the Rainbow
これらはコレクターに好まれますが、black spotはコレクターに好まれないようです。
 
いかにblack spotsを除去するか?という話題がインターネット上に散見されますが
残念ながら都合良くblack spotを除去する手段はなさそうです。
洗浄を行えばDetails Cleanedと鑑定されてしまいますし
局所的な洗浄でもDetails Spot Removedと鑑定されるでしょう。
一方、black spotがあってもDetailsとは鑑定されません。
今回の銀貨でも鑑定時に既にblack spotが認められますが

https://www.pcgsasia.com/Cert/34768479

Detailsと鑑定されませんでした。