京都市交響楽団第686回定期演奏会に行ってきた。会場は京都コンサートホール。2024年2月17日。
指揮は川瀬賢太郎。
ソリストは石田康尚。
曲目は
マルサリス:ヴァイオリン協奏曲
ドヴォルザーク:交響曲第9番「新世界より」
マルサリスは知らない作曲家だが、1961年生まれのジャズトランペット奏者兼作曲家だそう。今回も、クラシックだけでなく、ジャズやブルースのニュアンスを持ち込んでるそうだ。
一方「新世界から」は私にとってはとても苦手な曲。昔は何度も聴いていたけれど、今は退屈で聴くたびに残念な思いをする。今回は、手書き譜のファクシミリ版を一から勉強しなおしたそうで、いつもと違う音が出てくるらしい。
前半はマルサリス。
石田さんのヴァイオリンがうなる。管弦楽がうなる。オケが鳴っていてもかなめとなるのは常にヴァイオリン独奏。ヴァイオリン独奏は独奏であるがオケを先導し、オケと混じりながらも激しく主張する。こんなヴァイオリン協奏曲は初めての体験かもしれない。
曲はメロディアスな所と、現代音楽的な所が融合した、聴きやすいが現代音楽も楽しめるもの。第三楽章冒頭の突然の手拍子に驚いたり、足で床を蹴ったりいろんな音を楽しめた。
指揮者が足で床を蹴って音を出していた。音を出す指揮者ってなかなかないかな?
石田さんのヴァイオリンは、美しく、キレキレで、エキサイティングだった。
アンコールがあった。J.ウィリアムスの「シンドラーのリスト」からメインテーマ。
後半は「新世界より」
キレッキレの指揮で、丁寧に音を積み上げていく。京響もしっかりと応えて、テンポ、音色がとてもよい。素朴な所は素朴で、力の入る所は力いっぱい。でも全部つながる。
これまで何度も「新世界より」を聴いてきたが、ワクワクして曲に聴き入るのは久しぶりの感覚。芯がしっかりしていてキレのある演奏に引き込まれていった。
最後の音が鳴って、指揮棒を降ろすまで誰も拍手をしなかった。いい演奏だった証拠か。
あんなに苦手だった「新世界より」にこれだけ感銘するとは思わなかった。マルサリスの指揮もよかった。川瀬賢太郎の指揮は多分初めて聴いたけれど、指揮姿が美しく、曲に忠実だと思った。
また聴きたいと思った指揮者だった。これからも川瀬賢太郎に期待したい。
京響もいつもながら大変良かった。これだけの音楽を聴けて大満足。指揮者がいいとさらに良くなる。これは当たり前か。でも、本当によかった。
定期会員になると知らなかったり、苦手な曲も聴くこともあるが、それでも新しい体験で初めての曲を楽しんだり、苦手だった曲を見直したりできる。それが定期会員の醍醐味かもしれない。そう思った演奏会だった。