2024年1月パリ・ウィーン旅行9『カルメル会修道女の対話』の感想 |   kinuzabuの日々・・・

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ウィーン国立歌劇場でプーランク作曲歌劇『カルメル会修道女の対話』を観た。2024年2月4日。ウィーンにはこれを見るために行った。一度生で観たいオペラの一つ。

キャスト表。細かくて読みにくいですが。



キャスト表に一枚の紙が挟まれていて、一人キャストチェンジがあったようですが、大勢に影響なし。




筋は
フランス革命の時期、カルメル会修道院に入ったブランシェが修道院長の死を目の当たりにする。何十年も神に仕えてきたのに何にも意味がないと言いながら死ぬ。革命により修道院は解体され、修道女は一般市民になるが、会合を密告され、16人の修道女は全員死刑になる。一人ずつギロチンの音を響かせながら、全員処刑される

むっちゃ暗い筋やな。

Magdalena Fuchsbergerの演出は、回転舞台を使い、壁のない木組みだけの簡素に見える大きな装置を回し、いろんな部屋を人が移動しながら物語が進行する。背景に絵が描かれ、それが場面によって変わっていくが、私の席では絵の半分が見えないので、つながりは分からない。

また、歌わない黒い人や白い人が出てくるが、黒は死神にしても、白い人の意味は分からなかった。

休憩が、2幕の途中、フランス革命の影響が出る前後で入る。わからんでもないけれど、革命の影響を受け始める緊張感が少なくなるような気がした。

最後の処刑の場面では修道女たちは頭に金の装飾、黒い服を着て舞台上方に立っている。足元は地獄。ギロチンの音とともに一人づつ聖人となって天に召されていく。そこに最後にブランシェが逃亡先から普段着で舞台下側に現れるが、彼女は処刑されるだけで聖人になれない。

ブランシェが聖人になれなかった理由も気になるけれど、修道女が聖人となるところはもう一つ感銘を受けなかった。もっと重い気分になって下を向きながらホテルに帰ることを予想していたが、そうはならなかった。


歌手は、コンスタンス役のザビーヌ・ドゥヴィエル様が最高。極めて美しい声で、きれいな発音で、話すような歌なのに声も通る。一声聴いただけでもううっとり。見目麗しく最高のコンスタンスだった。

もちろん、ブランシェ役のニコル・カーもすばらしい。声に凄味があり、激しいけれど濁ることなく美しい歌を聴かせてくれた。

旧修道院長マダム・クロワッシー役のミカエラ・シュスターも死ぬ間際の苦悩がすごく、強い声が刺さった。

マザー・マリー役のJulie Boulianneも要所で締めて、行進曲の中、生き残ることを決めた苦悩の演技にジーンときた。

新修道院長マダム・リドワーヌ役のMaria Motolyginaは大変なのはわかるけど、歌と絶叫の間のような歌ではらはらした。なんとか絶叫にならず、ホッとしたんだが。


ベルトラン・ド・ビリーの指揮は、この複雑なオーケストレーションを思いっきり鳴らして、迫力が凄かった。国立歌劇場のオケはウィーンフィルの人が多いのか、極めて美しい音を聴かせてくれた。特に後半の弦が最高だった。

演出の最後で少し残念だったが、念願のオペラを観られて満足。歌手も指揮もオケも大変良かった。でももっとラストで感銘を受ける演出でまた観たいなと思った。そんな機会があるのだろうか?




ということで、今回の旅行で観た演奏会の感想は終わりです。お付き合いくださりありがとうございました。