2024年1月パリ・ウィーン旅行4『ジュリオ・チェーザレ』の感想 |   kinuzabuの日々・・・

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パリ・オペラ座ガルニエ宮でのヘンデル作曲歌劇『エジプトのジュリオ・チェーザレ』を観てきた。2024年1月30日。



 

セスト役のマリアンヌ・クレバッサがキャンセルし、題名役だったエミリー・ダンジェロがセスト役に変更、新たに題名役にGaëlle Arquezという人がキャストされるという玉突き的なキャストチェンジが行われた公演。結果的にはよかったと思う。

演出は、ローラン・ペリーの博物館の倉庫で英雄たちが活躍するもの。倉庫の中では、像が現実世界に抜け出していろいろやっているのかもしれない。

ただ、1幕で作業員が歌手の歌を妨害するのがつらかった。2幕以降は大丈夫だったのでホッとした。

歌手は、イエスティン・ディヴィスが一番よかった。出番の少ない悪役なので、もっと歌の多い役で聴きたかった。

題名役のGaëlle Arquezはおおらかな歌で、指導者にぴったり。セストのダンジェロも真摯な歌がよかった。セストにチェンジして正解だったかもしれない。ただ、両者ともどうしても声量、迫力ともすばらしいディヴィスと比較してしまって、ちょっと物足りない。とても贅沢な感想だな。

まあ、下手なカウンターテナーを使うよりはよっぽどいいし、いい歌と演技だったと思う。

クレオパトラのリセット・オロペサは高音や装飾音がやや不安定でちょっと残念かな。このぐらいなら良しとするべきなのかもだが。

他の歌手はハイレベルでよかったと思う。


ハリー・ビケットの指揮は、音楽に寄り添って、気持ちよく聴けて大変よかった。問題は管弦楽。今のご時世で、現代オケに通奏低音だけ古楽で追加するってどうなの?これはしっかりした古楽オケで聴きたかった。

というわけで、舞台と指揮は良かったけれど、オケに不満の公演だった。