2024年1月パリ・ウィーン旅行3『軍人たち』の感想 |   kinuzabuの日々・・・

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フランソワ=グザビエ・ロトがベルント・アロイス・ツィンマーマン作曲の歌劇『軍人たち』を指揮するということで期待大。オケの実力は正直知らないがそれなりにやってくれるだろうと思った。

 

会場はフィルハーモニー・ド・パリ。2024年1月28日。





筋は
マリーは商人の娘だが、男爵、軍人、伯爵の子息と付き合っていく。伯爵夫人に身分を越えた婚姻はできないと言われ、最後は軍人によって娼婦にされてしまう。マリーの婚約者が軍人に仕え、毒を盛って仕返しをする。そんなお話。

フィルハーモニー・ド・パリはコンサートホールだが、ホールの舞台裏の席を取り外して即席の舞台にすることができるらしい。通常の舞台でオケが演奏し、舞台裏の即席舞台で歌手が演技する。カリスト・ビエイトのステージングとあるけれどそれなりに見せてくれる舞台だった。

オケは通常の舞台にいっぱいいっぱいに乗り切って壮観。でも通常のオペラ公演ではこれはさすがにピットに入らないだろうから、その辺の取り回しも大変なんだろうな。新国の時はどうだったんだろう?

演奏は指揮のロトがオケを統率して、極めて高い緊張感で音楽と舞台が進んでいく。舞台上の人もしっかり演技をしていた。4幕最初はマリーが軍人全員に回されて、軍人によって娼婦にならされことが明解だった。

私は予習はしていったのだが、それが十分でなかったようで、途中から筋についていけなくなって音楽の緊張感だけに絞ってしまった。それでも、糸が切れそうで切れないような音の連続と迫力ある音楽に聴き惚れていた。それにしても打楽器の活躍が凄い。

最後は、歌手全員が後方舞台に現れ、行進で靴を舞台に蹴りつけながら終わる。良い終演だったと思った。

音が消えて舞台が徐々に真っ暗になるまでシーンと静まって、真っ暗になってから盛大な拍手。1幕で帰って行った人もいたけれど、いい演奏をしっかり楽しむ人がいるとわかってパリもいい聴衆が多いんだと思った。

歌手はマリーのEmily Hindrichsが最高。ヴェーゼナーのトマス・トマソンも存在感抜群。でもどの歌手もすごくよかった。まあ、あの音楽で歌を評価するのは難しいところがあるが、何の不満も不安もなかった。

それにしてもロト指揮とゲルツェニッヒ管のオケの音は緻密で迫力もばっちり。このすごいオーケストレーションを見事に我がものとして、一点の曇りない張り詰めた音の連続だった。

 

オケの名簿を見ると、打楽器奏者が15人もいる。それだけでも大変な音楽だったんだなと思った。

 



 

こんな音楽でこの曲を聴けて本当によかった。すごい体験だった。でも、予習はしっかりしないといけいないのである。特に演奏会形式の場合は。