大阪フィルハーモニー交響楽団第541回定演の感想 フェスティバルホール 2020年9月25日 |   kinuzabuの日々・・・

  kinuzabuの日々・・・

      徒然なるままに日々のこと、考えていることを書き連ねる

大阪フィルハーモニー交響楽団の第541回定期演奏会に行ってきた。会場はフェスティバルホール。2020年9月25日。



指揮:沼尻竜典。
メゾソプラノ独唱:中島郁子
テノール独唱:望月哲也

曲目は、
武満徹:オーケストラのための「星・島」
三善晃:交響詩「連禱富士」
マーラー:交響曲「大地の歌」


当初、クリスタ・マイヤーとシュテファン・ヴィンケという超重量級の組み合わせで大変期待していたのだが、コロナの外国人に対する入国制限で来日がかなわず日本人歌手陣に変更。それでも中島さんと望月さんを持ってくるところはすごい。

会場に入ってまず驚いたのはオケの密度。オケピットは舞台に使っているが反響版は通常位置に90人規模のオケの団員さんの椅子が配置されている。アクリル板なども一切見えない。

京響のコンサートも密になったなあと思ったがそれ以上に見える。徐々にここまで持ってきたのだろうと感慨深い。


1曲目は武満さん。私は武満徹の曲は苦手だが、やっぱりあかん。とはいえ流れるようなメロディは神秘的だった。

2曲目が三善さん。これは一転して華やかな曲で、管弦楽に打楽器にとにぎやか。気持ちよく曲に身を任せて楽しんだ。


休憩後は、メインイベント、マーラー「大地の歌」。

マーラーの旋律に身を任せ、時に激しく、時にやさしい。テンポは聴きなれたもので、気持ちよく身を任せることができた。管弦楽はよくも悪くも大フィルだが、個別の楽器の音がクリアに聴こえた。

歌は、望月さんは真摯で激情にあふれ、中島さんはおおらか。中島さんのおおらかさが「告別」で大いに活きる。

中間のゆっくりで恐るべき霊感に満たされた間奏曲の後が中島さんの真骨頂。深い息づかいに体がコチコチになった。最後のewigの繰り返しの美しさ。静かに音が消えていった。

曲が終わると、指揮者が指揮棒を降ろして、体をを緩めるまで拍手は出なかった。この時間の余韻がとても心地よかった。


大変いい演奏会だった。前半はともかく、絶品の「大地の歌」。当初の独唱者で聴けなかったのは残念だが、日本人も頑張っている。今、これだけのマーラーを聴けて、本当に幸せ。

それにしても中島さんは神だった。この人の歌はこれからも注目しよう。