エサ=ペッカ・サロネン指揮フィルハーモニア管弦楽団の西宮公演に行ってきた。会場は兵庫県立芸術文化センター大ホール、2020年1月25日。
エサ=ペッカ・サロネンとフィルハーモニア管弦楽団の前回の来日は2017年5月だったから、二年半ぶりか。その時も大変よかった印象なので、とても楽しみ。
一曲目は、シベリウス:交響詩『大洋の女神』
初めて聴いた曲。シベリウスらしい旋律がほのかによぎる。それにしてもこの曲、楽器編成が大きい。でも、やわらかな曲という印象。
二曲目は、ショスタコーヴィチ:バイオリン協奏曲第一番。バイオリン独奏は庄司紗矢香さん。
第三楽章まではオケが主体で、バイオリン独奏はモノクロ、華を感じなかったが、長大なカデンツァ(?)から第四楽章になると世界が変わった。超絶技巧で、華やかで、一気に満開。とにかく庄司さんの持てる限りを尽くして音を構築しているようで、目を見張る好演。
サロネンはあおるより見守る感じか。管弦楽はバイオリン独奏にぴったり寄り添う。
庄司さんのアンコールあり
後半は、ストラヴィンスキー:バレエ音楽『春の祭典』
サロネンは前半と違って全身を使って激しく指揮棒を振る。それに合わせて管弦楽がものすごい音を出してくる。金管の迫力はこの世のものとは思えない。全く迷いなく轟音を放出する。こんな音の立ち方は初めての経験。
打楽器は大爆発。ティンパニの炸裂はすごかった。木管はソロもアンサンブルも見事。音量もすごい。ホルンの美しさは涙が出るほど。弦ももちろん強く美しい。
サロネンはこの大曲を自在にドライブし、オケの反応がとてもよい。オケを限界まであおり巨大な音響世界を構築する。『春の祭典』はこうでなくては!
サロネンの指揮姿を見るだけで楽しいのはいつものことか。テンポは私の思い浮かべる『春の祭典』にほぼ近く、大音響の中でニヤニヤしていた。
怒涛の音響の中でがっつりと終わり、ブラボーの嵐。これぞ『春の祭典』!すばらしい体験だった。
サロネンのコンサートはこれまでマーラーを中心に何度か接することができたが、今回が一番感銘が深い。ただ迫力があるだけではなく、音の際立たせ方がすごいと思った。エッジの聴いた音がどこまでも続き、これが快感なんだな。
もちろん、サロネンの意思を実現できる管弦楽があってこそなのだろう。申し訳ないが、これまでフィルハーモニア管弦楽団の実力を過小評価していたようだ。本当に素晴らしかった。
サロネンは次期シーズンからサンフランシスコ交響楽団の音楽監督になるらしい。サンフランシスコ交響楽団とも関西にぜひとも来てほしい。