モーツァルト作曲歌劇『魔笛』の感想 びわ湖ホール 2018年10月6日 |   kinuzabuの日々・・・

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びわ子「みなさーん、こんにちわー!!!」

おおつ「こんにちは。今日はびわ湖ホールでモーツァルトの歌劇『魔笛』の公演に来ました」

 

(すみません、チラシの写真、びわ湖ホールがネットに上げているのを使いました。いつもはチラシの写真を撮っているのですが、チラシを取っておくのを忘れてしまい・・・)
 

 

 

びわ子「『魔笛』って、怖い笛が出てきて、それを吹いたら悪魔に生き血を吸い取られるとかいうやつかいな?」

おおつ「全然違いますよ。笛を吹いたら、怖い敵との争いがなくなって、仲良くなってくれるんです」

びわ子「おお、そっち側ね。どうしても、怖い方を想像してまうねん。で、どんな話だ?」

おおつ「王子タミーノは夜の女王の娘パミーナを救い出すためにザラストロの元へ侵入するが、ザラストロの元で試練に耐えて、ザラストロの仲間になりパミーナと結ばれる。そして夜の女王たちは壊滅して平和が訪れるのです」

びわ子「ちょっと、何?ザラストロは悪者なんじゃないの?」

おおつ「これが、『魔笛』の良くわからんところなんです。いろいろ背景はあるようですが」

びわ子「パパゲーノって誰よ?」

おおつ「それは見てのお楽しみです。今日の公演は、歌手は全員日本人ですが、今考えられる最高のキャストをそろえてますから、必見ですよ。それでは公演に行きましょう」



(全幕を観ました)



おおつ「いかがでしたか?」

びわ子「あれがパパゲーノか、格好やセリフはあれだが、ワーグナーで出てくる神々の王みたいな声やんか」

おおつ「パパゲーノの青山さんは、そういう役も多く歌ってますからね。迫力はもちろんすばらしかったですが、軽やかなせりふ回しや演技もパパゲーノらしくて楽しかったです。青山さんの違う一面を見せてくれました」

びわ子「お嬢ちゃんがかわいらしかったぞ」

おおつ「パミーナの砂川涼子さん、もう最高でしたね。歌はもちろん、お嬢様風の容姿が抜群。この人のためにある役、服装だと思いました。双眼鏡で追っかけちゃいましたよ」

びわ子「きも」

おおつ「他の方々も素晴らしかったですね。モノスタトスの小堀さんもいい味出してましたし、ザラストロの伊藤さんも凛々しく、夜の女王の角田さんも超難度のアリアをバシッと決めてくれました。端役に至るまで声の競演を楽しめました」

びわ子「タミーノはどやってん」

おおつ「タミーノの山本さんは、調子が悪かったんですかね?ちょっといつもとは違う印象でした」

びわ子「あんた、ツィッターでは全部よかったって言ってたで」

おおつ「一部を除き、ということで」

びわ子「オケや合唱もよかったやん」

おおつ「日本センチュリー交響楽団が美音を次から次へと繰りだしてくれましたね。要所でばしばし飛ばしてくれました。合唱も整って、でも力強くて大変良かった」

びわ子「指揮は?」

おおつ「沼尻さんの指揮は、歌手に合わせず自分の調子で飛ばすところが多かったです。ちょっと意外かも」

びわ子「最後は演出やな。なんか不満がありそうやけど」

おおつ「演出は、ザラストロの集団が、実は一枚岩でなく男性優位社会で女性が蔑視されている。しかも奴隷(掃除人)もいる。とても高潔な思想を持った集団とは思えない。こういうことを強調したうえで、どうこの社会を崩壊させるかが、この演出のカギかなと思いました」

びわ子「タミーノとパミーナが結ばれて、ザラストロの社会が解放されたんだよな」

おおつ「そうです。でもそれでは、説得力がないと思います。二人が結ばれるのは想定の範囲です。それを覆す何か新しいストーリーが欲しい」

びわ子「なんやねん、新しいストーリーって」

おおつ「以前、びわ湖ホールで催された世界的演出家のペーター・コンヴィチュニーのワークショップで、似たような状況を壊すのにパミーナを革命者として設定しました。彼女がザラストロの集団に入らないことを表明して、誰もが入ることを名誉に思う集団に入らない、そういう強い意思によって集団が崩壊するのです。例えばこんなことです」

びわ子「コンヴィチュニーに毒されすぎじゃね?」

おおつ「否定はしませんが、もう一つひねりが欲しかったのは確かです。あれだけ現代から見たザラストロの社会の悪い点を強調したのですからね。もっとも、この不満はよい演出だったから出てきたものかもしれません」

びわ子「でも、舞台はおしゃれで軽快だったよね。観ていて楽しかったよ」

おおつ「舞台はよかったですね。もう砂川さんが最高!」

びわ子「また砂川さんかい。確かにかわいらしかったな。モノスタトスの小堀さんが対照的だった。パパゲーノの青山さんもすごかったよ」

おおつ「いろいろ言いましたが、いいオペラを聴けました。これほどのレベルの公演はなかなか体験できませんよ」

びわ子「子供連れが多くいたな。オペラデビューかいな」

おおつ「こんな公演でオペラデビューとはいいですね。将来オペラファンになってくれるといいな」

びわ子「きっかけになればいいよね。きっかけはいっぱいあった方がいいから、またオペラを観に行きましょうねー」

おおつ「観に行きましょうねー」