エディタ・グルベローヴァのリサイタル、大阪公演に行ってきた。日本最後のリサイタルらしい。ピアノ伴奏はペーター・ヴァレントヴィッチ。去年の来日でも指揮をした人やね。会場はザ・シンフォニーホール、2018年10月16日。
この最高の歌姫も今回が最後の来日らしい。会場は、平日夜ということもあり、二階サイドなどはガラガラだった。でも客席には熱気がこもっていた。
前半最初は、ヘンデルの歌劇『ジュリオ・チェーザレ』よりクレオパトラのアリア「この胸に息のある限り」。レパートリーとは思えないこの曲を最初に持ってきたのは、のどの調子を整えるためか。音程は外れ、装飾音も調子が悪い。ヘンデルファンからすると許容範囲外のちょっとさびしい歌。
次は、R・シュトラウスの歌曲を5つ。喉の調子もよくなってきたようで、彼女らしい輝かしい瞬間がちらほら。これからが本番やで。
前半最後は、J・シュトラウス2世のワルツ『春の声』。コロラトゥーラを飛ばしてテンポ良く歌っていく。大変気持ちが良い。でも、まだまだいけるはず。後半にさらなる期待。
後半は、期待に十分応えてくれたと思う。
歌ってくれたのは、
ロッシーニの歌劇『セビリアの理髪師』よりロジーナのアリア「今の歌声は」、
ベッリーニの歌劇『異国の女』よりフィナーレ「彼らは祭壇にいます・・・慈悲深い天よ」、
トマの歌劇『ハムレット』より「オフィーリアの狂乱の場」
の以上3曲。
どれも、色彩豊かで、高音のコントロールはもちろん、太い声も大きく響き、声のつやが美しい。歌に感情がこもって、歌う姿も麗しく、十分に堪能した。
間にヴァレントヴィッチのピアノもあった。ラフマニノフのピアノ協奏曲2番をテーマとした即興演奏。それにしてもこの人、ピアノがうまいね。グルベローヴァの伴奏でも感じたけれど、迫力が十分で、音も美しい。よい人を見つけたものだと思う。
グルベローヴァの最後の歌が終わると、客席総立ち。後半の水色のドレスがひときわ輝いて見えた。
さて、アンコール。
といっても、アンコールの曲目は記憶のみです。間違っていたらごめんなさい。帰る時にまだ曲目の紙が貼ってなかったもので、、、
一曲目は、プッチーニの歌劇『蝶々夫人』からだと思う。びわ湖ホールの今年の指揮者セミナーで何度も聴いたから。緩やかで優しい部分から最後の迫力ある高音まで存分に楽しめた。
二曲目は、ごめんなさい、覚えていません。
それは三曲目で意識が飛んだからかも。J・シュトラウスの歌劇『こうもり』からアデーレのアリア。2幕ではなく3幕のアリアというのがとてもうれしかった。それも細部まで神経が行き届いた歌で、楽しい演出があって、迫力満点の最後。もう言葉がありません。この歌を聴けただけでもう幸せいっぱい。
今回のリサイタルは、最初はともかく、後半で実力を出し、アンコールで存分に楽しませてくれた。さすがに全盛期のようにはいかないようだったけれど、ファンを十分魅了してくれたと思う。客席は総立ちの客席に向けて、両手を上げて手のひらを開いてにぎってを繰りしていた。握手にも応じていた。
昨年のリサイタルに比べると衰えも感じた。もう日本に来ないというのもさびしいけれど、仕方ないかもしれない。でも、このお歳までこれだけの歌を歌えるというのは、とてつもなく凄いことだと思う。私はそれほど何度も聴いたわけではないけれど、いつも美しい歌を聴けて、本当に感謝しかありません。
これからもお元気で、と遠くから祈っております。