『近江の春びわ湖クラシック音楽祭2018』に行ってきた |   kinuzabuの日々・・・

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『近江の春びわ湖クラシック音楽祭2018』に行ってきた。

 

 

昨年までのLFJびわ湖が終わり、今年からびわ湖ホール独自企画の音楽祭になった。どんなものか、お手並み拝見、というところ。


まず、5月4日から。この日は、大ホールの2つのオーケストラ公演だけ行った。

4-L-1、オープニングコンサート。沼尻竜典指揮京都市交響楽団。ソリストはソプラノの中村恵理さん。

中村さんは『私は夢に生きたい』と『ウィーンわが町』を歌った。美しくやさしい声で魅了してくれた。後者では涙が浮かんだ。オケの『新世界より』もよかったけれど、どうも私には曲が退屈すぎて、面白くない。大フィルの『ウエスト・サイド・ストーリー』に期待。


4-L-2、2つ目のオーケストラコンサート。大植英次・大阪フィルのグリーグ、バーンスタイン。ピアノはアンティ・シーララ。

グリーグのコンチェルトは大植節炸裂でシーララのピアノも圧巻。とても楽しかった。後半の『ウェスト・サイド・ストーリー』のシンフォニックダンスは、大変面白かったけど、もっと明解・明晰にやってほしいと思った。指揮もオケも。とはいえ、映画を思い出してこちらも涙。



次に5月5日。こちらは朝10時から小ホールで歌手の歌を聴いて、最後にクロージングガラコンサートで大ホールへ。

5-S-1、ソプラノの森谷真里さんのアヴェ・マリア。前半は声に抜けがなかったけど、後半のヴェルディは素晴らしかった。デズデモナとレオノーラの役の声の使い分けが見事。

5-S-2、テノールの与儀巧さんのトスティ歌曲集。強く明るく輝く声が素晴らしい。歌の合間にご自分でおっしゃっていたけれど、「歌曲担当なので箸休めにどうぞ」って、どこが箸休めやねん!ド迫力やないかい!


ところで、今日は小ホールで6演目聴くのだが、私は全部同じ席で聴くことにしている。2演目聞いたところで同じような人が何人かいる模様。


5-S-3、ソプラノの砂川涼子さんの沖縄民謡。着物姿で何ともかわいらしい。歌もさすがの安定感。砂川さんに歌わせたらなんでも神だね。ピアノ伴奏の沼尻さんもピアノの音色が綺麗なのでびっくり。ゲストで出てきた与儀さんも素晴らしい迫力だった。


5-S-4は食事休憩でお休み。


5-S-5、メゾソプラノの林美智子さんのズボンの世界。申し訳ないが彼女の感情過多な歌と演技は好きではない。薔薇の騎士の2重唱、3重唱も小ホールには声が大きすぎて聴いていてつらい。一番期待していたコマだっただけにちょっと残念だった。

5-S-6、テノールの水口聡さんのザ・テノール。初っ端の『妙なる調和』から大迫力で、『誰も寝てはならぬ』ではもう最高潮!テノールの魅力を最大限に味わえた。アンコールまでしてくれて、申し訳ないぐらい。本日最高にエキサイティングだった。


ちなみに、水口さんののど休憩中、ピアノの河原さんが、「朝10時からここでずっと聴いている方はいらっしゃいますか?」と観客に質問すると、1~2割の人が手を挙げていて、結構集中して聴いている人が多いことがわかった。


5-S-7、ソプラノの角田祐子さんの「現代歌曲は怖くない」。副題通りに受け取ってはいけない。一曲目ノーノから、小さなLEDライト1つのみの真っ暗な空間で絶叫の連続。2曲目ラッヘンマンは声だけでなく、口のまわりやピアノからいろんな音を出す。ピアノ中に声を響かせて、ピアノの弦と共鳴するなど、きらめく一瞬も。とにかく、これが歌曲?という刺激に溢れる演奏会だった


5-S-8は最後のクロージングガラコンサートと時間が重なるので、ココで、小ホールから撤退。


最後に、5-L-3、クロージングガラコンサート。沼尻竜典指揮京都市交響楽団。ソリストはソプラノの森谷真理さん、クラリネットのマイケル・コリンズさん、テノールで特別出演の市原多朗さん。

いろいろてんこ盛りで、ウィリアム・テルも、クラリネットもよかった。中でも市原多朗さんの芯の強い歌は心に沁みた。アンコールのオー・ソレ・ミオも迫力満点で素晴らしかった。オケも最後の『ボレロ』で派手に締めくくってくれて、とても気持ちよく終われたと思う。それにしても、沼尻さんも京響も気合が入っていたなあ。


ということで、今年始まった『近江の春クラシック音楽祭』を十分に楽しむことができた。私は歌が聴きたいから、いろいろな人の歌をまとめて聴けるのは楽しい。ちょっと疲れたけど。オケも楽しかったし、いい音楽祭だった。


で、最後に心配に思ったことを少々。

1.今年の内容はとても充実したものになっていたが、このレベルを来年以降も継続して続けられるのだろうか?

2.出演者の集め方が、沼尻監督の人脈に頼っているような気がした。さらに多様な顔ぶれを期待したい。

3.LFJびわ湖の時よりも、人出が減っているように感じた。さらに人を集める何かが必要なのかもしれない。

4.大ホール公演と小ホール公演の公演時間が重なる。時間配置を工夫してほしい。


 来年も楽しみにしています。御関係の皆様の奮闘に期待しています。