マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団の公演で、マーラーの交響曲第9番を演奏するというので大変楽しみにしていた。日時は2016年11月23日、会場は兵庫県立芸術文化センター大ホール。
会場は補助席が出るほど盛況だった。この曲目で?とびっくりした。
さて、演奏だが、すごく整った音が続き、明快で、明るい。テンポも妙に揺らすことなく、音量もやわらかく変える感じで、やさしいマーラーだった。
こんな音、テンポ、音量で聴きたいと思うような、個人的にはツボにはまった感じの演奏だった。
このホールで悩む音響も、今日の席は迫力が存分に味わえてよかった。
第1楽章のゆったり感、第2楽章、第3楽章の快速感を存分に楽しんだ。すると、第4楽章で、圧倒的な弦に翻弄された。
分厚い弦のうねり、これ以上ない弦の嵐、それでも美しい弦の気品、弦に込められたなんという熱量!
弦のとてつもない力に放心状態になって、呆然と音を聴いていた。
そして最後は弦の弱音でそーっと終わる。終わった後のしばらくの沈黙。
指揮者が体勢をゆるめると、沈黙が切れ、盛大な拍手、絶叫。
演奏も音響も観客も何もかもがすばらしかった。こんな演奏会を体験できて本当に幸せ。