猫に関する占いの話 | よっしーのブログ

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浦添市にある「島尻キンザー前クリニック」の院長のブログです。

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夏ですので変わった体験談をひとつ ――。

 

娘が雨の日に子猫を拾ってきました。昭和生まれの我々夫婦は外で飼ったら良いと勧めました。毛が落ちたり、ウンチのついたまま家中を歩いてもらいたくない妻はことさらです。しかし、平成生まれの子どもたちは、猫は屋内で飼うものと、一歩も譲りません。ケージを買ってきて、普段はその中で飼う約束をし、家の中で飼うことになりました。時間がたつにつれ、愛くるしい猫に家族全員メロメロになり、徐々にケージにいる時間が少なくなっているのが現実です。これを「癒やし」というのでしょうか。

 

そうこうしているうちに、庭に茶色の野良猫を見かけるようになり、子猫までも3匹加わりました。よく車の下に隠れているので、猫バンバンという朝の追い出し作業をして出勤するようにし、いつの間にか子猫はいなくなりホッとしていました。しかし、母猫は居着いたままです。シャーと威嚇しながら時折牙をむくこともありましたが、たまに餌を与えていました。

 

猫は年に2回出産するそうで、半年後にまた3匹の子猫を連れてきました。白、茶トラ、黒の多い三毛猫です。可愛いので隣の作業場のお兄ちゃんたちも昼休みなどにじゃらして遊んでいました。

3匹の成長がそれぞれ違います。三毛のチビちゃんは一番大きな茶トラの半分くらいです。お乳も良い場所が得られないようでした。

三毛のチビちゃんには問題がありました。びっこを引いています。ちょっと慣れた頃によく見ると、どうも右の後ろ足がヒザ下から無いようです。片耳もちょっと奇形があります。先天的なものなのか、怪我で失ったのか。お乳を飲むのにも踏み込みが悪く、色艶も悪く、明らかに発達が遅れているようです。元気な兄弟から離したほうが良いと思われましたので、娘は子猫たちをもらってくれる里親を探し、やがて白、茶トラの順にもらわれていきました。特に茶トラの里親は、1年前に茶色の雄猫を亡くしたので、同じのを探していたと言い、たいそう喜んでSNSにアップするほどの可愛がりようでした。

 

さて、残った母猫と足の悪い子猫をどうするか思案し、病院に連れて行きました。子猫について先生は、猫は赤ちゃんを度々引っ越すので、その際フェンスなどに引っ掛けてちぎれちゃったのでしょうとの説明で、装具を作ってもおそらくはずすだろうし、これからはこの3本の足で生きていくしかない、とのことでした。母親に関してはまた妊娠してしまうので、いずれ不妊手術をしましょう、という予定を立てていました。

 

その数日後、母猫が弱りきった格好で蹲(うずくま)っています。何気なく出勤しましたが、娘が言うには山の方に向かって行ったとのことでした。元気がなく、交通事故にでもあったのでしょうか。前足を引きずっていたようでした。それから何日も姿が見えないので、もう死んだものと思い、貰い手のないチビちゃんに離乳食を与えていると、10日ほど経って突如として母猫が戻って来たではありませんか。左の前足が化膿し、一部表皮剥離をきたして骨が見えています。傷の具合はひどく、嫌気性菌によるものなのか悪臭を放っています。渾身の力を振り絞って子供に合うためにやってきたのでしょう。おそらく死を覚悟して我々の目の前から去り、はた、と気づいて戻って来たものと家族全員喜びました。急いで病院に連れて行き怪我の処置をお願いし、ついでに予定していた避妊手術も依頼しました。しかし、驚いたことに交通事故ではなく、ハブ咬傷で、コンパートメントシンドロームから壊疽に陥り、ハブ毒が体にまわるか、敗血症となり命に関わる、という診断でした。思っていたより重症で、左前足は上腕からアンプタ(切断)しないといけないとのことです。ハブが家の近くにいた事に驚愕しましたが、考える暇もなく緊急の手術をお願いしました。もしかして、母猫は子猫を守ろうとして我が身を賭して戦い、ハブにやられたのかも知れません。今では、左前足の無い母猫がすっかり懐き、呑気に庭で昼寝をしています。

昼寝をする母猫

 

ここまででも強烈な話ですが、まだオチがあります。足の悪い三毛ちゃんはどうなったのでしょうか。

 

2匹の同胞が引き取られた後も里親がなかなか見つからない子猫を不憫に思った子どもたちが、離乳までの間だけでも親と一緒に家の中で飼いたいと言い出しました。もちろん妻は家にすでに1匹いるのに、また2匹も入れられないとカンカンです。私も自然に任せてそのままにしていてはどうか、と消極的な返事をしました。娘が、ならば占ってみてよ、と言います。

 

これまで本格的な占いをしたことはありませんでしたが、親友の某先生から折に触れて易経と易占を学んでいました。君子の道を示すのが易のテーマです。占機(チャンス)とばかりに易をとりました。占的と言いますが、①家の中で飼う、②外でそのまま自然に任せる、③里親を探す、これしか選択肢はありません。家族全員で占いました。方法はサイコロ占いで、64種類の卦(辞)という一文字ないし二文字の漢字から答えを引き出します。本来なら変爻という手法をつけますが、私にできるのは本卦を読むくらいです。

 

①  については、「訟」という卦を得ました。訴訟、言い争いになる、と判断できます。その通りです。妻と子供たちは多分猫のことで喧嘩ばかりするだろうし、猫たち同士も上手く行くか分かりません。家の中で喧嘩が絶えないでしょう。みんな納得し、却下です。

②  には、「剥」という卦です。山が崩れて、木もろとも剥がれ落ちるという悪い卦です。こちらも何か不吉な印象です。さあ、残るは③です。ドキドキしながら卦をとると、

③  「中孚(ちゅうふ)」と出ました。親鳥が卵を温めるのと同じように真心で待っていると、時を過たずして雛が孵化する、豚魚にまで吉が及ぶ、という私の好きな良い卦です。必ずや心の優しい里親が見つかるだろうからしっかり探してあげようね、ということでみんな納得しました。事実、あの茶トラをもらった里親が、困っているようだし、うちの子にも遊び相手の兄弟がほしいから、と申し出て貰い手が見つかりました。

 

易占いで家族の感情をまとめ、方向性を見出すこともでき、なんとか面目を保つことができました。その後あの親猫の一件です。前足の筋肉が剥げて表面から真っ白な骨が見えたとき、「剥」という辞が重なり背筋がゾクッとしました。易の神様、あるいは潜在意識は、全てを見通せるものなのでしょうか。研究してみたいものです。不思議な体験でした。

 

Yoshinori Shimajiri