「ファンレター」を観劇しました。


◇9/12(木)  マチネ  シアタークリエ










◇チョン・セフン   海宝直人

◇ヒカル      木下晴香


◇イ・ユン   木内健人

◇イ・テジュン   斎藤准一郎

◇キム・スナム   常川藍里

◇キム・ファンテ   畑中竜也


◇キム・ヘジン    浦井健治



1937年・京城(現在のソウル)。

巷の話題は

亡くなった小説家ヘジン(浦井)と

恋人ヒカル(木下)の遺稿集が出版され、

謎とされていた恋人の女流作家ヒカルの

正体も明かされると言う。


三越のカフェでそれを耳にした

セフン(海宝)は驚いて

東京の留置所に収容されている

作家イ・ユン(木内)に面会し、

遺稿集出版差し止めと

彼が隠し持っているという

ヘジン先生(浦井)の最期の手紙を

見せてほしいと頼む。


1935年。

内地(東京)に留学していたセフン(海宝)

が校内でトラブルを起こして

実家に戻って来る。

父親に叱られ、それでも

京城で新聞社の下働きを始めた彼は

朝鮮文学の作家たちが集まる「七人会」

に出入りするようになる。

そこで憧れの作家ヘジン(浦井)と

対面したセフンは喜びと共に驚愕する。


ヘジン先生は

読者のヒカルと文通がきっかけで

結婚まで考えているというのである。

しかし先生が愛するヒカルとは

セフンが送ったファンレターの

ペンネームなのである。


「女性ヒカルは存在しません、

それは僕です!」

と明かせないセフンは

そのままヒカルの名前で

先生と手紙で愛を育み

一緒に往復書簡の芸術(小説)を創り上げる。



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「ファンレター」は

今年最も楽しみにしている

観劇作品の一つでありました。

それは

秘めた愛憎と純愛をテーマに

浦井くん海宝くん晴香ちゃん3人が

演じる期待がなにより大きかった爆笑


そして

その期待応えてくれた熱演に

まずブラボー!でありました。


この後は内容に触れますので

これから観るから

知りたくないという方は

お読みにならないでくださいね。



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本作は日本の統治下にあって

言論の自由を抑圧された芸術家たちが

朝鮮文学を守ろうとした時代の話で


たとえば

ミュージカル「SMOKE」は

主人公は本作に登場するイ・ユン(李箱)。

東京留置所にいる李箱(イサン)の話

だったり、

今年7月に上演された「ラフへスト」も

李箱の話だったり、

舞台作品でよく扱われている印象が

あります。


そんな

「七人会」一番有名人の李箱ではなく

今回は浦井くん演じる

キム・ヘジン(金裕貞)にスポットが

あてられ…。

モダニスト作家李箱よりも

自然の美しさ儚さにある暮らしを

叙情的な文章で書いていた

ヘジンを扱ったのは

季節や風をも表現したかったのかなと

個人的には思ったのですが…。

ふたり(3人?)は

春に出逢い、春に別れ亡くなる。


光と影がとても美しい舞台でしたが、

ちょっと残念でしたのは

照明がとても端正であったこと。

ポスターの色味、

ベージュっぽいグラデーションが多くて

それが私には少し物足りなくて、


せっかく

ヘジン(金裕貞)をテーマにするなら

彩りの季節や情念の色、

もっといろんな色が欲しかった!笑い泣き


そして

実体はふたり(浦井くんと海宝くん)

の物語ですが、

ヒカル(木下晴香)とセフン(海宝直人)は

同一人物なので舞台上で

円舞のように3人が回る芝居は

とても魅惑的でした。



あなたの抱えている悲しみが

私にはわかります。

どうせ死ぬのよ、だったら

命をかけた芸術をみたいでしょう?

さようなら。私の光、私の悪魔。

という印象的な台詞やテーマ。


孤独(浦井くん)と純愛(海宝くん)と

残酷さ(晴香ちゃん)。

その純愛と残酷は

実は海宝くんの内面の欲望であるという

非常に難しい役どころを

三人三様に奇をてらうことなく

演じているのが

非常に良かったと思います。


海宝くんを「純愛」と表現しましたが

あの投書だって

海宝くんが浦井くんを独り占めしたくて

やったんだよ?!

あんなに純朴そうなそぶりで…ガーン


そして木下晴香ちゃんは

「無駄な芝居はしない」彼女の良さが

とても生きておりました。

拍手しづらい作品の中、

2曲続くソロ

♪文字そのままに

♪星が輝く時間

の後には大きな拍手がありました。



浦井くんのヘジン先生は…。

登場からくたびれ過ぎる感はありますが

(好きだからね、ついつい 

おじいちゃんじゃないんだからさ、

登場からずっとくたびてなくても

良くない?えーなんて思っちゃう…笑)

大熱演でありましたラブ


御本人もきっと

「あ…アセアセ今日もまた…

いろんな所から体液が多い!!

出なさ過ぎるよりいいのか??

もはやわからないもやもや

なんて思いながら演じているのか?

と思ったり、


浦井くん、

ファンの前では(FCイベントとか)

いつもカッコいいんだけどラブ

それだけじゃない、

役に生命を吹き込むその心意気に

応援したくなるんだなぁと…。

そして「先生」と呼ばれる役を演じる

浦井くんが私はとても好きである

ということも今回自覚いたしました爆笑



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でも

ヘジン先生とは比べ物になりませんが

知らないふりをして

忘れたふりをして生きるって

人生多かれ少なかれあるよね…。



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1937年の春に

浦井くん演じるヘジンが亡くなり、

その3週間後に

木内くん演じるイ・ユンが亡くなる。

それを解って観ると(本作は告白だから)

これはその3週間の間の

イ・ユンとセフンとの語らいなのかと

2人の最期まで挑む姿にも思えて

衝撃的でした。



ラストシーンも

(七人会は七人いなかったけど)

当時の朝鮮の人々(キャストが七人)が

客席(日本)に向けた

抗議と信念の眼差しなのか、

それを日本人俳優が演じている、

という事に深い感慨を受けました。



なんだか感想足りない感じもしますが

もう一度観劇するので

その時にまた綴ろうと思います。