『平家物語』古川日出男 訳     (古典) | 夜間飛行のオススメ読書

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初めて『平家物語』を読破しました。

ひさしぶりに古典の長編を読破できて、すっきりして気持ちいいです。

古川氏の『平家物語』は、細切れのエピソードが乱立している感じでした。

途中まで集中しにくかったですけれども、平家が滅びていく段になると、あれよあれよと畳みかけるように滅びていき、速かったです。人間、うまくいかない時って、そういうもののように思います。

 

仏教的な無常観が全体を通してあり、「出家した男性の書く物語」という雰囲気がします。

「14才~19才くらいの女の子が、その時の色恋に無常を感じて、出家して一生を終える」という感覚は、現代人にはついてゆけず、私としても「当時の女性からしても現実的ではなく、いわゆる男性側のロマンでは?」と感じられました。

 

ラストで、安徳天皇に先立たれた母上が、出家して貧しく清く暮らしている姿も、「母というものはそうあってほしい、という男性側のロマンでしょうね」と、現代人の私には思えます。

 

戦争シーンの中に女性がいても、この本にはレイプは出てこなかったので、「硬派の男性が書いたので、わざとレイプを書かなかったのでは?命がけで戦う場では、人は異常になっていて、レイプあったでしょうね」という感想を持ちました。

 

内面も良い美少年は、『平家物語』の時代の創作物でも、別格の特別待遇でした。

ハロー効果(見た目が良い人物に対してはその他の特性も良く感じられる、という心理効果)ですかね?

 

単なる「勝ち」よりも、「美学を貫いて負けることにも、意味がある」という世界観です。

 

 

 

NHKの人形劇の『平家物語』を観ていると、古川氏の訳と全然違うので、他の訳者さんの『平家物語』にも、興味がわいてきます。

まずはNHKの人形劇を観終わってから、また気が向いたら違う訳者の『平家物語』に挑戦したいです。