【報告】第4回近畿聾史講座 | 近畿聾史研究グループ

近畿聾史研究グループ

主として近畿地区(大阪、京都、奈良、滋賀、兵庫)に居住する、聾唖者の歴史に関心のある人たちの集まりで、ほとんどが聾(聴覚障害者)である。

 2024(令和6)年4月29日(月・祝)、大阪府立中央図書館大会議室にて標記の企画が行われた。対面で20名ほどの参加があった。zoom経由での参加もあった。午前は『聾史レポート集』第4掲載のうち、西野・熊田・小枝各氏の文章の要約紹介であった。ダイジェスト企画であるが、同時に販促も兼ねている。

 最初に新谷嘉浩氏がら趣旨説明。西野氏のものは、視話法を伊沢修二から学んだのは吉川金造以外に誰かいたか、ということについての考証であった。各種資料により、微妙に異なるようであるが、やはり同時代資料のほうが大事なようである。後世の編纂物はその点危うい、ということであった。編纂物を使えば、楽ではあるが、落とし穴もある、ということである。要注意。

 熊田氏のは、彦根訓盲院における唖生について滋賀県の統計に基づく分析。こういう地味な考証の積み重ねが大切なのであるが・・・。ただ、参加者用の資料配布がなかった。

 小枝氏は、チャップリンと聾唖の画家レッドモンドとの関係について、翻訳も含めた日本語文献からわかることについて話した。小枝氏の発表は、チャップリンという有名人についてであるだけに、質問も多かった。

 

 午後は史料輪読会であった。内容は、『日本聾唖協会の基礎的研究』に引用された史料・情報を読み解くこと、であった。『聾唖界』から抽出してまとめたのっであるが、今回は役員名簿の読み解き、であった。総裁・会長・副会長は聴者が就任したが、実務を担う幹事は聾者が占めた。これをどう解釈するか、一つの課題であろう。

 また、川本宇之介と高橋潔が同一団体のなかで並び立っている。これについては、先入観を捨てて、虚心坦懐、史料の示すところを解釈することになろう。

 

西野淑子氏の講義

熊田寿貴氏の講義

講義を見る参加者たち

小枝豊氏の講義

午後から行われた史料輪読会の様子