- マリーン
- GOLDEN☆BEST マリーン
身の程も顧みず、自作のタイトルにまで使っているこの曲、「LEFT ALONE」ですが。
ビリー・ホリデイが作詞、マル・ウォルドロンが作曲したのですが、ビリーの死によってついに彼女自身のレコーディングはなされなかったというエピソードがあるのを知ったのは、実はずいぶんと後のことで。
わたしがこの曲に最初に出会ったのは、まだ角川映画が全盛期だったころに野村宏伸主演で映画化された「キャバレー」(栗本薫原作)でした。
この作品の中で、サックスプレイヤーの主人公が自分のジャズを追い求めて吹くのが「LEFT ALONE」なのです。そして、主題歌としてもこの曲がMarlene(マリーン)によって歌われました。
おそらくは最もドラマティックなアレンジを施されたメロディとマリーンの哀愁たっぷりの歌声は、今聴くと少し演出過剰な気はするのですが、しかしこの映画の全編を通じて漂うやるせない孤独や苦悩、そしてそれぞれの登場人物が見せる一瞬の煌めきを見事に表現しているようにも思えます。
見たのはずいぶんと昔の話で、原作の小説まで読んだのにストーリーのディテールは記憶からこぼれ落ちてしまっていますが、それでもこの「LEFT ALONE」だけは、そのイントロから最後のサックスの音色まで覚えているのですから、よほど印象が強かったのでしょう。
著名な曲の割には(北方謙三氏は作品の中で「アメリカ人の浪花節」とまで言ってます)意外とカバーされていなくて、ギタリストの中川イサト氏のアコースティック・バージョンくらいしかピンとくるのがなかったり、一方でマリーンが日本ではほぼ忘れ去られた存在になりつつあることもあってCDが手に入らなかったりと、ずっと気になっているのに縁遠かった「LEFT ALONE」ですが。
ついに今日、CDが届きました。
できれば新品が欲しかったのですが、それは無理だということでネット・オークションで。資金はヨメから出ているので、一応はこれが今年の誕生日のプレゼント。
さっそくiTunesに取り込んで、延々とリピートしながら聴いております。
やっぱ、いいなあ……。
(買ったのは上の”GOLDEN☆BEST”ではないのですが、Amazonにジャケットの画像があるのがこれだけだったので……。まあ、それが今の日本におけるマリーンの位置づけということなのでしょうか)