心に残る(ような気がする)セリフ。 | 『Go ahead,Make my day ! 』

『Go ahead,Make my day ! 』

【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】

真名さんブログにて、こういう記事 を書かれてありまして。

同じように(量的には多分、足元にも及ばないのでしょうが……)本を読んでいる人間として、振り返って自分の中に残っている名台詞ってなんだろう、と考えてみました。


……みました。が、しかし。


ネ ェ よ。


一人称のモノローグをセリフに数えてよければ、それこそ幾らでもあるのですが、「 」の中に限定すると、これが意外なほど残っていません。

これは基本的にセリフというのは会話の一部であって、単体では意味を持ち得ないからだと思うのですが、実は会話というのもその小説の一部に過ぎず、どこか一ヶ所を抜き出して云々すること自体が、あまり意味のないことなんですよね。


個人的には小説のテーマだとか感動的なシーンでの会話よりも、登場人物の人となりを表すような何気ない会話のほうが記憶に残りやすいタイプのようです。

だから、どっちかというとクスッと笑わされるような気の利いたジョークを上手にセリフに仕立てている作家を見ると、「……上手いなぁ」と思ってしまいます。

 

初期から中期のスペンサー・シリーズはこの手のセリフの宝庫でして、中でも私のお気に入りは、スペンサーが盟友ベルソン刑事とその同僚にクルマに乗せられているシーンで、一方通行の逆走を指摘するスペンサーに対して、運転していた同僚刑事が放った一言、

 

「大変だ。近くにお巡りがいないと良いが」

 

ですね。お前がお巡りだろうが(笑)。

 

それと、小説ではありませんが、映画「ダイ・ハード」の中の至芸を一つご紹介しておきましょう。

劇中で3回使われる「Wow,It's California!!」という簡単なセリフがあるのですが、実はコレ、3回ともシチュエーションが違うんですよね。

最初は思わぬ歓迎を受けてのニンマリしたシーンで、2回目は緊迫した状況の中で、3回目は(この映画の象徴ともいえる)通風ダクトの中を這いずり回るシーンで、とブルース・ウィリスの口調の違いも相まって、同じセリフにまったく違う意味合いを持たせています。

こういうのを職人芸というのでしょうね。

物書き志望者たるもの、変に美辞麗句で飾るのではなく、こういう上手さを身に付けたいものです。