心に残るセリフ | 水の中。

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たくさんの物語を消費して生きている身としては、いくつもの名台詞に出会ったような気がするのですが……

いざ思い出そうとしてみると、意外と記憶に残っていないのですよね、これが。


読み手としても書き手としても、私自身はどちらかと言えば、

「物語のテーマそのものをどう結論づけるのか」

に関心があるらしく、作中で登場人物がカッコイイことを言ったとしても、覚えていないようです。


いま思い出せるものと言えば~

トマス・ハリス「ハンニバル」で、クラリスがレクター博士を救うべきかどうか悩むシーン。
レクター博士は、彼に恨みを抱く人物に、復讐のために連れ去られてしまうわけです。

その復讐というのが「豚に喰わせる」という、前代未聞のオソロシイ復讐なのですが……(冗談抜きで、それ用に輸入した、殺人マシーンのような豚が登場するのですよ)。
復讐する側にも、それなりの理由がある。
そして、迷惑をこうむりこそすれ、レクター博士を救いに行くような義理は、クラリスには無い。
ところが彼女は、「わたしの手がとどく範囲では、そんなことは許さない」とレクター救出へ向かうのです。


おお、さすがクラリス
~で~だから~すべき。のような理論立った結論よりも、このような「正義のうっちゃり」に弱いようです、自分。

というわけで、「心に残るセリフ」の話にはまったくなりませんでしたが、このテーマについては、また書いてみたいと思います。


そうそう、京極夏彦「絡新婦の理 」のクライマックスで、京極堂が現れる場面。
榎木津が「遅いぞ出不精」と言う、あのあたりはカッコよかったですね。


音の使い方といい、リズムといい、

「おお、まんがみたい!」と思いました(それ褒めてないんじゃ……)。