ネーミングのセンス。 | 『Go ahead,Make my day ! 』

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【オリジナルのハードボイルド小説(?)と創作に関する無駄口。ときどき音楽についても】

えー、魔法戦隊マジレンジャーのことを最初の頃、本気(マジ)レンジャーだとマジで思っていた私です。そういえば同じスーパー戦隊モノのカクレンジャーを核レンジャーだと勘違いして、「子供向けの番組にしてはスゲェ名前だな」とか思ってたこともあったな……(シャレにならん)

 

さて、本題のネーミングですが。

ファンタジーやSF、あるいは現代劇でも架空の都市を舞台にする場合を除いては、ネーミングというのは大半が「登場人物に名前をつける」という行為のことを指すわけです(タイトルに関することは以前に真名さんとこで 論じて戴いているので割愛)

主人公(タイトル・ロール)の名前というのは、作品の(特にシリーズモノだったりすると)言ってみれば札」なわけでして、新本格で散見するような「そんなトンチキな名前の日本人がいるか!!」と怒鳴りたくなるようなものは頂けないし、だからと言ってあまりにも没個性なものだと印象に残りにくいので困ります。

もちろん、どんなにいい名前をつけても、作中で十分な個性を付与することが出来なければ、文字通り「名前負け」してしまうのですが。

 

小説における主人公の名前には、「そんなにありふれたものではないけれど、あまり特殊なものでもない」という微妙なサジ加減が要求されます。

海外作品は名前のありふれ具合がよく分からないので置いとくとして、国内作品では原りょうの沢崎や矢作俊彦の二村永爾、大沢在昌の鮫島警部冴木親子(涼介、隆)、ちょっと古いところでは結城昌治の真木など(引用作が全てハードボイルドなのはご愛嬌ということで 笑)、印象に残っている主人公たちは、みんな奇抜ではないけれど、しっかりと個性を主張する名前を与えられているような気がします。

 

アメブロ上で創作されている方の登場人物で、個人的に「いい名前だなぁ」と思うのは、真名さんとこの「OVER」の向坂永一(私はこうさかと読んでいますがさきさかだったらごめんなさい)と仁科麻紀、藍花さんの「ユニゾン」の一砂(すいません、最初はいっさだと思ってました)ですね。基本的にポイントは語感だったり、字面だったりするんですが、耳に残るような感じ(……読んでるんですけどね)が好きです。

 

振り返って自作はどうかというと、主人公の「真奈」という名前は、この作品のお父さん(しつこい)である真名さんへの無理難題に対する仕返しオマージュとして最初から決まっていたのですが、苗字は最後まで悩みました。

設定上、二つの姓を持たせることにしていて、一方の「佐伯」が先に決まり、これが平仮名3文字だったので長いのにしようと考えた結果、「榊原」という平仮名5文字にしたんですが、私の世代だと「榊原」=「郁恵」なので、実はかなりの葛藤があったんですよねー(笑)。

それに比べると、由真はそれほど悩みませんでした。というのも、「徳永」姓は設定上、先に決まっていたからです。リズム的に二人とも2文字の名前で統一するつもりだったので、ユマという名前はあっさり決まりました。

ところが実は、これが致命的なミスの元でして、それは主要登場人物2名の両方に同じ「真」という文字を入れてしまってるんですよねー。名前自体は気に入っているので、せめて「由真」「由麻」と表記していれば良かったんですが、今さら書き直すわけにもいかず……。

それに比べて、平々凡々な苗字なのが「テネシー・ワルツ」の村上恭吾。白状してしまうと、「村上」姓は村上春樹から、「恭」という字はモチーフになった同名の曲を歌う安部恭弘から、「吾」「輔」と最後まで迷った挙句、何となく決めてしまいました。


私の創作の教科書のひとつであるディーン・R・クーンツの「ベストセラー小説の書き方」という本によりますと(怪しいタイトルですがコレは名著)、何はなくとも登場人物には名前をつけるべきなのだとか。

仮名のAさんBさんでは、どんなに他に詳細な設定がされていても顔がないのに、イメージでしか掴めていなくても、名前がついた時点から一人の人物として動き始めるからだそうです。

これは実際にやってみて、そうだな、と思うところでもあります。そして、キャラ立てのうまく出来ない登場人物について、何故出来ないのかと振り返ったときに、その名前に納得できていないことが往々にしてあるように思います。

実は現在、「砕ける」の続きを書きあぐねているのも、この辺に原因があるような気がしています。


えー、徳永家の面々(由真を除く)の名前がもし変わっていたら、その辺が原因ということですので、すみやかに記憶の差し替えをお願いする次第です(←要するにコレが言いたかったのか……)