今回は水性塗料のファレホで筆塗りする場合の各種添加剤の特徴と使い方、おススメ度を解説した記事です。
ファレホには塗料の操作感や質感を変えたり、筆塗りをさらに楽にする添加剤が数多く揃っています。
そのままでも塗装しやすいファレホですが、これらを使いこなすとさらに使いやすくなり、塗装の仕上がりも良くなります。
国産塗料には無いような性質の添加剤も多く、どれがどんな効果があり、どう使うのか迷う方も多いと思うので、その解説をします。
1. 塗料の「伸び」と「滑らかさ」を操る(希釈系)
■ 70524、73524 ファレホ専用シンナー/Thinner Medium(18ml、60ml)
- 特徴:
水で薄めるよりも塗料の定着力(食いつき)を落とさずに、シャバシャバにできる基本の薄め液です。普通にイメージする透明なシンナーとは異なり、乳白色の液体です。(※乾くと透明になります)また、シンナーと言いながらもほぼ無臭です。 - 使い道:
スミ入れ用のウォッシュ液を自作したり、基本色を少し薄めて筆ムラをなくしたい時の「基本のキ」として使います。水だけで薄めすぎると塗料の成分が分離して弾かれやすくなりますが、これを使えば安心です。 - おススメ度:★★
■ 71261、71061、71161 エアブラシシンナー/Airbrush Thinner(18ml、32ml、200ml)
- 特徴:
「エアブラシ用」と書いてありますが、実は筆塗りモデラーにとっても最強のシンナーです。塗料の乾燥をほんの少し遅らせ、筆跡を平滑にする(セルフレベリング)効果が非常に高いです。溶剤臭が少ないのも流石ファレホです。 - 使い道:
広い面を筆塗りでムラなく塗りたい時、水や専用シンナーの代わりにこれを数滴混ぜると、塗膜がツルッと綺麗に仕上がります。 - おススメ度:★★
■ 71262、71362、71462、71562 フローインプルーバー/Flow Improver(18ml、32ml、60ml、200ml)
- 特徴:
塗料(水)の「表面張力」を壊す魔法の添加剤です。塗料が弾かれなくなり、筆からスッと滑らかに流れ落ちるようになります。 - 使い道:
筆先がすぐに乾いてカサカサしてしまう時や、極細の面相筆で細かいディテールを描き込む時に、塗料に1滴混ぜると驚くほど筆運びが滑らかになります。エアブラシシンナーと1:1で混ぜると「最強の希釈液」になります。 - おススメ度:★★★
2. 「透明度」と「乾燥時間」を操る(グラデーション系)
■ 70596、73596 グレーズメディウム/Glaze Medium(18ml、60ml)
- 特徴:
「塗料をカラーセロハンのように透明にする」メディウムです。乾燥も少し遅くなります。単に水で薄めるのとは違い、塗料の「粘度」を保ったまま透明度だけを上げられるのが最大の特徴です。 - 使い道:
境目をぼかす「グレージング」の必須アイテム。グラデーション塗装の必須アイテムです。下地の色を透けさせて塗り重ねたい時に大活躍します。 - おススメ度:★★★
■ 70597、73597 ドライングリターダー/Drying Retarder(18ml、60ml)
- 特徴:
塗料の乾燥を「劇的に遅くする」ことに特化した添加剤です。 - 使い道:
パレット上の塗料を長持ちさせるだけでなく、フィギュアの表面で2つの色を混ぜ合わせる「ウェットブレンディング(生乾きの状態で境界を混ぜる技術)」を行うための必須アイテムです。
※注意:入れすぎると塗膜が弱くなり、永遠に乾かなくなるので、爪楊枝の先で少しすくって混ぜる(塗料に対して5%程度)くらいでOKです。 - おススメ度:★★
3. 「ツヤ」をコントロールする(質感調整系)
■ 70510 グロスバーニッシュ/Gloss Varnish
- 特徴:
筆塗りができる「光沢クリアー(トップコート)」です。 - 使い道:
計器類のガラス面、光り輝く金属や宝石、またはフィギュアやクリーチャーの濡れた舌や目玉など、「局所的にツルツル・テカテカにしたい部分」に筆でサッと塗るだけで、一気に生命感やリアルさが出ます。
自分はつや消しトップコートを全体に吹いた後、光沢を出したい箇所にだけピンポイントで筆塗りして艶出しするのに使っています。 - おススメ度:★★
■ 26650、27650 ポリウレタン グロスバーニッシュ(60ml、200ml)
- 特徴:
通常のグロスバーニッシュ(70510)よりも、さらに強靭な塗膜を形成するポリウレタンベースの光沢クリアー(トップコート)です。 - 使い道:
完成した作品をホコリや摩擦からガッチリ守りたい時の「全体コーティング」に最適です。塗膜が非常に強いため、ゲームの駒として頻繁に手で触るミニチュア(ボードゲームのコマなど)や、関節の擦れが気になる可動フィギュア・メカキットの保護に大活躍します。筆塗りでも筆跡が残りにくく平滑に仕上がりやすい(セルフレベリング性が高い)のも大きなメリットです。そのような特徴から、逆にピンポイントでクリアを盛る場合には向きません。 - おススメ度:★★
■ 27651、70426 ポリウレタン ウルトラマットバーニッシュ/Ultra Matte Varnish(60ml、200ml)
- 特徴:
ファレホユーザーの間で「究極のつや消し」として名高いトップコートです。 - 使い道:
筆塗りでサッと上塗りするだけで、光の反射を一切許さない「極限のつや消し(布や泥のような質感)」になります。作品の重厚感を一段引き上げたい時の仕上げに最適です。 - おススメ度:★★
■ 70540、73540 マットメディウム/Matte Medium(18ml、60ml)
- 特徴:
塗料のツヤを完全に消し去る添加剤です。タミヤカラーのフラットベースのようなもの。 - 使い道:
ファレホの中には少しツヤが出やすい色がありますが、これを混ぜることで強制的に「完全なつや消し」にできます。宇宙服の布地の質感を完璧なマットにしたい時に、塗料に直接混ぜて使えます。 - おススメ度:★
4. 特殊効果・ウェザリング系
■ 73214、76550 チッピングメディウム/Chipping Medium(18ml、35ml)
- 特徴:
塗装の「剥がれ(チッピング)」を簡単に再現できるメディウムです。ヘアスプレー技法を専用液にしたもの。 - 使い道:
下地色(サビ色など)を塗った上にこれを塗り、さらに基本色を重ねます。その後、水を含ませた筆や爪楊枝で擦ると、上の基本色だけが本物のようにポロポロと剥がれ、リアルなダメージ表現ができます。メカや戦車のウェザリング塗装に便利です。 - おススメ度:★★
■ 70521 メタルメディウム/Metal Medium
- 特徴:
どんな普通の塗料も「メタリックカラー」に変えてしまう魔法の添加剤です。 - 使い道:
雲母(マイカ)が配合されており、例えば普通の赤に混ぜれば「メタリックレッド」に、青に混ぜれば「メタリックブルー」になります。手持ちのカラーを増やさずにメタリック表現を楽しみたい時に便利です。 - おススメ度:★
5. すべての土台(下地系)
■ 70601 プライマー グレー & 70602 プライマー ブラック
- 特徴:
ポリウレタン樹脂を含み、レジンやプラスチックに強力に食いつく下地塗料です。水性ですが、完全に硬化すると非常に頑丈な塗膜になります。筆塗りでも使えます。 - 使い道:
- グレー:
キャップの色見本作りや、明るい色を発色させたい時の万能下地。 - ブラック:
全体を真っ黒に塗りつぶして重厚な影を作る「スラップチョップ(※黒下地の上から白やグレーでドライブラシをして立体感を出し、その上から透明感のある色を塗る技法)」の最強の土台になります。
- グレー:
- ※注意:最高の強度を出すためには、塗布後24時間〜48時間しっかり乾燥・硬化させるのがコツです。
- おススメ度:★★
6. メンテナンス液
■ 71099、71199 エアブラシクリーナー(85ml、200ml)
- 特徴:
ファレホの塗膜を跡形もなく溶かす、強力なクリーナーです。 - 使い道:
こちらもエアブラシ用とありますが、筆塗りモデラーの「筆の延命措置」に欠かせません。
作業後、筆の根元で固まってしまったファレホをこれで優しく溶かして落とし、最後に「Mr.フデピカリキッド」等でトリートメントすれば、筆の寿命が何倍にも跳ね上がります。
また、塗装中に筆に付いた塗料が固まりかけてしまうと、それが塗装面にダマとなって付いてしまったりしますが、これを使えば一発で筆を綺麗にできます(固まりかけてしまうと水ではなかなか落ちない)。
ツールウォッシュの代わりとしても使えます。他のメーカーのツールウォッシュ、クリーナーのような強烈な溶剤臭は無く、臭いはかなりマイルド(部屋に溶剤臭が充満するような事は無い)です。 - おススメ度:★★
■ 28900 ブラシレストア(筆洗い液)/Brush Restorer
- 特徴:
ファレホから出ている、純正の筆用トリートメント兼強力洗浄液です。 - 使い道:
エアブラシクリーナーでも落ちないような、筆の根元でガチガチに固まった古い塗料を溶かし出す最終兵器。アルコール成分を含んでおり、一晩漬け置きするだけで死んだ筆が蘇ることも。ただし、毛の油分も抜けるため、使用後は石鹸などで洗って毛先を整える必要があります。 - おススメ度:★































































