Talk'n Blues
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孤

何処かを見詰めながら しゃがれた太い泣き声を聞いた、新世界


着飾った年齢不詳の男女達が チークを踊りながら此方を見て微笑んでいた
ミリオンセラーを響かせながら 素敵な色に塗られたアメリカ製の車から歓声が聞こえてきた

優しく思える人の波
手を差し伸べる心意気
惚れた腫れたの社会人
背を向けながら


文句要らずのおしどり夫婦が 周りを巻き込む愛想を振り撒きいつもと同じ物を買う
志高い若者たちが 熱い声援を受けながら感情も露に夢を叶える努力をする

暖かに感じた他人の眼
心に響く人情味
切った張ったの浮き世毎
目を閉じていた

何処かを見据えながら 消えそうな細い猿真似を聞いた、新世界
何処かを見つけながら 甲高い割れた遠吠えを聞いた、新世界


何処かがわからなくて ひび割れた重低音で鳴いた、新世界
何処にも居場所は無いと知り 喉が焼けるまで泣いた、新世界

乾

光ある方へ

そんな事を言いながら、砂漠化していく土地へと向かう
日処る場所は遥か彼方に見える蜃気楼

オアシスばかりを求めた挙げ句に流砂に足をとられ、右往左往
砂に身を委ねて死を受け入れてみたが、死にも拒否される
蟻地獄とは名ばかりの泥濘

蠍と対峙してみては常に尻尾を巻いて逃げ惑う 臆病者
救いの雨を心待ち、日陰に逃げ込んで日を重ねるが、酸性雨ばかり
顔を上げれば目前に迫る砂嵐、細かな散弾銃に身を削られる

光ある方へ

そう言い続け、砂漠化している大地を歩く
日処る場所は遥か彼方に見える蜃気楼

戯言を呟きながら、届かぬ陽を追い続ける
日処る場所は遥か彼方に見える蜃気楼

久

もう夏も終わる。
そう気付いた。

この町に住んで九年。色々な事があった。色々な人と会った。
そして別れていった。些細な事で衝突し、もう顔を見なくなった人。気付けば引っ越していた人。なんとなく疎遠になってしまった人。

また会いたいとこの頃思う。もう会えないだろう、と思うからこそ。
今何処にいるかわからない人もいる。
もう亡くなった人もいる。

正気の沙汰じゃなさそうに思える。
扇風機の音がそんなノスタルジックな気分にさせる。
でもあの時届かなかった手を今更ながら掴みたい。
聞こうとしなかった声にも耳をすませたい。
閉じていた眼を見開きたい。
暑い夜だから。

とても残酷なエゴを振りかざす。


BGM:BAZRA
『終わらない夏の夜』
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