トランプ外交には西半球はアメリカのテリトリーであるという考えが根底にある
https://suinikki.blog.jp/archives/90176857.html
2025年9月から南アメリカのヴェネズエラ近海にアメリカ海軍の空母を派遣し、また、「麻薬密輸船」への攻撃を行っている。
これは、現職のニコラス・マドゥロ大統領への軍事的圧力をかけることになっている。
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2025-12-12/T74OD6KK3NY800
ヴェネズエラでは、先代のウゴ・チャヴェス大統領から反米、中露接近の姿勢を取っており、アメリカは、経済制裁などで対抗し、ヴェネズエラは経済的に厳しい状況が続き、数百万人の難民も出ている。
ここに来て、軍事的圧力を高めて、マドゥロ大統領を追い落とすかのような姿勢を見せている。
トランプ派ヴェネズエラ周辺へのアメリカ軍派遣を「麻薬対策」としている。
https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=394014
ヴェネズエラから大量の麻薬がアメリカ国内に入っているという論法だ。
しかし、地図を見れば分かるが、アメリカとヴェネズエラは距離こそ近いが、その間にカリブ海があり、多くの島々や国が存在する。
それらを乗り越えてアメリカに麻薬を密輸することは大変なことだ。
麻薬対策と言うならば、何よりもメキシコに対して厳しく麻薬密輸をしないように要求すべきだし、アメリカ国内の麻薬取扱組織やギャング、マフィアを壊滅する方が重要だ。
トランプが大統領就任式の演説で、ウィリアム・マッキンリー(1843-1901年、58歳で没)大統領(在任:1897-1901年、二期目の初めに暗殺)を称賛した。
このことは拙著『トランプの電撃作戦』(秀和システム、2025年)で指摘した。
マッキンリーはスペインとの戦争を行い、フィリピンやキューバなど、スペインの影響下にあった国や地域をアメリカの保護下に置いた。
マッキンリー政権のジョン・ヘイ国務長官が「門戸開放宣言」で中国に対して、アメリカも進出すると宣言したことも知られている。
トランプの外交や国家安全保障の政策において、重要なのは「西半球(Western Hemisphere)」である。
アメリカは世界の警察官を辞め、アメリカのテリトリーである西半球(南北アメリカ大陸)に立て籠もるということになる。
南米は、アメリカと中国(とロシア)の影響力争いの最前線ということになる。
トランプ政権は高関税を武器に、中国に貿易戦争を仕掛ける形になったが、最終的には中国に屈する形になった。
トランプも負けてばかりはいられない。
嫌がらせの意味もあり、ヴェネズエラを虐めることにしたということもあるだろう。
日本の下世話な言い回しを使えば、「江戸の敵(かたき)を長崎で討つ」だ。
「麻薬対策」という大義名分の下で、反米路線の代表格であるヴェネズエラを叩き、中国をけん制するということになる。
アメリカは手ごわい相手には喧嘩を売らない。
自分が勝てそうな相手に強圧的に喧嘩を売る。
しかしながら、このやり方も通じなくなっている。
ジョージ・W・ブッシュ政権で始まったアフガニスタン戦争とイラク戦争、古くはヴェトナム戦争を考えてみると、アメリカの思い通りにいっていない。
アメリカの外国への介入は良い結果を生み出していない。
下に紹介した論稿は、アメリカの対ヴェネズエラ介入を戒める内容となっている。
重要なのは「体制転換(regime change)」という言葉だ。
「民主化(democratization)」という言葉と合わせて、私の本の国際関係や世界政治の部分ではよくご紹介している言葉であるが、これらの基盤となっているのは、アメリカの「介入主義(Interventionism)」である。
「世界の国々を全てアメリカの介入によって、民主政治体制、資本主義、法の支配、人権などを備えた国にしてしまえば世界は平和になる(争いはなくなる)」という究極のお花畑思考である。
その結果は、下記論稿にある通りだ。
世界は不幸になるのだ。
トランプ大統領は、西半球は「自分の縄張り(テリトリー)だ」と考えており、そのために強硬な姿勢を示す。
アメリカ軍派遣もその一環だ。
アメリカ軍に被害がないなら、アメリカ軍を派遣する。
遠くからミサイルを撃ち込む、戦闘機や爆撃機を使って攻撃するということまではやるだろう。
しかし、アメリカ軍を本格的にヴェネズエラに侵入させるかは非常に危険な賭けになる。
熱帯雨林やギアナ高地など多様な自然環境を持ち、そこでゲリラ戦を展開されてしまえばアメリカ軍の被害は避けられない。
ヴェネズエラの正式名称は「ヴェネズエラ・ボリヴァル共和国(República Bolivariana de Venezuela、Bolivarian Republic of Venezuela)」だ。
南米の英雄、独立の英雄であるシモン・ボリヴァル(Simón Bolívar、1783-1830年、47歳で没)が生まれ、独立に導き、初代大統領を務めた国だ。
その誇り高さを軽視してはいけない。
アメリカとしてはミサイル攻撃や空軍による攻撃で、マドゥロ政権を瓦解させたいところだ。
しかし、アメリカの思い通りには進まない。
トランプ大統領はそのような愚かな判断はしないだろう。
(貼り付けはじめ)
米国主導の政権交代は多くの場合、悲惨な結果をもたらす
(U.S.-Led Regime Change Is Usually Disastrous)
-イラク戦争を招いた傲慢さが今やヴェネズエラに大惨事をもたらす脅威となっている。
本番では岡田氏が高市首相や麻生太郎氏の過去の発言を引いて「軽々しく言うのは問題ではないか」と質問したので、つい反論したくなったのだと推察する。その場の感情に流されて言ってはならないことを言ってしまうのは首相として失格。 https://t.co/YQqePfumPV
— 布施祐仁 / 『従属の代償 日米軍事一体化の真実』(講談社現代新書) (@yujinfuse) December 13, 2025
この動画、爆笑しちゃったが、笑ってる場合じゃないのかもしれないな。こんなの本気で作ってるとしたら、国の未来が心配になるレベル。
— 但馬問屋 (@wanpakuten) December 12, 2025
政治家をアイドル化するのやめて、ちゃんと国民が権力監視してくれよ、と。
「裏金アイ」あたりで作り直すのはどうかな? https://t.co/oKUbc6vhen
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