“我々に何ができるのか?”という質問が多く寄せられる。
平和と繁栄の為の処方箋は下記の通りだ。
繁栄は平和に貢献しうるので、繁栄から話を始めよう。
政府は、見込みのない経済見通しから目をそらせる為に戦争を始めることもあり、国内の政治的安定性も、同様に繁栄に依存している可能性がある。
繁栄への道
アメリカ合州国が、繁栄の道に戻る為には、中流階級を復活させ、出世階段を元通りにしなければならない。
中流階級は、富者と貧者との間の、緩衝として、国内の政治的安定に貢献していた。
出世階段は、強い決意を持った人々が、貧困から這い上がって成功することを可能にする安全弁だ。
世の中全体の所得上昇によって、消費者需要が生まれ、それが経済を駆動した。
アメリカ経済は、第二次世界大戦後の時期に、そういう形で機能した。
中流階級を再建するには海外移転された雇用を国内にもどさなければならない、独占を廃止し、規制を復活させ、責任を負う支配のもとに、中央銀行をおくか、廃絶するかだ。
雇用の海外移転は、中流階級を犠牲にして、資本所有者と資本管理者を裕福にした。
高賃金の製造業や産業の労働者達や、ソフトウェア・エンジニアリングや情報技術等の、移転可能な専門サービス雇用に向けて教育された大学卒業生も生計を失った。
残った雇用が、小売り店員、病院の雑役係、ウエイトレスや、バーテンダー等の国内サービス雇用でしかない経済では、同等の賃金の仕事は探しようがない。
現在の収入損失は、退職者の社会保障を補完していた医療給付や私的年金の損失により、更に一層ひどくなる。
かくして、雇用の海外移転は、現在、将来、両方の消費者所得を低下させる。
アメリカ中流階級の雇用は、企業が課税される方法を変えることで、国内に取り戻すことができる。
アメリカ市場で売られている企業製品に対する付加価値が、国内によるものか、海外によるものかを基本にして、企業所得に課税するのだ。
国内生産では、税率が低くなる。
海外生産された製品の税率は高くなる。
海外で生産することで得られるコスト削減が相殺されるように税率を設定できよう。
自由市場主義の経済学者連中によって、長い間、シャーマン反トラスト法は死文化したと攻撃された。
自由市場主義の経済学者連中は、市場には自己修正機能があるのだから、反独占法規は不要で、非効率なものを守る役にしかたたないと主張した。
たくさんの伝統的な中小企業は、フランチャイズや、“大規模小売店”に独占されてしまった。
家族経営の自動車部品会社、工具店、レストラン、紳士服店や、婦人服店は締め出されてしまった。
地方商店街に対する、ウォルマートの破壊的影響は伝説的だ。
全国規模の企業が、地方企業を廃業に追いやったのだ。
独占には、経済的影響以上のものがある。
6つの超巨大企業が90パーセントのアメリカ・メディアを支配してしまった為、分散し独立したマスコミは、もはや存在しない。
ところが、民主主義そのものは、政府に責任を負わせるようにするマスコミに依存している。
米国憲法修正第1項「言論の自由」条項の目的は、政府を制御することだが、現在、マスコミは政府のプロパガンダ省として機能している。
AT&Tが規制された独占企業だった頃、アメリカ人は、より良く、より安価な通信サービスを享受していた。
通信サービスの自由化は、サービスが低劣で、料金の高い、規制されない多数の地方独占企業を生み出すことになった。
AT&Tの安定性ゆえに、同社の株は“寡婦と孤児”信託基金、年金や、資産維持にとって理想的な“優良株”だった。
現在、そのような、リスクのない株など存在しない。
金融規制緩和で、独占に拍車が掛かった。
“市場は自己調整する” し、政府規制は有害だという連邦準備金制度理事会議長アラン・グリーンスパンの主張は、2007-2008年の金融危機で粉々にされた。
規制緩和は、銀行が慎重な行動をやめるのを可能にしたのみならず、途方もない集中化も可能にし、アメリカには“大き過ぎて潰せない銀行”ができた。
資本主義の長所と、正当化の一つは、効率の悪い企業は失敗し、倒産するというものだ。
ところが、今存在しているのは、公的、あるいは連邦準備金制度理事会の助成によって、破綻させないように維持しなければならない銀行だ。
金融規制緩和の結果の一つは、資本主義の作用から巨大銀行を保護することだったのは明らかだ。
規制から銀行を解放することが、資本主義の破壊を招く結果となり、自由市場主義経済学者が敗北したのは皮肉なことだ。
連邦準備金制度理事会が、ゼロ、マイナスの実質金利で、大き過ぎて潰せない銀行を支援するコストは、預金者や退職者達にとって壊滅的だ。
アメリカ人は、7年間、貯蓄に対する利子を受け取っていない。
家計をやりくりするには、彼等は貯蓄を取り崩さざるを得ない。
しかも連邦準備金制度理事会の政策は、連邦準備金制度理事会が生み出した流動性で、人為的に株式市場を押し上げ、債券市場でも同様なバブルを引き起こしている。
国債の高値は、債務の増加と、債務を破綻させずにおくために印刷されている紙幣と矛盾する。
ドルの価値自体、日本とEUの量的緩和に依存している。
繁栄の為の明らかな必須条件として、金融の安定性を取り戻す為、大銀行は、分割すべきであり、投資銀行と、商業銀行の違いを復活させるべきだ。
クリントン政権以来、大多数の財務長官は問題を抱えた大手銀行元幹部で、連中は、自分達の公的地位を、アメリカ経済でなく、自分達の銀行の為になる様に利用した。
しかも、巨大銀行幹部連中は、連邦準備金制度理事会の主要活動部門であるニューヨーク連邦準備金制度の理事だ。
結果的に、ごく少数の大銀行が、アメリカの金融政策支配している。
この陰謀団は解体すべきであり、連邦準備金制度理事会に責任を取らせるようにするか、廃絶すべきなのだ。
この為には、政治から、金を取り除くことが必要だ。
ごく少数の強力な私的権益集団が、連中の選挙献金で、選挙結果を支配する能力は、民主主義に対するのろいだ。
一年前、共和党支配の最高裁判所は、金持ちは、自分達の利己的権益の利益になるよう、政府を政治選挙献金で買収する憲法上の権利を持っていると裁定した。
連中は、人身保護令状に、憲法上の権利を全く認めておらず、それゆえ、アメリカ国民の無期限拘留を禁じていないと判定したのと同じ共和党判事達だ。
連中は、どうやら自己負罪に対する憲法上の禁止を認めようとせずに、拷問を容認した共和党判事達だ。
連中は、適正手続きを放棄し、アメリカ政府が、アメリカ国民を暗殺することを認めたのと同じ共和党判事達だ。
政治生活に対する金の支配を排除するには、革命を必要とする可能性がある。
繁栄が1パーセントだけの為のものでない限り、民主主義に対する最高裁判所の攻撃は覆すべきだ。
平和への道は困難だ
平和を取り戻すのは、繁栄を取り戻すことより一層困難だ。
繁栄は、平和の前提条件となり得る、平和には、経済と外交政策における変更が必要だ。
平和を取り戻すことが、とりわけ困難なのは、アメリカが、イスラム教テロリストや、国内の過激派や、ロシアに脅かされている為ではない。
こうした“脅威”は、特別利益集団の為に画策されているでっち上げなのだ。
“安全保障の脅威”は、軍安保複合体にとって、更なる利益と、更なる権力をもたらす。
でっち上げの“対テロ戦争”は、14年間継続中で、膨大な支出で戦うべき、更なる“テロ”を生み出すことに成功している。
共和党は、どうやら、社会保障やメディケア給与税で払い込まれたお金を、軍安保複合体に流用するつもりの様だ。
三週間ですむ“簡単なこと”と約束されたイラク問題は、過激な「イスラム国」が、イラクとシリアの半分を支配する14年間の敗北と化した。
欧米支配に対するイスラム主義者の抵抗は、アフリカや、イエメンや、サウジアラビア、ヨルダンに広がり、石油産出首長諸国は、いつ何時落果しかねない完熟果実だ。
中東で、瓶から精霊を出したワシントンは、ロシアとの対立、そして、その延長として、中国との対立に取りかかった。
14年たっても、アフガニスタンで、タリバンを打ち負かせなかった政府にとって、これは大事だ。
ロシアは敗北に慣れた国ではない。
しかも、ロシアには、膨大な核戦力と、いかなるアメリカ/NATOによる侵略にも耐える広大な領土がある。
どの国より遥かに広大な土地を持つ、完全武装した国にけんかを売ることが、基本的な戦略的感覚の欠如を示している。
だが、それこそ、ワシントンがしていることなのだ。
歴史が、世界に対して覇権を行使するよう、ワシントンを選んだというネオコン・ドクトリンに、ワシントンが全力で取り組んでいるがゆえに、ワシントンは、ロシアに因縁をつけているのだ。
アメリカは“例外的で、必要欠くべからざる”国で、ワシントンの意思を世界に押しつけるべく選ばれた一極大国だ。
このイデオロギーが、アメリカ外交政策を支配しており、それを守る為、戦争を必要としているのだ。
1990年代、ポール・ウォルフォウィッツが、ウォルフォウィッツ・ドクトリンを、アメリカ軍と外交政策の教義にした。
ドクトリンの最も大胆な部分にこうある。
“我々の第一目標は、旧ソ連地域であれ、他の場所であれ、かつてソ連が引き起こしていた規模の脅威をもたらす新たなライバルの再登場を防ぐことだ。
これは新たな地域防衛戦略の根底にある主要な考え方であり、統合的に管理すればグローバル・パワーを生み出すのに十分な資源がある地域を、いかなる敵対的勢力にも支配させないよう、我々の尽力を要求するものだ。”
冷戦時の、Committee on the Present Danger(当面の危機に対する委員会?)の元メンバーとして、こうした言葉が何を意味しているか私は説明できる。
“かつてのソ連による脅威”とは、世界の一部で、一方的なアメリカの行動を阻止するソ連の能力だ。
ソ連は、至る所ではないが、一部の場所では、アメリカの一方的行動に対する抑制だった。
ワシントンの意思に対するこうした抑制が、脅威と見なされるのだ。
“敵対的勢力”というのは、BRICS (ブラジル、ロシア、インド、中国と、南アフリカ)が主張している様な独自の外交政策を持った国だ。
イラン、ボリビア、エクアドル、ベネズエラ、アルゼンチン、キューバと、北朝鮮も、独自の外交政策を主張している。
これは、ワシントンにとって、許容するには余りの独立だ。
ロシア大統領ウラジーミル・プーチンは、最近こう述べた。
“ワシントンはパートナーを求めてはいない。ワシントンは属国を求めている。”
ウォルフォウィッツ・ドクトリンは、ワシントンの意思に従わない政府を、ワシントンが始末することを要求しているのだ。
それが“第一目的”なのだ。
ソ連が崩壊した結果、ボリス・エリツィンが解体されたロシアの大統領となった。
エリツィンは従順なアメリカ傀儡だった。
ワシントンは、新たな属国に慣れてしまい、ウラジーミル・プーチンがロシアの隷属状態を続けてくれると期待して、中東戦争に没頭した。
ところが、第43回ミュンヘン安全保障会議で、プーチンはこう述べたのだ。
“単極モデルは、今日の世界では、受け入れられないのみならず、不可能だと思う。”
プーチンは更にこう続けた。
“国際法の基本原則に対する一層の軽視を、我々は目にしています。
そして、独立した法的規範は、実のところ、益々、ある国の法制度に近づいています。
ある国とは、もちろん、何よりもまず、アメリカ合州国は、あらゆる方法で国境を踏み越えた。
アメリカが他の国々に押しつけている、経済、政治、文化、教育政策に現れています。
さて誰がこういうものを好むでしょう? これで満足しているのは誰でしょう?”
プーチンが、アメリカ一極大国に対するこの根本的な挑戦発言をした際、ワシントンはアフガニスタンとイラク侵略の失敗に気を取られていた。
任務は完遂されなかったのだ。
2014年には、ワシントンが中東で、結婚式や、葬式、村の長老や、子供達のサッカー試合を吹き飛ばしていた間に、ロシアが、ワシントンの支配からの独立を実現し、ワシントン一極大国に対する手ごわい挑戦者として立ち現れたことに、ワシントンの頑固な支配者連中も気がついた。
プーチンとロシアは、ワシントンの傲慢さにうんざりしたのだ。
ロシアの明白な勃興で、ワシントンは、中東からロシアの脆弱性へと方向転換した。
長い間、ロシアの、そしてソ連の一部だったウクライナは、ワシントンの工作によるソ連崩壊の後、ロシアから分離した。
2004年、ワシントンは、オレンジ革命で、ウクライナをとりこもうとしたが、ウクライナをワシントンの手にいれるのに失敗した。
その結果、ビクトリア・ヌーランド国務次官補によれば、ワシントンは、その後の十年間、キエフ街頭に出動させられるNGOの育成と、ワシントンの権益を代表する政治指導者達の育成に50億ドルを費やした。
ワシントンは、2014年2月、画策した“抗議行動”でクーデターを開始し、更に暴力を利用して、民主的に選出されたヴィクトル・ヤヌコヴィッチ政権の打倒と逃亡をもたらした。
言い換えれば、ワシントンは、新しい国における民主主義を、民主主義が根を下ろせる前に、クーデターで破壊してしまったのだ。
ロシアに安全保障問題をもたらし、ヨーロッパとロシアとの拡大し続ける経済的、政治的関係を断ち切る為に、対“ロシア侵略”経済制裁も正当化する為、ウクライナを掌握するつもりのワシントンにとって、ウクライナ民主主義などどうでも良かったのだ。
この無謀で、無責任な核戦争に対する攻撃を開始しておいて、ワシントンは、やむを得ず誤りを認め、譲歩するだろうか?
ネオコンに支配されたマスコミが、それを許すだろうか?
89%のロシア国民に支持されたロシア政府は、欧米の一部となるコストとして、隷属的地位になるのを拒否することを明らかにした。
ウォルフォウィッツ・ドクトリンの含意は、ロシアは破壊されねばならないということだ。
これは我々自身の破滅を意味する。
平和を取り戻すために一体何ができるだろう?
EUは、NATOを放棄し、ワシントンは、ロシアよりも大きな脅威だ宣言しなければならないのは明らかだ。
NATOがなければ、ワシントンは侵略の隠れ蓑を失い、ロシアを包囲する為の軍事基地も無くなってしまう。
“世界に冠たる”イデオロギーを奉じているのは、ロシアではなく、ワシントンだ。
オバマは“アメリカは例外的な国だ”というネオコンの主張を支持している。
プーチンは、ロシアについて、そのような主張はしていない。
オバマの主張に対するプーチンの対応は“神は我々を平等に造られた”だった。
平和を取り戻す為には、政府の外交政策職と、マスコミの、ネオコンを解任しなければならない。
これはつまり、ビクトリア・ヌーランドを国務次官補から解任すべきこと、スーザン・ライスを、国家安全保障顧問から解任すべきこと、サマンサ・パワーをアメリカ国連大使から解任すべきことを意味している。
フォックス‘ニューズ’、 CNN、ニューヨーク・タイムズ、ワシントン・ポストや、ウオール・ストリート・ジャーナルから、戦争を商売にするネオコンを解任しなければならず、自立した意見の持ち主が、戦争宣伝者の彼等に代わるべきなのだ。
明らかに、こうしたことの一つとして起きまいが、アルマゲドンを避けたいのであれば、起こさなければならない。
平和と繁栄の為の処方箋は、理にかなっている。
問題は、我々が、これを実施できるか否かだ。
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新国立競技場問題、大切だろう。
国のかたちがすっかり変えられてしまうTPP、遥かに重要だろう。
話題の重要さと、報道の量と質、大本営広報部では必ず反比例する。
今、与党が強力推進しているのは「戦争と窮乏の為の処方箋」。
戦争と窮乏の為の処方箋は、理にかなっている。
問題は、我々が、これを阻止できるか否かだ。
ウォルマートの破壊的影響の伝説、もちろん日本にも適用されている。
『TPP秘密交渉の正体』山田正彦著 29-30ページ
その後、USTRは日本に対して二国間での通商交渉を強引にしかけてきた。
1994年、宮澤喜一内閣の時に始まった米国からの日本に対する「年次改革要望書」を受け入れてきたことは日本にとって痛かった。
その代表的なものは、2000年小泉純一郎総理の時に、構造改革の一環として大店立地法を受け入れたことだ。
米国としてはウォルマートなどの大型店舗が、全国を制覇して各国に進出するにあたって、日本にまず門戸解放を求めてのことだった。
中略
日本は大店法を受け入れて、ダイエー、イオンなどの大型店舗が郊外にできるようになると、次々に専門店、米屋、酒屋、魚屋、肉屋が潰れていった。
その動きは早かった。
いつの間にか地方の商店街がシャッター通りになってしまった。
戦争法案と、TPP。
大本営広報部、戦争法案には、多少は冷静な報道をしているかに見えるが、TPPになると、大政翼賛会そのもの。
根拠のないTPP推進論、戦争法案に対する政府泥縄説明と良い勝負。
TPP交渉差止・違憲訴訟の会
http://tpphantai.com/
http://tpphantai.com/
TPP関連主要記事リスト
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/tpp.html
http://eigokiji.cocolog-nifty.com/blog/tpp.html
国会討論の与党回答、国民の反応など全く気にしていない。
「ひたすら、宗主国の気にいっていただけるか否か、だけを考えて発言している」
と考えると、支離滅裂さ、辻褄があう。
『はだしのゲンはピカドンを忘れない』中沢啓二著 岩波ブックレットhttp://honto.jp/netstore/pd-book_00226632.html
から引用させていただこう。
1982年7月23日 第1刷発行 53-54ページ。
戦争を推進した連中が、政・財界にのうのうとのさばって、依然として政治を牛耳っている。
彼らは、常に安全な場所に身を置いて、人々に命令ばかりしている。
だから、戦争のむごさ、原爆のすさまじさがわからないのです。
日本人全体の中に、戦争責任の問題意識が、まったく薄らいでしまっている。
戦争で甘い汁を吸って味をしめている人々がいるから、また軍備だ、国を守るために戦争をやれといいだす。
「死の商人」どもにとっては、戦争ほどもうかる商売はないのです。
ですから、今からでも遅くはない。
やつらをたたき落とさなくてはいけないと、私は思います。
四年前に見た映画について書いた記事。
はだしのゲンが見たヒロシマ・原発切抜帖・ひろしま・あしたが消える日