ユダヤ的な合理的選択論 1 | きなこのブログ

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(2)古村治彦研究員の新作『ハーヴァード大学の秘密』の著者自らによる解説
 
『ハーヴァード大学を知ることで米国の本音がわかる』
古村治彦(SNSI研究員)
 
本書『ハーヴァード大学の秘密』は、「ハーヴァード大学」をキーワードにして、幅広いテーマを取り扱っています。
 
舞台裏を少しお話ししますと、私はこの本の着想を、副島隆彦先生からお話によって得ました。
 
先生は私がアメリカ留学(南カルフォルニア大学大学院政治学研究科)から帰ってきた直後から、「アメリカの政治学について書くように」といつも仰っていました。
 
そして、その話を進めていくうちに、「ハーヴァード大学で教えられている合理的選択論について何か書いてみてはどうか」ということになりました。
 
しかし、そのテーマで一冊の本を書き上げる自信が私にはありませんでした。
 
しかし、視点を変えて、「ハーヴァード大学」をキーワードにして見たら、幅広いテーマを扱うことができて、一冊の本になるのではないかと考え、前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)の完成後から、準備を進めていきました。
 
しかし、思ったようにはかどらず、2013年内に完成させるはずが、ずれ込んで2014年1月発売ということになりました。
 
しかし、苦労した分、良い本に仕上がったと今は考えております。
 
ここからは『ハーヴァード大学の秘密』の各章の内容をダイジェストにして皆様にご紹介してきたいと思います。
 
まず、目次を皆様にお示ししたいと思います。
 
==========
 
『ハーヴァード大学の秘密』【目次】
 
副島隆彦の推薦文
 
第一部 「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学
 
第一章 ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版
 
―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本
 
第二章 ハーヴァード大学と日本
 
―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈
 
第二部 アメリカの大学で学ぶということ
 
第三章 日本からアメリカへの留学の実態― 
 
一大産業である留学
 
第四章 アメリカの大学の授業や制度、生活について
 
―これだけは読んでから、留学して欲しい
 
第三部 ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち
 
第五章 サミュエル・ハンチントン
 
―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生
 
第六章 ジョセフ・ナイ
 
―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派
 
第四部 ハーヴァード大学で真に教えたいこと
 
第七章 共同体優先主義
 
―個人至上主義への危険な反発
 
第八章 合理的選択論(Rational Choice Theory)
 
―自分が損をしないこと
 
あとがき
 
==========
 
ここからは、各章の内容を簡単に皆様にご紹介したいと思います。
 
第一部「「アメリカの代理人」養成所としてのハーヴァード大学」として、日本人のハーヴァード人脈を取り扱っています。
 
第一章「ハーヴァード大学出身者の日本における人脈・最新版―「クリムゾン・クラブ(Crimson Club)」が動かす現在の日本」では、現在の日本におけるハーヴァード大学人脈を取り上げました。
 
私は、現在の日本を動かす日本人のハーヴァード大学出身者人脈を「クリムゾン・クラブ(Crimson)」と名付けました。
具体的にはハーヴァード大学ビジネススクールハーヴァード大学ケネディスクール出身者たちを取り上げました。
 
より具体的には、楽天の三木谷浩史(みきたにひろし)会長兼社長を中心とする人脈が政財界に張り巡らされています。
 
彼らはこれまでアメリカの代理人として動いてきた渡邉 恒雄(わたなべつねお)読売新聞グループ会長兼主筆や中曽根康弘(なかそねやすひろ)元総理大臣に代わってアメリカの利益のために行動していくことになります。
 
その動きが少しずつ始まっています。
 
また第一章では、東京オリンピック誘致を成功に導いた、安倍晋三内閣官房参与の平田竹男(ひらたたけお)早稲田大学スポーツ科学研究科教授を取り上げました。
 
平田教授は、通産省のキャリア時代にハーヴァード大学ケネディスクールに留学しており、ハーヴァード大学人脈に連なる人物です。
 
楽天の取締役も務め、三木谷会長を自分の授業のゲストスピーカーとして呼んだり、自分の教え子を楽天球団に送り込んだりしている関係にあります。
 
三木谷 平田 人脈には是非ご注目いただきたいと思います。
 
第二章「ハーヴァード大学と日本―戦前から戦後にかけて日本を動かしたハーヴァード大学人脈」では、第一章で扱った人脈以外の、日本におけるハーヴァード大学人脈を戦前から戦後にかけて追いかけました。
 
私は、戦前のハーヴァード大学人脈の総元締めが金子堅太郎(かねこけんたろう、大日本帝国憲法の起草に関わり、日露戦争の時にはアメリカで対日世論改善のために活動。ハーヴァード大学ロースクール)、そして彼を引き継いだのが三木武夫(みきたけお)元総理大臣であると考えました。
 
三木武夫はハーヴァード大学には留学していませんが、彼の側近であった松本瀧蔵(まつもとたきぞう、ハーヴァード大学ビジネススクール)という人物に焦点をあてました。
 
この部分は私の発見であり、皆様に楽しんでいただける内容であると思います。
 
第一部では、私が関心を持っている、「日本の戦後政治とスポーツ(特にプロ野球)」にも絡んだお話になっております。
 
詳しくは、是非本を実際にお読みいただくのがいちばんではないかと思います。
 
現在の政治や戦前、戦後の政治史に関心のお持ちの皆様に楽しんでいただけるものと確信しております。
 
第二部「アメリカの大学で学ぶということ」では、ハーヴァード大学を絡めながら、日本からの留学の実態とアメリカの学生生活について、私の経験も踏まえながら書いています。
 
第三章「日本からアメリカへの留学の実態― 一大産業である留学」では、最近マスコミ等で紹介される「灘高から東大ではなくアメリカ名門大学へ」「世界を目指せ!」「東大ではなくハーヴァードを目指せ」といったスローガンの下、若者の留学を促進する動きがあることに対する私なりの分析を行いました。
 
こうしたスローガンを大々的に喧伝しているのが、元参議院議員の田村耕太郎(たむらこうたろう)米ランド研究所研究員です。
 
私は、こうした日本の若者たちに留学、特にアメリカ留学を促す動きの裏にはアメリカの意向があると考えています。
 
本の中で詳しく分析していますが、日本人のアメリカ留学数は最盛期の1997年に比べて現在は約3分の1にまで減少しています。
 
留学が一大産業となっているアメリカでこれは大変な問題なのです。
 
そのために、日本でアメリカ留学を促す動きが起こり、その最たる例が「孫の教育資金1500万円まで非課税」という政策であると私は考えています。
 
私は、安易に、何となくかっこいいなどの理由で若者たちが留学するのはよくないと考えています。
 
私は留学中に、日本人留学生の失敗例を見てきました。
 
そうしたことも本の中で書きました。
 
留学をお考えの方やその身内の方には是非慎重になって欲しいと思い、この章を書きました。
 
第四章「アメリカの大学の授業や制度、生活について―これだけは読んでから、留学して欲しい」では、私が経験したアメリカでの大学の制度、授業、生活についてより具体的に書きました。
 
ここでは私が実際に聞いた
 
アメリカの大学教員や大学院生の「悲惨な」現状、
 
学生ローンの返済に苦しむ大学院生、
 
低賃金にあえぐ非常勤講師といった、
 
本当のことを書きました。
 
また、NHKで放送されたハーヴァード大学のマイケル・サンデル教授の「ハーバード白熱教室」を導入にしながら、アメリカの大学間の差別や授業のことなどについても取り上げました。
 
留学時代に苦しんだ先輩として、若い方々(ばかりでもありませんが)には、こうしたことを知った上でアメリカ留学を考えて欲しいという気持ちでこの章は書きました。
 
私は実際のアメリカ留学体験者です。
 
そして、色々と苦労や嫌なこと、失敗もたくさんもありましたが、留学体験は私の人生の一部になっています。
 
その私が敢えて、留学をするのに慎重になって欲しいということを一貫して書きました。
 
それは、ただ時流や雰囲気で留学したのでは必ず失敗するということを知っているからです。
 
留学をお考え、もしくは興味のある皆さんに是非お読みいただきたいと思います。
 
第三部「ハーヴァード大学の知的パワーを象徴する学者たち」では、ハーヴァード大学政治学を代表する学者二人、サミュエル・ハンチントン ジョセフ・ナイ を取り上げました。
 
二人とも日本の論壇に頻繁に登場する(ハンチントンは既に亡くなっていますので、した、ということになります)ハーヴァード大学を代表する学者たちです。
 
第五章「サミュエル・ハンチントン―リベラル派に喧嘩を売り続けた人生」と題して、2008年に亡くなったサミュエル・ハンチントンについて皆さんにご紹介しています。
 
ハンチントンこそは最後の大物政治学者であったというのが私の考えでありまして、彼が何を言ってきたか、どのような過激な主張を行って世間を騒がせてきたかを詳しく書きました。
 
私が前著『アメリカ政治の秘密 日本人が知らない世界支配の構造』(PHP研究所、2012年5月)でご紹介しました。
 
ハンチントンの重厚な保守的な態度、急激な変化を否定する態度の重要性について書きました。
 
政治学に興味、関心をお持ちの方には基本的な知識を広く網羅した章となっておりますので、前著『アメリカ政治の秘密』と併せてお読みいただければと思います。
 
第六章「ジョセフ・ナイ―「アメリカの理想」に忠実なリベラル派」では、日本でも日経新聞などによくて出てくるジョセフ・ナイ(Joseph Nye)教授を紹介しています。
 
名前はよく聞くし、新聞の記事で彼について読んだことがあるという方から全く知らないという方までおられると思いますが、本章をお読みいただきますと、良く分かることになっております。
 
また、政治学に国際関係論(International Relations)という分野がありますが、これについても分かりやすく説明しております。
 
また、ナイと日本との関係、特に安全保障関係についてのナイ(とリチャード・アーミテージ)の関与についても詳しく述べております。
 
第三部では、少し難しいお話を書くことになってしまいました。
 
日本の学者たちやマスコミ人たちは彼らのような大物知識人たちが何を言うかに関心を払います。
 
それは、彼らがアメリカ政府の政策とアメリカの世論形成に影響を与えるからです。
 
こうした知識人たちを英語ではpublic intellectuals(公的な立場を持つ知識人たち)と呼びます。
 
現在のバラク・オバマ(Barack Obama)大統領(彼もハーヴァード大学ロースクール出身)にしてもこうした知識人たちの影響を受けています。
 
第四部「ハーヴァード大学で真に教えたいこと」では、ハーヴァード大学政治学、政治学全体で重要なテーマである、共同体優先主義(Communitariansim、コミュニタリアニズム)と合理的選択論(Rational Choice Theory、ラショナル・チョイス・セオリー)をご紹介しています。
 
第七章共同体優先主義―個人至上主義への危険な反発」では、現在の日本で一番有名なマイケル・サンデル(Michael Sandel)教授が信奉している主張です。
 
リベラル派やリバータリアン派とは違い、個人よりも共同体の価値を重視する(このように書くと、学者たちからは必ずそうではないということで長々と反論が来ます)思想です。
 
この共同体を重視する思想の様々な形を簡単にご紹介しました。
 
マイケル・サンデル教授から哲学や思想について興味をお持ちになった皆さんには、幅広く知識を吸収するたのお役に立つ章になっています。
 
第八章合理的選択論(Rational Choice Theory)―自分が損をしないこと

第四部では、副島先生からお話のあった合理的選択論について簡単に説明しました。
 
合理的選択論とは、「政治に関わる人間(政治家、官僚、有権者)は自分たちの利益が最大になるように行動する」という前提で政治の世界で起きる出来ごとを分析する政治学の理論です。
 
私は、この合理的選択論「政治学に対する経済学による侵略」であること、そして、合理的選択論と従来の理論が対立していることなどを書きました。
 
この合理的選択論が分かると、政治の世界で起きる様々な出来事を自分なりに分析、解釈することができるようになります。
 
このような便利な道具を一部の人々(学者)に独占させるのはもったいない、是非多くの方々に使っていただきたいという思いもあって、この章を書きました。
 
共同体優先主義合理的選択論との間にある最大の違いは、簡単に言い切ってしまうと、個人の利益を重視するかどうかという点にあります。
 
その点で大きな違いがあります。
 
そうではありますが、両方ともユダヤ的なものを基にして出てきたということが言えます。
 
私は第四部を通じて、そのことを明らかにしました。
 
このようなことは学者には書けません。
 
第四部もまた少し難しくなりましたが、学問的なことに関心をお持ちの方々には是非お読みいただきたいと思います。
 
ここまで各章の内容をダイジェスト版でお送りしました。
 
このダイジェスト版ではお伝えし切れなかったことがたくさんあります。
 
是非、手に取ってお読みいただきたいと思います。
 
『ハーヴァード大学の秘密』を書き終えて印刷に回されたのが12月中旬でした。
 
それ以降、現在までに日本の政治状況は大きく動いております。
 
私が本書にぎりぎりで入れました、キャロライン・ケネディ駐日アメリカ大使の楽天本社訪問と三木谷浩史会長兼社長との会談が現在までの日本政治の動きの端緒であったのではないかと私は考えます。
 
『ハーヴァード大学の秘密 日本人が知らない世界一の名門の裏側』は幅広いテーマを取り扱っており、多くの読者の皆様に手にとってお読みいただきたいと思います。
 
(転載終わり)