医健美で夏バテ知らず! 東洋の医健美展 | 不思議戦隊★キンザザ

医健美で夏バテ知らず! 東洋の医健美展

梅雨が明けて夏バテ寸前、常にぶっ倒れる5秒前!というマダムと愉快な仲間たちは、藁をも掴む思いで東洋文庫ミュージアムで開催されている「東洋の医健美展」に行ってきた。医学を知れば健康を知る、健康を知ればおのずと美しくなれるのである。ってことで我々は最寄り駅の駒込で待ち合わせし、徒歩8分の距離をタクシーを使って東洋文庫に乗り付けた。炎天下で日傘をさして歩くこと、炎天下を避けてタクること、どちらが健康によいのだろうか?

 

みなさま、日々健やかにお過ごしですか。身体に痛いところはありませんか。以前より風邪が治りにくくなった、漠然とした病気への恐怖に怯えている、そんなことはありませんか。

本展(東洋の医健美展)では、古来アジアの人々がどのように、不調や怪我、病気と向き合ってきたのかを、東洋文庫が所蔵する医療史の名著でたどります。この企画展が、あなたの知的好奇心を満たすサプリメントのようになれば嬉しいです。

(本展のごあいさつ)

 

渋過ぎる小冊子、好き

 

東洋文庫は冷房が利いていて天国のようだった。ではマダムの独断と偏見で紹介していくぞ。1階は「世界のお風呂紀行」特集でモヘンジョダロの風呂、古代ローマの風呂、イスラム圏のハマム、日本の玉造温泉などの写真と説明パネルの展示であった。

 

2階から1階受付を見下ろす

 

ってゆーか、古代遺跡でどうやって「これは風呂だ!」と分かるのだろうか。バスクリンの残骸?ヒノキの香り?アヒルちゃんの化石が出土?

 

1階展示室

 

我々は貧弱な知識がモロバレな会話をしつつ2階へ。モリソン書庫のピックアップ展示は「東西お守り大集合!」である。タリスマン、ガネーシャ、中国の古銭、麻疹疫病除などのアイテムをクールに展示。毎度毎度感心するけど、マジでセンスあるわ。

 

いつもの

 

ライティングが素晴らしい

 

超クール!

 

さあここから医健美だ!一通り見終わった頃には健康と美を手に入れていることであろう。あっ、また卜骨だ!

 

獣骨に占いの内容が彫られています

 

今回展示されていた甲骨卜辞片は前17世紀から前11世紀の中国王朝「殷」時代のものである。古っ!!卜骨(ぼっこつ)は占いに用いられたアイテムだが、古代の医療は病気が治るか占ったり祈祷したりが重要で、巫女が医療(?)の一翼を担っていたと思われる。

 

歯痛は辛いよね

 

医療は科学であるからしていつまでも占いに頼っていたのでは治るものも治らない。ということで中国では前3世紀くらいから体系化され医学分野が発達していく。医術、薬学、治療法、養生、医師の倫理を記した書物が年代を追って展示してある。見た目は地味だが説明パネルが面白く分かりやすい。オタクなキュレーターさんがいるのだと思う。感心する。

 

占いには頼らない宣言をした周礼

 

陰陽的な傷寒と温病のセット

 

医療も重要だが、病気にならないための予防も重要だ。そして健康は過剰でも不足でもいけない。バランスが大切なのだ。例えば食事について書かれた「飲膳正要」。妊娠中の食品の回避や酒を飲むときに避けるべきこと、食べ合わせなど。食べ合わせってアレか、梅干しとウナギを一緒に喰うと腹が痛くなる系のやつか。

 

食べ合わせカタログ

 

健康には運動も大事である。誰でも簡単に出来て、思い立ったらどこでも出来るのが太極拳である。

 

みんなで太極拳

 

中国歴代王朝では身体を動かすことが下品だと考えられていた。上がそう考えるので下々もそう考えていた。しかし!健康を保つには運動が不可欠、国民の健康を保ってこそ強い国造りが出来るのだ!ということで1979年に発表された毛沢東の初めての論文「体育の研究」。

 

タイトルがド直球

 

「ミャクミャクさま」というように脈も大事である。顔色、脈音、味覚が診断の基準となるのである。

 

脈って東洋的よね

 

「指圧の心は母心、押せば命の泉湧く」というようにツボも大事である。

 

いまでも通用しそうな足ツボの模型

 

もちろん睡眠も侮ってはいけない。良い睡眠には良い枕。こちらは良い値段がしそうな翡翠製の枕。

 

寝てるとき割れたら危なくない?

 

頑張って健康を維持してたら戦争に招集される。運悪く怪我をしてしまったときは軟膏や止血薬を使った戦時下の治療法マニュアルが必須。

 

戦時下の医療は昔から大事

 

頑張って戦争から生きて戻ってきたのに天然痘が流行り始める。こうなったら天然痘になる前に牛痘接種で抗体生成。

 

生ワクチンってやつですね

 

大陸で発達した伝統医療は飛鳥時代の古来から渡来人によって日本にもたらされてきた。養生訓は儒教思想に基づく健康法で江戸時代に大人気となった。平均寿命40歳の時代、年寄はそれだけで尊敬すべき相手であった。長生きすることが憧れだった。

 

「医は仁術なり」の元ネタ

 

華岡青洲が実際の症例を集めた乳がん図説。青洲は世界で初めて全身麻酔の乳がん手術を成功させた医者である。治験には青洲の母と妻が協力した。そのため母は亡くなり妻は失明した。人類には尊い犠牲である。ありがたいことである。

 

医療は数多の犠牲のうえに成り立っていることを

忘れないようにしたい

 

鎖国下の江戸時代でも蘭学を通じて西洋から西洋医学が持ち込まれる。症状の原因となっている病巣や病因を排除する治療は新しい医学であった。人体を知るにはまず解剖から。

 

人体解剖図詳解

1566年ラテン語訳書版

 

ターヘル・アナトミア!1734年版

 

そして真打登場!杉田玄白の解体新書!教科書に載ってるやつだ!

 

扉絵は人体解剖図詳解、

日本語訳の中身はターヘル・アナトミア

 

よし、これで医と健は制覇したぞ。残るは「美」だ!いったいどのような究極な美の秘密が展示されているんだろう?

 

江戸時代のメイク術

 

江戸時代の化粧品カタログ

 

翡翠の美顔ローラー

 

お、おう。メイク術っていつの時代も大事だし化粧カタログは手元に置いておきたいし美顔ローラーも必須よね。うんうん。っつか、美顔ローラーってそんな昔からあったのか。あと、なんかスゲーインチキ臭い逸品があって

 

メリケンサック???

 

緑宝石の指輪10個セットである。「緑宝石は健康増進に有益と考えられて珍重されました。10本の指全てに装着して使います」って説明されてたけど、健康に強欲すぎやしないか?まあレプリカではあるのだけれども、東洋文庫の所蔵品ではなく東洋文庫研究員の個人蔵ってところがシビレる。レプリカとはいえこんなものを個人蔵とする研究員の熱心さに拍手を送りたい。

さて、紹介は以上であるがどうせなら「中山式快癒器」「ぶら下がり健康器」などもコレクションに加えてはどうか。

 

ばあちゃんの部屋にあった

 

ばあちゃんの部屋で洋服掛けになってた

 

研究熱心な研究員さんにコレクションの期待を寄せながら、腹がすいたので併設されているレストランでランチにしよう。

 

オシャレな小路を通って

 

赤ワインで美に乾杯

 

サラダとスープで健康に!

 

ゲンコツバーグで心と腹が満たされる

 

東洋文庫で一日遊んで美味いもん食ったのでマダムの医健美はしばらく安心だ!