星に願いを 大宇宙展 | 不思議戦隊★キンザザ

星に願いを 大宇宙展

よいこのみんな!宇宙は好きかい?マダムは宇宙がだ~~~い好き!というのも小学生の頃の愛読書は「愛のギリシア神話」、春夏秋冬の4冊セットで挿絵は武部本一郎であった。そしてギリシア神話と言えば星座。遠い外国の星座のお話は武部本一郎描く肉感的な美男美女の挿絵と相まって、星座ってなんてロマンティックなんだろう!と憧れを抱いて現在に至る。

宇宙と星座では意味するところが違うような気がしないこともないが、ちょうど東洋文庫で「大宇宙展」をやってるってんで鼻息荒く行ってきた。

 


そそられるわあ~~

 

古来、世界各地で人々は天空の動きから様々な情報を読み取り、暦を作る、運命を占う、旅の道中の標にするなど、日々の暮らしのなかで役立ててきました。 やがて、天空の動きや現象を観察し、その法則などを見出すことは学問として発展していきます。日本へは、6世紀後半から7世紀初頭に、 朝鮮を通じて中国の暦と天文が伝わりました。
本展では、人々がどのように天空の動きを理解し、宇宙へのあこがれと好奇心を育んでいったのか、古今東西の様々な資料によってその歩みをたどります。

 

ね?宇宙は有史以来ずっと我々の好奇心を掻き立てて来たんだ。ということで始まりはここからだ。

 


イラストがカワイイ


エジプトの異色っぷりが群を抜いている

 

やっぱ神だよね~~。宇宙と神話は切っても切れない縁なんだ。遠い昔のひとたちは人知を超えた現象を物語に昇華させて伝えて来たんだ。そうやって物語を紡いできた古のひとびとの叡智がマダムは好きだね。

 

ということで、季節柄七夕エピソードが紹介されていて、七夕っつったらアレだ、普段は天の川を挟んで離れ離れの牽牛と織姫が年にたった一夜だけ逢瀬出来る特別な夜だ。そもそもどうして離れ離れになったのかというと、天帝付きの機織り仕事をしていた織姫、適齢期になっても彼氏つくるヒマもなく独居している織姫を不憫に思った天帝が息子の牽牛の嫁にあてがう。そしたら初めての男に舞い上がった織姫、牽牛とイチャつきまくって機織り仕事をサボタージュする。怒った天帝はふたりを天の川を挟んで離れ離れにしてしまう。

そりゃ天帝も怒るよな。本来の仕事を投げ出して男とイチャついてんだから。モテない女の哀しい性よ。しかしまあ、ずっと離してんのも可哀そうなんで年に一度だけ逢瀬を認めたってワケだ。

七夕の物語が編まれたのは5世紀の梁(りょう)、「文選(もんぜん)」である。日本では奈良時代に大陸からもたらされ、貴族の教養として広く親しまれた。会場には文選を編纂した一冊が展示されていた。

 


1922年刊行の文選(編)

 

どっから挿絵を持ってきたのか分からんが、挿絵の鬼が天帝である。なぜ天帝を鬼で描いたのか当時のセンスが分からない。でもフンドシ絞めてる鬼の天帝がユーモラスでカワイイ。あっ、もしかして超センス良いのか?そうなのか?

 


天帝っぽさがまるでない


鬼の格好で通せんぼする天帝

 

ところで展示してあった「文選」のキャプションが不穏。

 


織姫が浮気説

 

「いま逢ったばかりだけど、二晩は一緒にいられないの」って!これ、遊び相手に使うセリフじゃねーか?いいのか?牽牛は気づいてるのか?天帝の箱入り息子っぽいからきっと気づいてないだろうなー。不憫なのは織姫じゃなくて牽牛じゃねえか。

といったように、いろんなことがおさらいできる。あ、まだ七夕だけだったな。えーと、じゃあ次は日本から「竹取物語」である。

 


一目でかぐやと分かる

 

これは説明はいらないよな。ただ展示されてた書物が海外用の英語本だったのでかぐや姫がバタ臭い。

 


武部本一郎感ある

 

さあ速足で二階へ進むぞ。二階に上がると圧巻の東洋文庫珠玉のコレクションがお目見え。

 


なんか分からんけどスゲー


東洋文庫の粋


国はこういうのにカネかけて保護しろって!

 

これら全て申請すれば閲覧することが出来る。ここでは知識が生きているんだ。知識は魔法みたいなものだ。だけど魔法を使うにはそれなりのレベルが必要。ここに辿り着いて魔法を使えるひとって一体どんなひとだろう。

さて、では2階の展示をかいつまんで紹介しよう。まずはこちら。大物だ。

 


ヒント:第2回遣隋使

 

何だと思う?これ見たマダム、超ビックラこいたんだけど、なんと聖徳太子が隋の煬帝に宛てた書簡!マジで!?妹子が持ってったやつ!?ナンデ?ナンデ?と興奮したが、モノホンの巻物は隋に送って日本にはないのでこちらはレプリカである。レプリカっつっても1739年刊行の歴史書だぞ。それでもちゃーんと有名な一文「日出處天子致書日沒處天子無恙云云」を目視できる。スゲー。楷書だ楷書。

 


よよよよ読める!読めるぞ!

 

ああ、ちょっと血圧あがっちまったぜ・・・。っつってもマダムは低血圧だからちょうど良いかも知れない。展示物はまるで宝石のようにガラスケースの中に納まっている。それがまた美しいんだ!

 


宝石もいいけど書物もね

 

解説パネルも随所に設置されているので知識の吸収が捗る。

 


ここにもいらすとやが

 

そして途中にこんな廊下がある。

 


名だたるミュゼの中で、ずば抜けてセンスがいい

 

上から見ると奈落のようだ。いやあ、東洋文庫って楽しいなあ、面白いなあ~~~!

 


落ちそうで落ちない(当たり前)

 

海外の宇宙系というか天文系の書物もあって、太陽の挿絵に顔が付いてるところが海外だな~と妙に感心。

 


なぜ顔を付けたがる


カワイイから許す

 

色付きでカラフルな書物も色使いが欧州って感じ。

 


全然色褪せてない


枠に描かれた画が欧州的

 

そしてなんと!亀甲占いに使用した亀卜(きぼく)も展示!まさか東京のど真ん中の地味な一画でこんなものを見れるとは!どんだけ隠し玉持ってるんだ東洋文庫!

 

初めてモノホン見た気がする

 

唐突だけど宇宙は大きいよね。その中に銀河やら星雲やら星団やらがあるよね。そんで、そういった集団もひとつひとつ名前が付けられているよね。これを見てくれ。

 


恒星の集団を星団と呼びます

 

すばるはそれだけでもカッコいいけど更にプレアデス星団という強そうな名前を持っている。ところがこれはどうだ。

 


まとまったガスの天体を星雲と呼びます

 

「かに星雲」。かに・・・。かにって。英語でもCrab Nebulaってなってて、やっぱりカニだ。挙句の果てに中心に「かにパルサー」なるものが存在するらしい。なんだよかにパルサーって。これ、先にかに星雲って名付けちゃったからパルサー(中性子星)もかにパルサーと成らざるを得なかったんだろ?名付けたひとは土下座してほしい。もっとこう、中二の少年たちが憧れるようなカッコいい名前を付けて欲しい。

 

ふう。次は葛飾北斎のこれ。浅草天文台から幕府天文方が観測しているところ。こんな浮世絵を残しているとは知らなんだ。

 


天体観測するサムライ

 

また次も大物だ。江戸時代の日本地図。

 


これはデカかった

 

そう!伊能忠敬先生の伊能図だああああああ!これがすげー細かくて地方の地名も手を抜いてない。どーーーして歩いただけでこれだけのものを作り上げることが出来たんだろう?天体さえ読めれば緯度経度が分かるのだろうか。マジスゴイ。

 

続いてこちらは19世紀初頭にロシアで初めてプラネタリウムを体験した日本人。見聞録にはネジを回して上に月と星が現れた驚きを「何という訳のものか、また如何の仕業なるものか」と記録があり、新鮮な驚きを素直に吐露していて微笑ましい。

 


西洋カラクリに驚く日本人

 

最後はこちら。虚舟(うつろぶね、うつぼぶね)の記録である。虚舟とは江戸時代に海から現れた球体の舟らしきもの。見たこともない物体なのでいくつもの画付の記録が残っている。これはそのうちのひとつだろう。

 


いろいろ図解されてる

 

右に描かれている人物は虚舟から出てきた女性である。屋根付きの球体に近い船で流れてきた外国人という説が有力だが、それは違う。なぜかって?だってこの展覧会の趣旨を思い出してごらん。大宇宙展、だろ?

これは江戸時代に現れた宇宙人を描いたものなのである!!世界は広い、宇宙はもっと広い!どんなに不思議なことが怒ったって不思議じゃないさ!

そう確信したマダムは、期待以上だった展覧会に大満足したのであった。

 

 

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