東京都某区のサッカー大会で主審を務めたときのこと。
ペナルティエリアのすぐ外で守備側が攻撃側を倒してのファウル。笛を吹き、副審ともアイコンタクトしてエリアの外側であることを確認してペナルティスポットではなく、ファウルのあった場所に走った。
すると後方から「VAR!VAR!」という大きな声が聞こえた。
ペナルティエリアの中だろというメッセージだ。VAR介入の4つの事象として「ペナルティキックとなる可能性がある場合」ということだろうというのはわかる。
しかし当然のごとく、この試合ではVARは導入されていない。
それを知っていながらこういう発言を行うということは、主審の判定への異議とみなせる。
私はすかさず、「今VARって言ったの誰?」と叫んだ。
私でーすと正直に返事が返る。
本来はここで「判定への異議と見なして警告します」と言ってイエローカードを提示するべきだったとあとで反省。
しかしVARが採用されていない試合でVARを要求するということは本気で言っているはずはない。
お楽しみのエンジョイサッカーでもあり、主審一人だけ熱くなっても浮いてしまうという空気を読んで、カードは出さず「VARが入ってないのをわかっていて言っても意味のないことだからねー、今後は言わないようにー」と口頭注意で済ませた。
(なお、犯人はGKで、争点から一番遠いところにいる競技者だった)
競技規則第12条に書かれているが、警告となる行為の一つとして、「VAR レビューのために用いるTV シグナルを過度に示す。」とある。
口頭でVARを要求することもこれに準じるのだから警告を出してもよかったかなと思った根拠はこれだ。