サッカー審判KenKenのブログ

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サッカー3級審判KenKenの審判経験記

2024年5月19日、J1第15節東京V対町田

この試合で町田が獲得したPKを藤尾翔太が蹴り得点を決めた。

 

この時PKを蹴る前に藤尾がボールに水をかけたという話がネットに出ていた。

ハイライト映像を見てみたがファウルの場面はあるものの水をかけた場面は映っていなかった。

晴天で乾いていたボールをわざわざ濡らすのはなぜなんだろうと思ったが、ネット記事によると「芝を転がる際にスピードが出る」からだそうだ。

 

PKは低い弾道でポスト前でワンバウンドしてポスト内側に当たってゴール。芝の表面を転がっていったというわけでもなさそう。

強いて言えばポストに当たった際に濡れているとツルリと滑って内側に転がる可能性が高いということくらいしかメリットは思い浮かばない。

 

ではPKを蹴る前にボールに水をかけて濡らすことは反則になるのだろうか。

競技規則にはちょうどそれをそのまま表した条項はなさそうだ。

いろいろとめくってみたがわからない。

 

ボールの表面の状態を変えることで蹴る方に有利になり守る方に不利になるのであれば競技規則になくても反スポーツ的行為となる。

濡れているボールを拭くのはどうだろう?ロングスローの前にボールを拭くのはよく見る光景だし、手が滑らないようにすることは反スポだと誰も思わないだろう。

 

逆の行為、乾いているボールを濡らすこと。

これはなんだか微妙だ。

 

ピッチの状態を変えることは反スポだ。

例えば土を盛ってその上にボールを置いたり、カカトで土を掘ってボールを置いたりなどが考えられる。

ボールの状態を変えることもその延長と言えなくもないが、手が滑らないように拭くことはスローインを正しく行うことに資するわけだから問題ないと判断する。

ただし、乾いているボールを濡らすのはスローイン前に拭くことと反対で試合に何もプラスにならない。

私が主審だったら注意して拭かせる。

カードを出すかどうかは判断が難しい。引き続き検討していく。