サッカー審判TIPS(746) GKのエリア外でのハンドリング
競技規則には「ゴールキーパーは自分のペナルティエリア外でボールを手または腕で扱うことについて他の競技者と同様に制限される」(第12条)とある。
さてボールがペナルティエリア(PA)ラインから半分外に出ている状態を思い浮かべよう。この場合は「ボールはPA内にある」と見なされる。だからこのボールにはGKは手で触れることができるはずだ。
ではPA内にあるとされるライン上のそのボールをGKがつかむ際に指がラインを超えていたらどうか。もっと極端に言えば、ライン上にあるボールを右手はPA外、左手はPA内という状態で掴んだら?またはこのボールをPA外に伸ばした手で掻き込んでPA内で押さえた場合はハンドリングの反則なのだろうか。
それとも「PA内のボール」に触れたという判断だからこれはセーフなのだろうか。
感覚的にはハンドリングだが、確信が持てていなかった。
先日、元プロ審判のコメントがWebに載っており判断基準が明確になった。以下Yahooニュースを転載する。
2023年5月21日、J2第17節レノファ山口vs東京ヴェルディ 前半22分、山口が最終ラインでパスをつなぎ、GK寺門陸が前線にパスを出そうとしたところで転倒。そのこぼれ球をシュートされると、ペナルティーエリア外にいたまま手でボールを止めてしまった。しかし、ピッチ上では即座に反則のホイッスルは鳴らずにプレーが継続。ボールがタッチラインを割ったところで、須谷雄三主審が両アシスタントレフェリー、第四の審判員とも協議して、寺門にハンドの反則があったとして東京Vにフリーキックを与え、寺門にはレッドカードを提示していた。J2にはビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が導入されていない。 元国際審判員・プロフェッショナルレフェリーの家本政明氏はルールについて、ボールと手の接点がペナルティーエリア外であればハンドの反則になると解説。一例として、身体がペナルティーエリア外にあっても、ペナルティーエリア内にあるボールに手が触れている状態は反則にならないと解説した。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7d0f8fa26c03e9ba2d431cfca94e0337f10917f2より抜粋
この文章にあるように、「手がボールに触れた場所」がPA外であればハンドである。とすると前述の例の場合ボール自体が「PA内」の扱いであっても触れた地点がPA外なので「ハンドリングによるFK」となると思うが正しいかな。そして上記の事例のようにシュートをブロックしてしまったのであれば決定的得点機会阻止で退場だ。ただし相手競技者が関与していない場合(味方からのパスやGKである自分がキックミスしたボールで、相手が近くにいないなど*)であればカードによる懲戒なしの通常の直接FKだけであろう。
*これらの場合はバックパス受けやGKの二度タッチなどで間接FKになるのであるが、より重いハンドリングによる直接FKを採用する。